【マリオRPG特集】発売直後のユーザーの反応

Gayaline

スーパーマリオRPGのリメイク記念に当時の情報を掲載するコーナー第四弾。前回は、ファミマガのゲーム内容の予想記事に見られる、マリオシリーズの世界観理解の深さについて紹介しました。
 最後となる今回は、同じく当時の雑誌記事から、ユーザーの本作に対する感想と、隠し要素の発見の様子を見てみたいと思います。


 あるゲーム作品に対する感想や評価、楽しみ方については、現在ではウェブサイトやSNSで幅広く見られるが、マリオRPG発売当時にはインターネットすらあまり普及しておらず、そうした媒体は当然存在していなかった。
 そういう時代にファンの声を集めていたのもまたゲーム雑誌である。雑誌に載っていることにより、かえって当時の反応が保存されている面もあるので、ここではそうしたファンの反応を見てみよう。

発売直後の感想

 次に載せるのは、マリオRPGの発売(1996年3月9日)直後である4月5日に発売された、フファミリーコンピュータMagazineのゲーム感想コーナーである。果たして当時のプレイヤーは本作にどのような評価を下しているだろうか。

ファミリーコンピュータMagazine 1996年4月19日 No.8 p.44
ファミリーコンピュータMagazine 1996年4月19日 No.8 p.45

44ページ上部には、本作のユーザー得点が載っている。こちらは採点者が多数なので基準は一定しないが、前年はロマサガ3が1位を取るなど、なかなか渋い好みをしているのでわりと信用できるかもしれない。
 感想をまとめてみると、「アクションコマンドで戦闘には緊張感があった」とアクション要素を評価するもの、「初めてRPGをやりましたが、おもしろくて熱中しています」という新規ユーザーのもの、「てきキャラがFFやロマサガとちがってかわいい」というもの(いやFFの敵も味はあるんだけどね・・・)などいろいろである。
 CMに言及している人も多い。あの「ロールプレイングゲーム やったことない人も OK!」というやつである。「ロールプレイングゲーム やりつくした人も カモーン!」というくらい奥が深いという感想もある。実際筆者も記憶に残っているし、ゲーム史に残るCMなんじゃないかと思う。
 他方、結構厳しめの評価が目立つことも意外である。システム面では、アイテムはXで決定、スペシャルはYで決定というのがややこしいという意見が多い。直感的な操作を導入したつもりのはずだが、やはりAに統一した方がよかったかもしれない。
 さらに、「少し短く感じました」「簡単すぎてひょうし抜けした」というのもある。これに関しては、当時の他作品がすごすぎたと言うほかない。同時期にこれだけ出ているわけであって。難易度もロマサガ3やタクティクスオウガと比べたら簡単なのは仕方がないだろう。テイルズや聖剣伝説3も意外と難易度高いし。一方で、「全体的には簡単だけど、ミニゲームは奥が深い」という感想もある。
 あと、ルイージがほぼ出ないことに触れているコメントがここだけでも3件ある。前回も言ったように、ルイージにはコアなファンが結構いたのだ。
 ちなみに本作の個人的な評価としては、斬新なアクションコマンドと3Dマップ、マリオシリーズの雰囲気を存分に踏まえた世界観とキャラクター、充実のミニゲーム、下村氏の最高の音楽のどれをとっても素晴らしく、世界最高のRPGの1つだと思っている。舌が肥えすぎていた当時のプレイヤーは幸せである。  

隠し要素の発見

 現在、レトロゲームの紹介や動画を見ると、「こんな要素どうやったらわかるんだ」とか、「当時のプレイヤーの9割が気付かない隠し要素の紹介」とかいったものをよく見るが、それは当時のプレイヤーをなめすぎってものである。
 感想と同じく、あの当時は攻略情報についても攻略Wikiなんてものはなく、雑誌に頼るしかなかったわけだが、本作の隠し要素がいかにあっという間に明かされたかを示す資料がこれである。

ファミリーコンピュータMagazine 1996年4月19日 No.8 p.118

こちらは上と同じ号のものだが、読者投稿の隠し要素が多数集められており、ひまんパタこうらなども早速見つかっている。

ファミリーコンピュータMagazine 1996年4月19日 No.8 p.120

クリスタラーについてももちろん発見済みである。別の用途がある「ぴかぴかいし」がキーアイテムというのはなかなか難しいはずだが、ここで触れたようにスクウェアといえばクリスタルという印象は結構強かったので、発見も早かったのだろう。

ファミリーコンピュータMagazine 1996年4月19日 No.8 p.119

あまつさえ、どうやって見つけるんだというレベルの、メニュー画面での隠しコマンドすら発売1ヶ月足らずで発見されている。書いてある通り非常に複雑なコマンドのため、たとえ偶然出せたとしても再現は困難である。島根県のドクキノピオクンは何者なんだ。
 加えて、ページ端の「場外技」にも要注目。メリー・マリー村で仲間から怒られるとか、追いかけてきたピーチを無視すると怒られるとか、細かい隠しイベント的なものも網羅されている。
 こうした雑誌による情報共有があったので、クリスタラーのような隠し要素が広まるのに、今と比べてせいぜい2週間ほどの差しかない。発売1ヶ月後には今と同じくらいの情報量が集まっていたわけである。

ファンアート

 最後に、ファミマガの読者投稿コーナー「RPG(RGB)マニアック」に掲載されたマリオ関係のイラストをご紹介。
 聖剣伝説3のキャラ人気爆発によって始まったこのコーナー、主に聖剣3やロマサガ3にルドラなどのスクウェア作品と、テイルズ、スターオーシャンのキャラが席巻していたが、マリオRPG関係のイラストも多少見つかったのでまとめて載せてみよう。

投稿されているのはほぼマリオとピーチのみで、他のキャラが見当たらないのは残念だが、その中でパックンフラワーは異彩を放っている。やはりあのCMのインパクトが強かったのだろう。


 ということで、ここまでスーパーマリオRPG特集として、発売当時の雑誌資料から制作者インタビューや開発中の画面写真、ファミマガによる予想にファンの反応を紹介してみた。
 本作をさらに楽しめるきっかけになれば幸いである。

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