ローグライクアクションとは

Gayaline

 現在、ゲーム業界でもっとも熱いジャンルといえるのが、ローグライクアクションです。
今回は、多数のローグライクアクションをプレイし、その中のいくつかは攻略も作って、このジャンルについてはそれなりに詳しくなったんじゃないかという筆者が、ローグライクアクションとは何かについて解説していきます。


ローグライクアクションとは

 その中身は、その名の通りアクションゲームにローグライク(不思議のダンジョンシリーズなど)の要素を加えたもので、ステージがランダムで生成され、入手できるアイテムや出現する敵も毎回異なるやられたらほとんどの蓄積が失われる(かつセーブから再開できない)という2点がキモになっている。

 ローグライクアクションはStrange Adventures in Infinite Space(2002)やSpelunky(2008)、Desktop Dungeons(2010)が先駆と言われているが、このジャンルを印象付けたのは何よりも2011年リリースのThe Binding of Isaacだろう。ダンジョンのランダム生成自体はディアブロなどにもあるので、いろいろな要素が整ったのがアイザックだといえる。あるいはバロック(1998)は3Dだが、このジャンルの要素を備えており、密かな先駆作品といえる。アイザックの後はEnter the Gungeon(2016)やDead Cells(2018)など傑作が登場し、さらにフォロワーが次々と現れるローグライクアクション戦国時代の様相を呈している。

適切なジャンル名は?

 ローグライト(roguelite)という用語も普及しており、つまり軽いローグということだが、ローグ要素が軽いかどうかよりも、アクション要素があるかどうかの方が本質的だと思うので、ローグライクアクションという名称を推したい。エストポリス伝記のいにしえの洞窟(あるいはよみがえる伝説全編)のようなランダムマップで戦闘がエンカウント型RPGのものなどは、ローグライク要素は軽いがこのくくりには入らないだろう。

 また、関連ジャンルとの兼ね合いというのもある。たとえばSlay the Spireは戦闘はカードバトルで、カードの入手のランダム性と、プレイするたびにデッキが初期化されるシステムのため「ローグライクカードゲーム」と呼ばれているが、このように別ジャンルにローグライク要素を付加するということが結構可能なので(ローグライクシューティングとかも面白そう)、「ローグライク~」という名前で分けるのがいいだろう

 他方でディアブロのようにダンジョンやアイテムにランダム要素の強いハクスラは近接ジャンルといえるが、1プレイの長さや、やられたらすべて失うかどうかが違いといえる。見方を変えれば、常にハードコアモードのハクスラがローグライクアクションともいえるだろう。

 さらにややこしいことに、ローグヴァニアという呼び方もDead Cellsなんかを対象に聞いたことがある。これはメトロイドヴァニアにローグライク要素があるということで、このジャンルには「横画面」「マップが上下左右に広がる」「隠しアイテムや成長要素がある」などの要素が含まれている。確かにDead Cellsはそうで、他にもNeon Abyssなど同列の作品がある。ただこれに関しては、ローグライクアクション内の分類にあたるので、また別のレベルである。ローグライクアクション内部でどう分けられるかは、後に分類を試みてみる。

ローグライクアクションの定義

 ローグライクアクションはローグライク要素のあるアクションゲームということなのはいいが、ではローグライク要素とは何か。これが調べてみると結構ややこしい話で、なんでもこの定義をめぐって行われた話し合いと、その結果生まれた「ベルリン解釈」というのがあるらしい。それによると、

  • ランダムなマップ生成
  • パーマデス(死ぬと最初から)
  • ターンベース
  • ノンモーダル
  • 複数の手段
  • 満腹度など
  • ハクスラ要素
  • 未識別アイテム

というのが8つの重要な要素であり、これらを多く備えれば備えるほど「ローグライクっぽい」ものになるが、どれかが欠けていたからといってローグライクでないことにはならない。

 この中でややこしいのがノンモーダルというもので、複数のモードに切り替わらない、シームレスな内容のことを言うらしい。不思議のダンジョンのショップで専用の画面に入らないなどである(拠点のショップは専用の画面になるけど)。また複数の手段というのは、ドアを開けるのに鍵開けや蹴り破るなどの選択肢があるということで、杖は振っても投げても使える、というのもその一つだろう。 このベルリン解釈でたとえばElonaを判定してみると、一般にあまりローグライクというイメージはないが、実際はパーマデス、ノンモーダルの要素以外はそろっていて、Angband系列であることがよくわかる。

 この定義でローグライクアクションを見てみると、あるのはだいたい「ランダムなマップ生成」「パーマデス」のみである。そういう意味では、厳格なローグ定義からすると「ローグライトアクション」が適切かもしれないが、まあもう少しローグライクの幅を広く取ってもいいだろう。

 これらがあるアクションゲームをローグライクアクションとしたいが、やはりどんな定義にも境界線上の事例はつきもので、クリプト・オブ・ネクロダンサーはどうなるのかとか、チョコボの不思議なダンジョンにもアクション要素があるとかややこしくなってくる。もしかしたら、これらのローグライクにアクション要素を付加したものは入れず、アクションにローグライク要素を付加したものをローグライクアクションとするのが、一番すっきりするかもしれない。

ローグライクアクションの分類

 では今度はローグライクアクション内でどのように分けられるか。これは概ね、アクション部分の分類ということになる。大きくは見下ろし画面か横画面かで、後者をローグヴァニアと言うならば、前者はアイザックやガンジョンが当てはまり、ローグゼルダになるだろうか。それに加え、Spelunkyのような真下に降りていくものもCavebrazersやゼノンヴァルキリーなどフォロワーがあり、ローグスペランカーみたいに呼べる。

 多くがこの3つに収まるが、クリプトダンサーのようにローグ要素が強めなもの、バロックのようにFPSのものもあるし、元になるアクションゲームの数だけ内部分類は増やせる。まとめるとこんな感じである。

ローグライク由来の面白さ

 ローグライクアクションのどこが面白いかと聞かれれば、その多くの点は一般的なローグライクの長所と同じだといえる。つまり、チャレンジするたびに内容が異なるランダム性が大きいことと、やられたらすべてを失う代わりに、プレイヤー自身の腕がその分上達していき、知識も豊富になってうまく進めるようになるという、プレイヤースキルに依存する部分が大きい点である。
 ランダム要素というのはやはりゲームを面白くしてくれるもので、不思議のダンジョンが1000回遊べると言われていたように何度プレイしても飽きることがないし、決まりきった展開にならないので、動画配信などしてもその都度盛り上がるかもしれない。

 また、作品によってリセットされない成長要素の多寡に違いがあるのもローグライクと同じである。多くのローグライクアクションは全体を通した成長要素は廃しており、それらはアイテムのアンロックに留まっている。Spelunkyなどはアンロックされるのはキャラの見た目しかない。他方でダングリードのように、レベルアップやアイテム持ち込みなど次回のプレイが有利になる要素が入っているものもある。とはいえ、レベルアップだけでどうにかなるわけではないし、逆に初回プレイでもラスボスを倒せるのがほとんどである。

 加えて、完全クリアがやたらと大変というのもローグライク的である。だいたいにおいて通常エンディングの他に真エンディングや隠しボス、高難易度などが用意されており、最初は無理なんじゃないかと思えるほどの強敵が待っている。デッドセルズでは必死にラスボスを倒したと思ったら次の難易度が出現し、全6段階でどんどん敵が強くなるのだからとんでもない。ところが、プレイヤースキルが洗練されていくと案外なんとかなったりするのがローグライクアクションであって、その過程では自分がとてもうまくなっているのが実感できる。

 さらに、洗練されるのはスキルだけではない。知識もクリアのためには結構重要な要素であって、これはアクションになっても変わらない。アイザックで言えば、どこに隠し部屋ができやすいかとか、爆弾はどこに使うのが効率的かとか、プレイがうまくいくために必要な知識が多数ある。そういう知識は口で伝えることができるので、攻略も作りがいがあるというものである。

ローグライクアクション特有の面白さ

 この2点に加えて、面白いローグライクアクションには、取れる手段の多様さあるいは成長の幅広さというものがあると思う。アイザックに顕著だが、進めていくとただHPや攻撃力の数値が上がるのではなく、入手したアイテムによってキャラが徐々にパワーアップしていき、その組み合わせによって成長の方向性が毎回異なってくる。この部分には、プレイヤーの意思が介在しやすいゲームとしにくいゲームがある。アイザックの場合入手できるアイテムはそこまで多くなく、選択の余地があるのはショップくらいのものである。他方でCavebrazersのような装備の付け外しができるタイプは入手した多数のアイテムから適切な組み合わせを模索することになる。成長の特化が重要なデッドセルズもこちら側だろう。両者の違いはランダム性を重視するか戦略性を重視するかで、それぞれの良さがあることは間違いない。アイザックやガンジョンでは、特定のアイテムを組み合わせた際に発揮されるシナジー効果が多数用意されている。他方デッドセルズやLegend of Wizardは、自分でシナジー的な相乗効果を発見する楽しみがある。

 要約するならば、これは「ビルド」を作る楽しさということで、プレイスタイルに合わせて最適解がさまざまに分かれるのが、ローグライク特有の面白さということだろう

どこまでも広がるローグライク

 まとめると、現在のローグライク戦国時代に何が起こっているかというと、ローグライクの要素はいろいろなゲームに付加することが可能だし、そうすると非常に面白いゲームが生まれるということに人類が気づき始めたということである。

 市場にはすでに無数のソフトがあるが、まだまだ組み合わせが試されていないジャンルはあるし、今後ますます展開が期待できる、最注目のジャンルがこのローグライクアクションなのは間違いない。

 以下にレビューや攻略、ランキング記事も作ったので、このジャンルのおすすめ作品を探している人は、ぜひ参考にしてみてほしい。

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