田尻智氏インタビューと未発売ゲーム「マジックボール」

Gayaline

今回もサテラビュー通信から貴重な情報をお届け。

サテラビューで受信できるスーパーファミコンアワーで放送された番組の1つに、「ゲーム虎の大穴」がある。

放送時期や時間帯などは以下のページにまとめたが、放送開始直後の1995年の夏には「夏休みスペシャル」となり、これまで10分だったところが20分×2に拡大された。

サテラビューで放送された番組・マガジンの一覧。

SFC用の衛星放送ツール「サテラビュー」で放送されていた番組と、マガジンの一覧を掲載しています。記載されている情報は当時のゲーム雑誌から調べ上げました。今や誰も知る人のいない貴重な写真が盛りだくさん。

その夏休みスペシャルの後半部分については詳細不明だったが、サテラビュー通信がその内容を保存していてくれた。「ゲームフリークス」というゲストにインタビューするコーナーのうち、その名前にぴったりなゲームフリークの田尻智氏を呼んだ回の詳細が載っているのだ。

サテラビュー通信 1995年10月号 通巻4号 p.19

当時も結構有名だったとはいえ、ポケモンでブレイクする直前の田尻氏の貴重なインタビューである。内容は見ての通り、ベストゲーム5本とサテラビューに関する意見が語られている。ベストゲームはマガジン形式の解説付きで配信されているが、任天堂ハード以外だったらどうなっていたのか少々気になる。サテラビューに関しては、「ライブラリーのような感じで自由にデータを受信できればもっといい」という、十数年後に実現することになるアイデアを提示している。

ゲームフリークの新作って?

この田尻氏の発言部分は短いので大して重要でないように思われるかもしれないが、最後の箇所に注目してほしい。ゲームフリークから近いうちにSFCとGBの新作が出ると言っているところだ。これは何のソフトだろうか。

GBの方は当然ながら、約半年後に発売のポケモン赤緑である。これは言うまでもなく化け物級のヒットとなりゲームの歴史を変えた作品であるが、この当時は前情報もあまりなく、特に期待もされていなかった(ついでに発売直後も任天堂ファンの多くが64に注目してたのでほとんど話題にならなかった)。

しかしSFCの方は?スーファミの歴史に精通した人なら、ここで2本のソフトが思い当たるだろう。1つは1997年に発売された「BUSHI青龍伝」だ。見た目はアクションなのにターン制で、少ないターンで敵の撃破を目指すという変わり種のゲームで、杉森建氏のグラフィックがたっぷり堪能できる作品となっている。

ゲームフリークがその後SFCで発売したソフトはこれだけである。ではもう1本は何なのか。実は、前回に続いてこちらも発売されなかったソフトがあるのだ。

「マジックボール」:幻のジェリーボーイ2

それがマジックボールというソフトである。これはジェリーボーイ2として開発されていたものの、何らかの事情があって発売元を変更しなければならず、POWというパブリッシャーから出すことになったが、結局発売中止となってしまった。ネット上の情報によると流出したサンプルロムがあるらしいが、そんなものに頼らなくてもファミマガに記事がある。

ファミマガ64 1997年No.4 p.105

タイトルも発売元もジェリーボーイと違うが、ゲームフリーク開発であることが語られている。そして何より、この画面は誰がなんと言おうとジェリーボーイである。

おまけに本作では追加要素としてキャラクター選択が可能で、能力の異なる仲間を使い分けながら進んでいくものだったらしい。前作のジェリーボーイ自体が絶妙な操作感と難易度、多彩なステージで実に楽しい作品だっただけに、それがさらにパワーアップしたとなれば傑作間違いなしのはずだが、残念なことに世に出ることなく埋もれてしまった。

実際、当時このページを見た時に一発でジェリーボーイだと気付きとても楽しみにしていたが、その後何の言及もなくいつの間にか忘れ去られてしまったのはだいぶショックだった。

そうなってしまった以上諦めるしかないが、こうして記録して少しでも記憶に残るようにしたい。

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