【マリオRPG特集】本作の制作スタッフについて

RPG史上でもほぼ最高傑作に位置するんじゃないかと思っているソフト、スーパーマリオRPGがこの度リメイクされるということで盛り上がっているので、本作についての過去の情報なんかを紹介していきたいと思います。
まずは本作の制作スタッフや、制作過程についての貴重な資料をお見せしましょう。スタッフインタビューもあります。
というわけで、ここではマリオRPGが1996年に発売された前後の情報をお届けしよう。たまたまこの時期はよく知っているので、手元にはいろいろな資料もある。
制作スタッフについて
本作の制作は、当時のスクウェアの開発第五部が行っている。Subeaki氏のとても詳しいサイトによると、開発第五部は時田貴司氏の下でライブ・ア・ライブ(1994年発売)を制作していたが、同時並行でマリオRPGの制作にとりかかっていた。
ただしスタッフを見ると、部署は第五部であるものの、LALとの共通メンバーはあまりおらず、半熟英雄と共通する人がそこそこ、FFUSAと共通する人もある程度という感じである。加えて、FF6のスタッフも何人か参加している。
こちらで解説しているが、ディレクターの1人である藤岡千尋氏はクリスタルソフトからスクウェア大阪に移り、FFUSAを開発した後で第五部に来ている。藤岡氏はその後アルファドリームを興してコトバトルを作るため、マリオRPGと同じチームで作られた別作品はないといっていい。
もちろん、64のマリオストーリーはインテリジェントシステムズ制作なのでスタッフはまったく違うし、アルファドリーム制作のマリオ&ルイージRPGシリーズともディレクターの前川嘉彦氏や音楽の下村氏以外はほとんど共通点はない。
意外と一期一会のチームによって作られたのが本作だったのである。
開発の流れについて
手元の資料を調べたら、開発の流れを記した記事がファミマガにあったので載せてみよう。
さらに詳しい情報は、ファミマガ1995年8月25日号の付録「夏のNintendoまるごと攻略ブック2」にインタビューがある。この資料は今回の目玉なので、たっぷり紹介しよう。
ちなみにこの号が発売されたのが8月11日で、ファミマガではこの時が初登場となっている。
これを読むと、マリオをRPGにするという話はスクウェア内でも上がっていたが、94年頭に開発がスタートし、任天堂と協議しながら世界観を作っていった。その後3Dのグラフィックを作り、ストーリーやプログラムを作りで、95年8月には概ねここまで完成している。
当時としては画期的だった(スーパードンキーコングとかでは使われていた)3Dによるキャラ作成の様子はこんな感じ。
別のページには、
タイトルにこそRPGの文字を使用してはいますが、われわれとしては従来のRPGとは違うRPGというとらえかたをしています
マリオならではのアクション性と、RPGならではのシステム性の2つを合わせもち、かといってアクションRPGというわけではないゲームを作っています
という言葉も載せられているが、そのコンセプトは見事に実現して、本作ではアクション要素のあるコマンド式RPGという新ジャンルを開拓することに成功したといえるだろう。
続編の計画?
本作に2はなく、ペーパーマリオやマリオ&ルイージRPGシリーズに全体的な雰囲気が継承されていくが、本作に続編の企画がなかったのかと言われると、決してそうではなかった。こちらを見ていただきたい。

これは、本作のほぼ発売直後に掲載された広告である。ここからわかるように、早速続編が企画されており、そのためのスタッフが募集されていた。普通続編というのは前作を経験したスタッフが主に作るものだが、なぜこのような募集が必要だったのか。当時の状況を知っている人ならば想像がつくだろう。
こちらに以前まとめているが、1996年というのはNintendo64が発売された年であり、なおかつFF7がPSで発売されるという情報が2月に出て、スクウェアが任天堂から離れることが判明して業界がざわついていた時期だった。
ちなみに2月以前までは、FFの続編もNintendo64で出ると考えられており、このように試作版も作られていた。

96年のこのタイミングで任天堂とスクウェアの決裂が起きたのであり、もはやマリオRPGの制作をスクウェアに頼むわけにはいかなかった。この広告の未経験者おことわりという口調からも、当時の切迫していた雰囲気が伝わってくる。
ここで募集されたスタッフが何を生み出したのかは定かではない。もちろんマリオRPG2は出なかったし、マリオストーリーが出たのは4年も後のことだった。結局続編の計画は頓挫したのか、それとも別作品につながったのかを知るには、さらなる調査が必要となるだろう。
今回は、マリオRPGの制作スタッフと制作過程について、手持ちの資料からわかることを提示してみた。
まだまだ当時の資料はあるので、引き続きマリオRPGの情報をお伝えしていきたい。