ゲーム情報専門・火の鳥ブログ

最新の記事

2018.12.09

なぜゲームの乗り物は事故るのか:3つの理由

アイキャッチ画像

 ゲームでいやに多発する乗り物事故。それほど乗り物が事故る理由はなんなのでしょうか。今回は、RPG乗り物事故調査報告書で集めたデータをもとに、乗り物事故が起こる理由を考えてみました。その結果それっぽい理由が3つ見つかったので、多発する事故の謎の解明に近づけたんじゃないかと思います。

 先日の更新では、「RPG乗り物事故調査報告書」として、RPG内で乗り物が事故るケースをできるだけ集めてみた。ここで気付いたのが、事故が多いゲームと少ないゲームが対照的なことである。上記ページを見ていただければ一目瞭然だが、FFは明らかに多い。初期から存在するだけでなく、シリーズが進むと数もどんどん増えていく。定義から外れるので入れなかったが、FF9でも劇場船プリマビスタ撃墜や黒のワルツ3号によるカーゴシップ破壊など、乗り物が壊されるケースは依然として多い。これと対照的なのがドラクエである。戦車が壊されまくるスラもりはともかく、本家シリーズはどう頭をひねっても事例がほとんど出てこなかった。

 であれば当然気になるのは、乗り物が事故りやすいゲームとあまり事故らないゲームの差は何か、ということである。この点に関してはツイッター上でもいろいろな意見を聞いたが、今回調べていてある程度の結論に達したのでそれを解説してみよう。最終的には、なぜゲームで事故が起こるのかという理由も明らかになるはずである。

 

理由その1:事故りうるものが出るから(世界観の違い)

 最大にして誰も思い当たっていなかった理由がこれだ。つまり、事故れるものを出すから事故るということである。逆にすれば、事故りうるものが出ないから事故りようがないとも言える。

 この視点のヒントとなるのがバイオハザードである。バイオをはじめとするカプコンのアクションゲームで出てくるヘリコプターはやたら墜落するということが昔から言われている。このページでは実際に落ちたカプコンヘリがまとめられている。ここで考えてみたのが、なぜヘリなのか?ということだ。おそらくその答えは、出せる乗り物がヘリくらいしかないからである。バイオハザードやディノクライシスなどのパニックものはだいたい、孤島や人里離れた研究所、あるいは閉鎖された都市が舞台で、通常の乗り物は近づきづらい。かといって飛行機では着陸場所に困る。戦車は可能かもしれないが、何より主な用途である「脱出」に向いていない。他に考えられるのはオフロードタイプの自動車くらいであり、こちらも結構事故っている。また同時に、人間側の悪いやつらと戦う場合でも、ヘリはぴったりである。飛行機では、MGS2のようなハリアーでもない限り一箇所に留まっていられない。結局戦場にせよ町中にせよ、ヘリが一番汎用性が高いためよく出てくるのである。そしてよく出てくるものはよく落ちる。どうせ壊すなら、その場で炎上するだけの地上の乗り物より落下してたいてい爆発するヘリの方が絵になるというのもある。

 この話でわかるのは、なぜ事故るかを考える際には、そもそも事故りうる乗り物が存在しているかに注目すべきだということだ。それはどんな乗り物か。ここで当ページのトップに載せた事故統計を見てもらいたい。被害対象は上位から、船舶、航空機、宇宙船、自動車である。そしてドラクエを思い出してみよう。このうち、ほぼ船しか存在しないのだ。空飛ぶ乗り物はあるにはあるが、鳥やドラゴンや馬、気球や城や石など変わり種ばかりである。こういった乗り物は基本一品物なので、墜落して壊れたりしたら元に戻りそうにない。このドラクエの空の乗り物群を見ていくと、FFとの世界観の違いがわかるだろう。FFでSF要素が入ったのは6や7からだと思われがちだが、初代から超文明の飛空船が出てくるし、2からは基本通常技術で飛空艇が作られている。似たような剣と魔法の世界に見えて、ドラクエとは世界観がずいぶん違うのである。空には多数の飛空艇が飛んでおり、飛べば飛ぶだけ、今考えた概念である「可事故性」が高まる。FFとドラクエの差はこういうわけなのだ。もっと言えばおそらく、中世よりも現代のほうが、現代よりもSFのほうがというように、文明が進めば進むほど乗り物やコンピューターが増えて、事故が起こりやすくなる。事故は文明の発達の負の側面なのではないだろうか。

 しかし、ドラクエにも船は存在するし、ドラクエの船は事故らないがFFの船は事故る。どうやら、まだ見落としている要素があるようだ。

 

理由その2:すぐリカバーできないから(システムの違い)

 ゲーム、とりわけRPGの乗り物事故を比較する際に重要なのは、事故った結果としてどうなるかである。類型化してみると、乗り物を失う未知の場所に飛ばされるパーティーがばらばらになるなどが挙げられる。こうした事態が起こったとして、ドラクエだとどうなるか考えてみよう。どの場合でも、ルーラを使えばどうにかなってしまうのである。未知の場所からは帰ってこれるし、パーティーは基本離脱のないシステムだ。乗り物がなくなっても元の町には戻れるので、結局のところ修理や再入手の手間が増えるだけだ。となると、事故が起きても特に展開が変化しないということである。

 つまり、主にルーラとパーティーシステムのせいで事故への回復力が生まれ、その結果として事故が起こりづらくなっている。この点については、類似のシステムを導入しているゲーム、メタルマックスや桃太郎伝説、エストポリス伝記やブレスオブファイアなどでも同様だろう。これらの事故率をルーラなしのゲームと比較してみれば、顕著な差が出るだろうということは自信を持って言える。今になってわかったが、ルーラの存在は便利な半面、ストーリー展開が相当程度限定されるという危険な側面があるようだ。ゲーム開発の際には導入には慎重な検討が必要だろう。ともあれ、この理由をまとめれば「事故からの回復力」がない時に事故は起こるということである。

 

理由その3:事故る意味があるから(ストーリーの違い)

 これは理由その2と密接に関係しているが、事故った結果としてストーリーが変動する際にのみ、事故は起こるといえる。乗り物事故は、何らかの展開の変化をもたらしたくて起こすものなのである。サロニアのように行けるところを制限したり、FF4のようにパーティー人数を一旦減らしたり、火力船沈没のように新たな道を見つけたりといったことだ。マザー2のスカイウォーカーも、あれを使ってそのまま次の町に行けたら困るから壊れるのだろう。こうして行動を誘導する方法が、ドラクエではしばしば通用しない。それは主にルーラのせいだが、その影響でストーリーの性質も変わっているといえるだろう。つまり、「事故り甲斐」がある時に、事故は起こるのである。

 逆にストーリー上の事情が事故率を決定づける部分もある。それはストーリーの流れが「旅」かどうかである。多くのRPGは旅するものなので気づきにくいが、たとえばウィザードリィのような拠点とダンジョンを往復するものは横の移動がないせいで乗り物に乗りようがない。エレベーターくらいである。その他にも、拠点でクエストを受けてどこかに向かうようなゲームも、拠点がなくなったら困るのでまず事故らない。理由その1と似ているが、「乗り物に乗らなければ事故らない」のである。

 

コブラジョジョの謎、解明される

 ここまで理由を考えたことで、先日浮かび上がった謎への解答が得られたように思われた。それはSFCのジョジョの奇妙な冒険のRPG、通称コブラジョジョに関する話である。前提として、ジョジョの特に3部と5部は、やたらと事故が多いという事実がある。まるで乗り物に乗るのを待っているかのように敵が襲ってきて、最終的には飛行機が墜落する。事故が多い以上に、乗り物内での戦闘がとても多いのである。これはおそらく、荒木氏が乗り物内という環境をバトルに適したものとして効果的に使っているからではないかと考えられる。つまり狭い乗り物内で敵が襲ってくれば、大勢いる仲間は分断されるし、行動は制限されるし、乗り物内のギミックも活用できるというわけだ。その結果としてバトルがトリッキーで面白いものになっていることはわかるだろう。それ以外の理由としては、理由その1(現代が舞台だから)や理由その3(旅をするストーリーだから)も挙げられる。

 さて、翻ってSFCの3部ゲーである。話していてわかったが、本作ではあれだけ多かった乗り物事故がほとんどカットされている(ゼロかもしれない)。ストレングスは館がそうであり、グレーフライは飛行機じゃない場所にいて、エンプレスはなんかいない。これはなぜか。クソゲーだからという安易な結論で片付けてはいけない。答えは3・・・ではなく理由その2「漫画とゲームでシステムがまったく違うから」である。まず、先ほど挙げた乗り物内で戦う意味を思い出してみよう。パーティーの分断はありえるが、乗り物内という空間を生かしたバトルや、ギミックの使用は期待できそうにない。逆にゲーム方面から考えると、本作はストーリーの都合上引き返せない旅であり、乗り物を壊して利用を制限する意味もない。結局のところ、これは漫画とゲームの違いが生んだ差なのである。これがもしアクションゲームだったら、個性的な地形は意味を持ったかもしれない。実際にそれが活用されているのはPS2の5部ゲーである。

 これで謎は解けただろうか。おそらく、他の「原作と違う」現象も、こうしたゲームと他メディアの違いから生まれているものもあるのだろう。とはいえ、事故でストーリーを劇的にするという意味は依然として残っており、こればっかりはコブラジョジョのストーリーが悪いとしか言いようがないが。

 

まとめ:なぜゲームで事故は起こるかの3つの理由

 以上の話をまとめてみよう。ゲーム、特にRPGにおいては、次の3つの要素があればあるほど事故が起こるといえる。

  1. 可事故性 事故を起こしうる乗り物が世界に存在していること
  2. 事故への回復力のなさ 事故をリカバーする手段がシステム上ないこと
  3. 事故り甲斐 事故によって変化が起こるようなストーリー展開であること

ここまでわかれば事故の予防策もバッチリだろう。つまり世界観は航空機のない中世かそれ以前で、ルーラが使えて、強制的なストーリー展開のないクエスト受注型などのゲームなら事故は起こらない。これで警察署の交通課もニッコリである。


2018.10.21

SNK対ホリ電機の裁判~サードパーティ製コントローラの販売の是非~

 ゲーム機コントローラ一覧を作成している過程で、かつて起こったある裁判の記録に行き着きました。この裁判、現在ではほとんど知られていませんが、ホリ電機をはじめとするサードパーティのコントローラ販売に大きな影響を及ぼしうるものだったようなので、以下にその内容を解説してみたいと思います。

 問題となるのはネオジオを発売していたSNKがホリ電機を訴えた「平成5年(ワ)12306号」の裁判で、「著作権判例データベース」から判例を見ることができる。また「SOFTIC YWG資料」のページも参照した。
 加賀氏のエムブレムサーガに対する裁判を調べた際と同じく、筆者は法律の専門家でないので解釈が正しいかは保証できないが、それでもわかる限りのことを書いてみる。

SNK側の主張

 SNKが問題視したのは、ホリ電機が発売していたネオジオ対応コントローラの「ファイティングスティックNEO」と「ファイティングスティックNEO II」。これに対して、主位的請求として以下の3つの点で違反があるという訴えが起こされた。

  1. 映画の著作物の著作権に基づく請求

ゲーム機上の映像は映画の著作物として扱われるもので、両コントローラは「購入ユーザを手足ないし道具として利用して映画の著作物を上映せしめている」つまりホリ電機が映画の上映を行っていることになり、上映権を侵害している。そのため販売差し止め、金型・部品の破棄、損害賠償を請求。

  1. 著作者人格権(同一性保持権)に基づく請求

原告は純正コントローラが使用されることを前提として、ゲームを設計している。これに対し両コントローラには連射機能がついており、それにより「本件ソフトウェアのプログラムに込められた原告の思想又は感情を原告の意に反して改変してしまうもの」となる、つまり連射機能付きのコントローラがゲーム内容を改変しているために、同一性保持権の侵害である。そのため販売差し止め、金型・部品の破棄、損害賠償を請求。

  1. 不正競争防止法に基づく請求

ネオジオのハードによる映像はネオジオの純正コントローラがSNKの商品であることを示す「自他商品識別機能及び出所表示機能を有する商品表示」に該当し、周知性を得ているため、ホリ電機の両コントローラの販売は純正コントローラとの混同を生じさせるものである。そのため販売差し止め、金型・部品の破棄、損害賠償を請求。

 これに加え3と同じ不正競争防止法に基づく請求として、以下の予備的請求が出されている。

  1. 不正競争防止法に基づく請求(予備的請求)

「ネオジオ」「NEO・GEO」という表示はハードとしてのネオジオやSNK純正品を表すものとしてユーザーに周知されており、「ファイティングスティックNEO」という表記はSNK純正コントローラとの混同を起こさせる。それゆえ両製品の販売によって、ホリ電機は不当な利益を得ていた。そのため販売差し止め、金型・部品の破棄、損害賠償を請求。

 

SNKの訴えの意味するもの

 この裁判で問題になった法律は偶然にもエムブレムサーガの時と同じなので若干理解しやすかったが、読んでみるとSNKは結構ヤバいことを主張している。特に最初の2つである。1つ目は、コントローラの使用は作品の上映にあたるため、他社製のコントローラの使用はその会社による上映を意味し、上映権の侵害となるので他社がコントローラを出してはいけないという主張となっている。また2つ目は、連射機能付きコントローラはゲーム内容を製作者の意図に反して改変するため同一性保持権の侵害、つまり画像を加工するような行為だと主張している。この2つは、どちらも認められてしまったらサードパーティのコントローラ販売は困難となるものである。1つ目であればコントローラは全滅し、2つ目であれば連射機は違法ということになり、ゲーセンなども違法行為をしていることになる。

 しかし、素人目ではこれらは無理のある主張に見える。コントローラの操作が上映にあたるなら、何よりまずプレイヤーが上映していることになるのであり、そちらも罰されるのか(そうなったらゲームなど遊べやしない)、その上でプレイヤーではなくコントローラメーカーが上映を行っていると果たして言えるのかとか、コントローラからの入力が同一性保持権を侵害するなら、人力による連射や普通のゲームに釣りコンなどを繋ぐ行為も同じとなり、やはりプレイヤーが罰されるのかなど、疑問はいくつも挙がる。実際、ホリ電機側はこれに近い反論を行っている。1については上映主体がユーザーであると述べているし、2についてはどんな入力を行ってもプログラムの改変には繋がらないと言っている。

 この2つの点は、SNKが本気でこの訴えを起こしていたのか疑わしいほどである。どうも今回の訴えにある主位的請求・予備的請求とは、同時には成立しない2つの訴えを行う時に使うもので、たいていは主位的請求は認められる見込みは低いがリターンが大きいもの、予備的請求は前者がダメだった場合にこれだけなら通るだろうという限定された訴えとなるもののようなので、1と2が大胆すぎる主張であることはある程度わかった上での訴えのようだ。他方で3つ目はよくあるタイプのニセモノ商品の訴えであり、それなりに説得力があるように思われる。

 ついでに、裁判の流れ上、これらのコントローラの販売数が明かされている。個数について争いがあるが、ホリ電機側の言い分を信じるなら、「ファイティングスティックNEO」が1万9900個、追加販売9900個、「ファイティングスティックNEO II」が2万4300個のようだ。そして1個あたりの利益は2030円である。

 

裁判所の判断

 裁判所の判決は、主位的請求はすべて棄却、予備的請求は一部認めるというものだった。各争点についての判断は、

  1. ゲーム機による映像は映画の著作物に該当し、なおかつソフトの著作者はそのメーカーだと認められる。しかし、コントローラの製造販売はゲームの上映行為とはいえない。行為の主体はユーザーだからである。
  2. 連射機能の使用は、ゲームのプログラム自体を改変するものではなく、連射機能付きコントローラの販売は同一性保持権の侵害にはあたらない。
  3. ネオジオ内の映像は、純正コントローラがSNKの商品であることを示す商品表示とはなりえない。映像の商品表示機能はソフトについてはともかく、コントローラには及ばない。
  4. 純正コントローラには「NEO・GEO」等が表示されており、ファイティングスティックNEOの「NEO」はネオジオを指すことが明白であり、消費者に混同を起こさせていたといえる。

こうした判断の結果、ホリ電機コントローラの「NEO」表示の使用禁止と、1億2180万円(+金利)の賠償金の支払いがホリ電機に言い渡された。その他、ホリ電機側の反訴などもあったが、こちらも棄却されている。

 

判決の解説

 やはりというか、だいたい予想通りの判決が下されたと言える。つまり認められたのは、ホリ電機コントローラの「NEO」の表示が純正品との混同を招いたという不正競争防止法違反のみであった。その他の主位的請求に関しては、ホリ電機側の言い分が通ったといえる。

 またコメントとして、用途表示であれば問題なかったと言われており、「for NEO・GEO」や「NEO・GEO対応」であれば違反にはあたらないと指摘されている。

 

この裁判の影響

 最終的には、裁判所の真っ当な判断によってサードパーティ製コントローラの全滅や連射機能の違法化は免れた。他方で不正競争防止法違反によってホリ電機は手痛い出費を被ったのであり、今後訴訟が起こされないためにも、純正品と混同されないようなコントローラ製作の必要性が認識されたと推測される。つまり「for」や「対応」をつけるといった対策を取るようになったということである。実際にそうした表記は以後の製品で見られる。こちらの一覧を参照

 この裁判はまた、サードパーティによるコントローラ販売はあまり歓迎されていないということがうかがえるものだった。もちろんハードメーカーによって認識は違うかもしれないが、SNKのようにそうしたコントローラは「パクリ商品」だと思っているメーカーもいたということだ。ホリ電機はこれ以後も個性的コントローラを多数販売し、ゲーム業界にとって欠かせない存在になっていると思われるが、そうなるためには、第三者によるパクリという批判的な見方を乗り越えなければならなかったのだろう。いずれにせよハードメーカーとコントローラメーカーの関係性という点は、ゲームの歴史を考えるにあたってぜひとも注目すべきポイントであることは確かである。

 


2018.10.20

ゲームコントローラの歴史とデータベースの重要性

アイキャッチ画像

 今回は、先日作成したゲーム機コントローラ一覧のデータを分析し、そこからコントローラの変遷についてわかることを調べていきたいと思います。全体として言いたいのは、それなりのデータを用意すれば、ゲームの歴史について確かなことが言えるんじゃないかというデータベースの重要性についてです。

 当サイトはゲームの歴史を整理することに少しでも貢献したいという意図で進めているが、歴史に言及する際にいい加減な内容にならないようにするためには、扱うものの範囲を十分に絞ることが大事だと考えている。そして範囲を絞る仕方には2種類あって、扱う時期を限定するか、対象を限定するかである。前者は以前作ったポケモンブームの考察に前例があるが、今回は後者の、対象を絞ってみたらどれだけのことがわかるかということに挑戦してみたい。

 以下の分析の基礎となるデータとして使用するのは、先日完成した「特殊・専用コントローラ一覧」および「汎用コントローラ一覧」だ。これはこれまでにどれくらいのコントローラが出ているか何となく知りたくなって集めてみたものだが、いざできてみると結構なデータとして使えるように思えたので、実際にやってみることにした。コントローラに対象を絞った時に、果たしてどんなことがわかるだろうか。

 

ゲーム機コントローラの発売数の推移

 上記データテーブルは、個々のコントローラにいくつかの要素が紐付けされているために、統計的な分析にかけることができる。たとえば基本的な疑問として、コントローラがたくさん開発・発売されたのはいつ頃だったのかという問いに答えてみよう。

graph1.jpg

先ほどの表から、このようなグラフが作れる。ここでは発売年が「不明」のものは除いてある。見ての通り、汎用コントローラは1995-1999年の期間に、特殊コントローラはその次の5年間にピークが来ており、両者の最盛期が異なるという結果となっている。では、このピークはどのハードによるものだろうか。次はハード順に分けてみよう。

graph2.jpg

全体の中から上位12ハードを発売年順に並べ、複数ハード対応のコントローラはすべてに加算している。ここからわかるように、3種のPSハードが全体の多くを占めており、とりわけ特殊コントローラはPSハードに多い。そうなると、1995年から2004年にかけてのコントローラ発売のピークはPSとPS2によるものが大きいといえるだろう。また、DSは特殊コントローラのみだが、その数16と2005年以降の特殊コントローラの増加に貢献している(ここではセンサーつきカートリッジなどもコントローラに含めている)。

特殊コントローラの種類別の発売数推移

 今度は、この時期に多い特殊コントローラとはどのようなタイプだったのかを見てみよう。リストで11に区分した分類を2つに分けてグラフ化してみる。

graph3.jpg

最初のグラフは主に物理的な操作に関係するコントローラを集めている。こちらも一目瞭然で、2000-2004年の期間にほぼ全カテゴリーの数が増加しており、ある種の体感ゲームのブームが来ていたことがわかる。特に音ゲーとその他実物再現(パチスロや釣りなど)のコントローラはこの時期にのみ増加している。他方で車や電車、飛行機の操縦コントローラは2010年以降、つまりPS3の時代にもそれなりの数存在している。音ゲーは減ったけどレースゲームはそれほどでもないというのは何か理由があるのだろうか(2000年代前半に音ゲーコントローラを出していたのはほとんどがコナミなので、コナミが以後ぱったりとコントローラを出さなくなったのが理由として最有力だろうが)。

graph4.jpg

 2つ目のグラフは、絶対数が少ないものの1つ目とは少々異なる様子を示している。ネットゲームがプレイ可能になることによってマウス・キーボードが増えるのはともかく、どれも(ペンタブレットを除いて)右肩上がりの増加を見せているのだ。2018年後半-2020年までのデータはないので、最後で減っているのは仕方ないといえる。また、他の特殊コントローラが増える1995-1999の期間にマウス・キーボードや外部データ読取が一旦落ち込むのも面白い。体感ゲームに目が向いて変わったタイプの入力機構からは関心がそれたのだろうか。あるいは、1990-1994の期間に何かしらのパソコンブーム(あるいは、ゲーム機がPCに追いついてきたか)があったと見るのがいいのかもしれない。

メーカーごとのコントローラの発売数の推移

 さて、先ほどコナミの話が出たが、今度はコントローラのメーカーに着目してみよう。

graph6.jpg

汎用コントローラに関しては、どの時代もホリ電機(HORI)の一人勝ちというか、非常に頑張ってくれている。イマジニアなど意外なメーカーも見られるが、世紀の変わり目を境にホリ以外のメーカーが入れ替わっているのが気になるところである。

graph5.jpg

特殊コントローラは見事に2000年以後のブームを反映しているが、その直後にコナミ、タイトー、アスキーは急速に下落している。他方で任天堂が目立ってくるのは、Wiiの各種コントローラに加えDSでセンサー付きのソフトを発売しているからである。どちらのグラフも、2015年以降はホリ以外の会社がコントローラ製造からほぼ撤退しているのが心配になってくる。

 グラフからわかるのはだいたいこんなところだろう。これに加え、個々のデータを見ることでゲーム機の拡張に関するアイデアの端緒や広まりを知ることができる。たとえばコナミは作曲メインにせよ1987年の「ドレミッコ」で早くも音ゲーに着目していた、とか現在のアミーボに近いフィギュア読み取りはGBAの「冒険遊記プラスターワールド」ですでに考案されていたとかそういうことである。全体として、ファミコン初期あるいはそれ以前からかなり多様な操作形態のアイデアは存在していたにもかかわらず、どれも支配的となるには至らなかったことや、ハンドルやフライトスティック、ペンタブレットを早々に導入するなどセガのアイデアは先進的だったなどということもわかる。アナログコントローラは電波新聞社の「XE-1AP」が初なのかとか、年代が下るに従って「~対応コントローラ」というコラボ商品に近いが増えていっているところも気にかかるが、これを見るにはさらに細かい情報収集が必要だろう。

 汎用コントローラの表は、余裕があればもう少し情報を追加したいところだった。つまり連射がついているとか、アーケード再現のレバーを備えているとかそういう情報をである。このことは今後の課題に取っておきたい。

結論:データベースの重要性

 最後に結論として、今回の調査で例示できたと思われる、ゲーム史研究の際のデータベースの重要性について少し触れてみたい。それは、

  •  対象をテーマごとにリスト化することはデータ化であり、それは何かしらの分析のために役に立つ。
  •  対象の情報の中でも、年代に関するものはとりわけ重要。それ以外のディテールもわかる限り記載するといい。
  •  自分で設ける独自の分類も、適切なものであればさらなるデータとなる。今回の例であれば、特殊コントローラの種別がそれにあたる。

ということである。もちろん、今回の調査結果が完璧とは言えない。取りこぼしたものはもちろんあるだろうし、発売年に関してもネット情報のために不安は残る。ただし、それなりに数が集まっているために、ここで示したトレンドが見当外れな内容ではないということは確かだろう。それもデータの力といえるものである。なので当サイトでも、できるだけ有用なデータを提供できるよう努力していきたい。


2018.09.24

海外ゲーム雑誌紹介:RetroGamer173号

 今回は海外のゲーム文化の一端をうかがえる資料として、海外ゲーム雑誌の内容を紹介したいと思います。紹介するのは、人気の高いレトロゲーム雑誌『RetroGamer』です。この雑誌はイギリスで作られていて、アメリカやヨーロッパ諸国でも幅広く見かけることができます。空港でも手に入るので旅行の際はぜひ探してみましょう。以下ではそのうちの2017年に刊行された173号の内容を見ていきます。

retro.jpg

表紙およびメイン特集はスーパーマリオサンシャイン。レトロゲームとしてこの辺の時代のものを扱っているのは珍しいかもしれない。またスーファミミニの姿も見られる。

 

 雑誌の構成はレギュラーページと個々のソフトの紹介が主で、内訳はこんな感じ。

抽出したページ 1.jpg

BubsyというのはSNESで出ていたゲームのキャラクターで、新作の「Bubsy: The Woolies Strike Back」が久々に出るのでそのメーカーへのインタビュー。ニュースはSam Dyerという人の『Neo Geo: A Visual History ネオジオ~目で楽しむ軌跡~』という新著(内容は英語)の紹介。海外でこんな本が出てるとは。Mr. Biffoはライターによるコラムで、その次のはクリエイターへのインタビュー。そしてお次はすごいコレクターを紹介するページ。

抽出したページ 2.jpg

今回紹介されているスティーブン・レスター氏は、1万ポンド(約150万円)ぶんのゲームを集めたようだ。そもそも好きなハードのAtari STがわからないが、ゲームパソコンのようだ。この人は海外ゲーム専門だが、日本のゲームも集めている人も別の号で見た。

 次のBack to the Noughtiesというのは特定の年のピックアップで、今回は2000年。WWFのゲームが最大の出来事らしい。あとは各ハードの売り上げトップも載っている。パーフェクトダークとか時のオカリナはわかるが、PSランキングがスポーツゲームに埋め尽くされているのはいかにも海外だ。また当時のゲーム雑誌の紹介も地味に貴重で、英語では『Computer & Video Games』『Edge』『Arcade』というのがあったらしい。

 

 その他は主にゲーム紹介だが、珍しいのはゲームの特徴なんかを解説するだけではなく、内容紹介や攻略もあることだ。マリオサンシャインだったらドルピックタウンだとかピンナパークだとかのマップ紹介があって、そのゲーム発売当時の雑誌に近い感じだ。単なる思い出語りではなく、「今からプレイする」というのを念頭に置いていることがうかがえてポイントが高い。以下はACのショックトルーパーズの攻略記事。なんともマニアック。

retro2.jpg

 他にも「文学原作のゲーム」特集なんかもあった。ホビットの冒険なんかはわかるが、『銀河ヒッチハイク・ガイド』のゲーム化があったとは。サウンドノベル的システムのようだ。

抽出したページ 4.jpg

 

 この号はアタリ2600とかアタリジャガーとか馴染みのないハードのゲーム紹介が多いが、カービィの鏡の大迷宮など日本製のものもちょくちょく出てくる。スーファミミニの紹介では、収録ソフトに対するライターの評価つき。

抽出したページ 6.jpg

アクションでは魂斗羅スピリッツと悪魔城ドラキュラ、スーパーメトロイドなんかが5つ星で、ロックマンXが3つとは。RPGではFF6とマザー2が満点で、マリオRPGが3つなのは納得がいかない。まあ筆者が点をつけるなら全部満点だけど。そしてカービィボウル(Kirby’s Dream Course)の真価は海外ではまだ理解されていないようだ。また、最後に書いてある「しかしこれはとても完全とは言えない。複数ジャンルが混ざっているのは楽しいと同時に不満でもあるし、バーチャルコンソールで新しいゲームをダウンロードできないのは機会を逃しているように思える」というのはまさに同意である。「ニンテンドー64ミニも早く来て!」これもまさしく。

 

 という感じで、Retrogamer誌はゲーム紹介あり、攻略あり、インタビューありと読み応えたっぷりのレトロゲーム雑誌である。これを読めば、海外にもこれだけのレトロゲーム好きがいて、日々知識を交換しているということがよくわかるだろう。本誌は電子雑誌販売サイトZinioで購入可能なので、気になった人はぜひチェックしてみてほしい。英語が問題なければ。

 

atari.jpg

アタリ2600ミニなんてあるんだ・・・

 

 


2018.09.02

ゲームの用語事典:「コントローラー」

 ゲームのいろいろな要素についてじっくり考えてみようというこのコーナー、今回はゲームをするには絶対必要な「コントローラー」に焦点を当ててみたいと思います。ここではコントローラーと言ってもゲーム機から独立したものだけではなく、DSのような携帯機のボタンなども含めた「操作系一般」を対象にしています。

 ガンコンや音ゲーコントローラー、Wii Fitのような特殊なコントローラーは別にまとめて扱う予定です。

 さて、以下ではまずコントローラーのボタンやレバーといった要素ごとに分けてその役割や発展を調べた後に、ゲーム史上の操作系の変遷について考えてみます。

各種操作系の役割と発展

ボタン

 あらゆる機械に欠かせないのがボタンであり、ゲーム機においても原初の時代から搭載されている。以後の操作系はこのボタンを派生させたものだとも言えるだろう。できることはオン・オフ信号を送ることで、信号は1回ごとに独立したものと、押しっぱなし(トグル)とがある。プレイヤーから見て反対側にあるボタンは押すよりも引く形になるので、トリガーと呼ばれたりもする。

 ボタンの発展形としては、ACの初代ストリートファイターやベラボーマンのような、押した強さを検知する機能付きのものがある。つまり1つのボタンから、複数種類の信号を送れるということである。この仕組は故障が多いとかであまり普及しなかったようだが、ゲームキューブのコントローラーのL・Rトリガーは「アナログトリガー」として、押した強弱を検知できる上、もう1段階「押し込む」という操作も可能になった。

 

レバー・十字キー

 ボタンと並んでゲーム黎明期から存在している操作系がこのレバーである。ボタンとの相違点は、上下左右のベクトル付き信号を送れることと、押しっぱなしがしやすいことである。そのため主にキャラクターの移動に用いられる。(が、もちろんパックランドのような例外もある)。十字キーはレバーの代用ないし発展形としておそらくファミコンを最初に導入されたもので、コントローラーを床に置かないでも操作しやすいというメリットがある。十字キーの導入により、手持ちで遊びやすいコントローラーが普及した。他方でアーケードなどはコントローラーは分離していないので基本的にレバー採用である。

 その後、レバーの側から発展形が生まれた。Nintendo64に導入された3Dスティックである。これはレバーの倒し具合によって同一方向に複数段階の信号を送れるもので、下記のマウスの機能により近づけたものといえる。これに対しSSはセガマルチコントローラー、PSはデュアルショックコントローラーで後を追い、以後アナログスティックと十字キーの同時搭載はゲーム機コントローラーのスタンダードとなった。

 レバーから十字キーになり、再度レバーが復活したコントローラーだが、携帯機にもアナログレバーを導入したいけど使えるスペースが限られているという難点を解決するために導入されたのがPSPのアナログパッドである。これは従来の高く飛び出ていたレバーとは違い、他のボタンと同程度の幅しか取らず、若干操作性は劣るが携帯する際にも邪魔にならなかった。3DSでもスライドパッドとして採用され、折り畳む機能と両立している。New3DSではCスティックという、一見してレバーに見えない新パーツも加わったが、対応ソフトがほとんどないので正直何に使うのかわからない。

 

マウス・トラックボール

 もっぱらパソコンで使用されるこれらだが、入力の特性としては360度の方向と速度を同時に伝達することができる。画面内の特定の場所に瞬時に移動するのに向いており、3Dゲームの視点変更にしばしば用いられる。これ一つで多くの操作をまかなえる重要な操作系だが、短所として平らな場所に置かないと使えないことや、手の多くの部分を占有してしまうことがあるため、手持ち型のコントローラーにはまず採用されない。

 この形式の端緒は、ほぼゲームの元祖と言える「ポン」にも使われていたツマミ型のパドルコントローラーだろう。これは2方向しか入力できず、速度も検知されないが、代わりにツマミの位置によって特定の場所へ瞬時に移動できる。これが使われている例がアルカノイドであって、FC版の専用コントローラーもこれである。

 

タッチパネル

 駅や銀行の機械に導入されていたタッチパネルは、精密な検知が可能となるほど発展した段階で、ゲーム機にも用いられることとなった。その始まりは1997年のgame.comという米国産の携帯機らしいが、普及したのはおなじみニンテンドーDSからである。その後PSP Vitaや3DS、Wii Uにも採用されたが、現在ではスマートフォンとタブレットの操作方法として幅広く用いられている。

 タッチパネルには明確な利点と欠点がある。利点の方は直感的な操作が可能、つまりわかりやすいということで、DSの学習系ゲームの隆盛に大いに貢献した。また画面の一点を瞬時に指定できるのでマウスの代わりの機能を果たすことができ、PC的なゲームや間違い探しなどには特に向いている。効果的な使用例としては「ナナシ ノ ゲエム」ではマウス代わりの視点移動用にタッチパネルを用いており、「すばらしきこのせかい」でDSはボタンとの同時使用により今までにない操作性を実現している。

 他方でタッチパネルには欠点も複数ある。最も重要なのが、直感的ゆえに精密な操作に向かないことである。携帯をスマートフォンに移行して文字の打ちづらさに戸惑った人も多いだろうが、まさにこのことだ。タッチパネルは任意の場所にボタンを設置できる代わりに、ボタンに物理的な境界がないので、手元を見ずに操作することは困難となる。スマホゲームでは仮想コントローラーを用意しているものもあるが、やはり実際のものに比べたら、細かい操作性は劣る。その分、押しすぎてボタンのバネが弱るようなことはなく、耐久性はおそらく仮想コントローラーの方が高いが。さらにタッチ操作の場合、画面を指で隠してしまうという難点もある。これを回避するには入力領域を分けるか、タッチペンを使うかだが、前者は画面が小さくなり、後者はボタン操作との両立が難しい。結局のところ、タッチ操作には向いているゲームとそうでないゲームがあるということである。

 

 ゲーム操作系の各要素についてはこんなところなので、次にハードごとの操作性について感想を述べてみよう。操作性というのは感覚的なものなので、あくまで印象ということになるが、コントローラーの発展について何かしら見えてくることはあるはずだ。

 

ハードごとの操作性の変遷

FC・PCE・メガドライブ

 それ以前のハードは触ったことがないのでこの時期から始めるが、この3つのハードのコントローラーには大差がないように思われる。どれも四角く、ボタン配置も似ているからだ。むしろこれらのハードは、多種多様な拡張コントローラーによって個性を見せている。触れるべきなのはファミコンの2コンはスタートとセレクトがなく、代わりにマイクがついていることくらいだろうか。このおかげで2人プレイ時に2プレイヤーにポーズの主導権がなかったりする。とはいえマイクが本当に必須になるのはたけしの挑戦状くらいなものである。

 

SFC・PS・SS

 SFCのコントローラーで起きた革新は、ボタンが色分けされたことである。何だそれくらい、と思うかもしれないが、色が違うおかげでボタンが増えても位置がわかりやすく、操作説明も理解しやすかった。何々ボタンと文字に書かずとも、赤い丸を表示すればAを押せばいいとわかるということである。また、色をボタンに対応させる謎解きのようなものもちらほらあった。

 SSはそうでもないが、PSのコントローラーからまた別の変化が起こり始める。持ち手が突き出してくるのである。これまでの平べったい長方形のコントローラーはメガドラ辺りから丸みを帯びてきていたが、PSに入るとさらに立体的になる。この流れはバーチャルボーイや64にも継承され、以後のコントローラーの定番の形状になる。やはりこの形が最も持ちやすいのだろう。

 

Nintendo64

 そしてコントローラーの発展を語る上で外せないのがこの64だ。立体的になっているだけではなく出っ張りが中央にもあり、持ち方が3通り(ライトポジション・レフトポジション・ファミコンポジション)もあるのである。そしてサイズも最大級にでかい。その割に持ちづらいことはなく、3Dスティックの導入も相まってFPS系ゲームの操作には最適だった。また耐久性も申し分ない。惜しむらくは、その豊富な操作タイプ(特に右手にスティックが来るレフトポジション)を活かすゲームがあまりなかったことである。つまり大半の人は右半分のみを持ってプレイしていた。

 

Wii

 その後ほとんどの据え置き機コントローラーはプレステ形状に収斂するので真新しいところはないが、その中でも一線を画したのがWiiである。ウリであるWiiリモコンは無線式で、モーションセンサーが内蔵されており、コントローラーで画面のポインタを動かすこともできる。おまけにヌンチャクというコントローラーの子分みたいなものを接続できる。

 Wiiリモコンはそれまでの特殊コントローラーに必要な機能を全部詰め込んだようなところがあり、銃にも剣にもラケットにもハンドルにもなる万能コントローラーだった。そのおかげでコストのかかる拡張装置を用意せずともさまざまな体感ゲームが作れるようになり、ソフトのバリエーションも増え、大ヒットを記録した。ただし欠点もないわけではない。旧来の操作系のゲームにはクラシックコントローラーで対応していたが、メニュー画面の操作にはWiiリモコンが必須であり、ワイヤレスということで必要なWiiリモコンの電池が妙に早く尽きた。とはいえ多少の欠点はあれど、非常に画期的な操作系だったことは間違いない。

 

Wii U

 マイナーかつ短命に終わったWii Uでも、操作上の革新は存在している。このハードはWiiリモコンによる操作をそのまま引き継いだ上で、ゲームパッドを新たに追加した。これはでかい3DSのような代物で、本体と無線で通信し、テレビと合わせて2画面を用いることが可能だった。またジャイロセンサーも内蔵されている。これにより可能になったのは、ゲームパッドをマップなどの補助画面にしたプレイや、ゲームパッドを左右に動かして、画面つきエイム装置として用いるプレイである。

 しかし、WiiUで何よりも革新的だったのは、ゲームパッドに携帯機に近い機能を持たせ、据え置きハードであるにもかかわらずテレビを不要にした点ではないかと思う。これは本体が処理を行い、画面をゲームパッドに転送するという形で実現したわけだが、バーチャルコンソールなどは明らかにゲームパッドの方がプレイしやすかった。実際この要素に任天堂も手応えを感じていたようで、後継機のSwitchでも同様のシステムを採用している。

 

携帯機

 携帯機の場合は、操作系は主にハードが縦型(GB・PCエンジンGT・GBASP)であるか横型(その他)であるかくらいしか大きな違いはない。ワンダースワンなどは十字キーを縦に2セット並べて、画面を縦にしても遊べるという斬新な仕様だったが、全体として横長画面の方が主流だから、あまり活用例はない。

 他方で、ボタンや本体形状による操作性はハードによって細かな違いがある。特徴的なのは、据え置き機のように一方向に進化するのではなく、進んだり戻ったり、良くなったり悪くなったりを繰り返している点だ。それは同一ハードのバージョン違いにおいて顕著である。たとえばゲームボーイアドバンス。初期のものは絶妙な丸みのあるデザインで持ちやすさを考慮してある上、耐久性能なども高いのだが、画面にバックライトがないという欠点があった。それが改善されたのがアドバンスSPやゲームボーイミクロだが、今度は形状が四角くなってしまった。ニンテンドーDSからDS Liteの流れも同様である。後者の方が小さくて画面も明るいわけだが、持ちやすさと操作していて疲れないかの点では、正直古いDSが上である。小型化し携帯性を高めていくと、どうしても他の要素が犠牲になるのだろう。その後の3DSやNew3DSでも持ちにくさは変わっていないので、左右にグリップを加えるオプションパーツを付けるのがおすすめだ。

 次にボタンと十字キーについては、独特なのはレバーになっているネオジオポケットである。やはりネオジオということで格ゲーが念頭に置かれているからだろうか。それ以外のハードは似たり寄ったりだが、やはり小型化すればするほどボタンと十字キーのサイズも切り詰められている。無印3DSなどは限界かというほどボタンが小さい。また、携帯機の場合はボタンの耐久性についても考慮すべきである。というのも据え置き機のコントローラーは一部を除いてダメになっても替えがきくが、携帯機の場合それはハードの寿命を意味するからだ。その点では、経験上ボタンのバネが弱りやすいのはPSPだった。アナログパッドにも動作認識の異常が発生したことがある。持ち運んだ結果さまざまな衝撃を受ける可能性がある分、携帯機の耐久性は無視できないものだろう。

 

操作系とゲーム性の関係

 ここまでいろいろなコントローラーの発展を見てきたが、その内容を踏まえると、操作系の違いが、ハードごとに得意なゲームとそうでないゲームを生んでいるということがわかってくるように思われる。セーブ方式と同様、操作系もゲーム性に影響するのである。わかりやすいのは、DSはタッチ操作ができるので万人向けの学習ゲームに向いているとか、Wiiは体感ゲームが多いという例だろう。

 その他に考えられるのは、「連打」という動作も結構コントローラーに左右されるのではないかということだ。連打が必要なゲームはファミコンとアーケードに多いが、携帯機では連打はやりづらいために、連打のいるゲームがあまりないのではないかと考えられる。というのも、連打はコントローラーを床に置いたほうがやりやすいし、携帯機で連打すると画面がぶれてしまうからだ。あとは、柔軟な視点変更が必要な一人称視点の3Dゲームにはマウスとキーボードの操作が最も向いているだろう。視点変更はスティックでも代用できるので、ちょうど3Dゲームが出だしたPS時代のコントローラーにスティックが普及したのはそのためではないだろうか。

 これらの関連性を考慮すると、「ゲーム機戦争」みたいなものに対しても、少々違った視点を持つことができる。たとえばPSと任天堂ハードのどちらが優れているか、といった問いに対しては、どちらも得意とするゲームが異なるので、お互いそれぞれの良さがある、と答えることができる。すべてPCゲームに移行していいのかということや、携帯機は今後も必要なのかという問いも同様だ。ハードごとに得意なゲームとそうでないゲームがあるので、ゲームを最大限楽しみたいならば、どの形態もあったほうがいい。どれかをないがしろにすることは、何らかのジャンルの衰退につながり、それは誰にとってもいいことではないだろう。何より大事なのは多様性である。


 以上、今回はゲーム機の操作系の種類と発展の歴史、および操作系が違うことでゲーム内容にはどのような影響を及ぼすのかということを考えてみた。これらを考慮すれば、現在のコントローラーはなぜあの形状をしているのかや、スライドパッドはなぜ平べったいのかということの理由がわかるだろう。すべては、操作しやすさの向上を目指した発展の結果なのである。それぞれのゲーム機の強みを理解することはゲームを作る側にとっては必須だが、ユーザー側にとってもコントローラーとはゲームとプレイヤーをつなぐ媒介の役割を果たしてくれるものであり、それ次第でゲーム体験そのものが大きく変化しているといえるだろう。