ゲーム情報専門・火の鳥ブログ

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2018.10.21

SNK対ホリ電機の裁判~サードパーティ製コントローラの販売の是非~

 ゲーム機コントローラ一覧を作成している過程で、かつて起こったある裁判の記録に行き着きました。この裁判、現在ではほとんど知られていませんが、ホリ電機をはじめとするサードパーティのコントローラ販売に大きな影響を及ぼしうるものだったようなので、以下にその内容を解説してみたいと思います。

 問題となるのはネオジオを発売していたSNKがホリ電機を訴えた「平成5年(ワ)12306号」の裁判で、「著作権判例データベース」から判例を見ることができる。また「SOFTIC YWG資料」のページも参照した。
 加賀氏のエムブレムサーガに対する裁判を調べた際と同じく、筆者は法律の専門家でないので解釈が正しいかは保証できないが、それでもわかる限りのことを書いてみる。

SNK側の主張

 SNKが問題視したのは、ホリ電機が発売していたネオジオ対応コントローラの「ファイティングスティックNEO」と「ファイティングスティックNEO II」。これに対して、主位的請求として以下の3つの点で違反があるという訴えが起こされた。

  1. 映画の著作物の著作権に基づく請求

ゲーム機上の映像は映画の著作物として扱われるもので、両コントローラは「購入ユーザを手足ないし道具として利用して映画の著作物を上映せしめている」つまりホリ電機が映画の上映を行っていることになり、上映権を侵害している。そのため販売差し止め、金型・部品の破棄、損害賠償を請求。

  1. 著作者人格権(同一性保持権)に基づく請求

原告は純正コントローラが使用されることを前提として、ゲームを設計している。これに対し両コントローラには連射機能がついており、それにより「本件ソフトウェアのプログラムに込められた原告の思想又は感情を原告の意に反して改変してしまうもの」となる、つまり連射機能付きのコントローラがゲーム内容を改変しているために、同一性保持権の侵害である。そのため販売差し止め、金型・部品の破棄、損害賠償を請求。

  1. 不正競争防止法に基づく請求

ネオジオのハードによる映像はネオジオの純正コントローラがSNKの商品であることを示す「自他商品識別機能及び出所表示機能を有する商品表示」に該当し、周知性を得ているため、ホリ電機の両コントローラの販売は純正コントローラとの混同を生じさせるものである。そのため販売差し止め、金型・部品の破棄、損害賠償を請求。

 これに加え3と同じ不正競争防止法に基づく請求として、以下の予備的請求が出されている。

  1. 不正競争防止法に基づく請求(予備的請求)

「ネオジオ」「NEO・GEO」という表示はハードとしてのネオジオやSNK純正品を表すものとしてユーザーに周知されており、「ファイティングスティックNEO」という表記はSNK純正コントローラとの混同を起こさせる。それゆえ両製品の販売によって、ホリ電機は不当な利益を得ていた。そのため販売差し止め、金型・部品の破棄、損害賠償を請求。

 

SNKの訴えの意味するもの

 この裁判で問題になった法律は偶然にもエムブレムサーガの時と同じなので若干理解しやすかったが、読んでみるとSNKは結構ヤバいことを主張している。特に最初の2つである。1つ目は、コントローラの使用は作品の上映にあたるため、他社製のコントローラの使用はその会社による上映を意味し、上映権の侵害となるので他社がコントローラを出してはいけないという主張となっている。また2つ目は、連射機能付きコントローラはゲーム内容を製作者の意図に反して改変するため同一性保持権の侵害、つまり画像を加工するような行為だと主張している。この2つは、どちらも認められてしまったらサードパーティのコントローラ販売は困難となるものである。1つ目であればコントローラは全滅し、2つ目であれば連射機は違法ということになり、ゲーセンなども違法行為をしていることになる。

 しかし、素人目ではこれらは無理のある主張に見える。コントローラの操作が上映にあたるなら、何よりまずプレイヤーが上映していることになるのであり、そちらも罰されるのか(そうなったらゲームなど遊べやしない)、その上でプレイヤーではなくコントローラメーカーが上映を行っていると果たして言えるのかとか、コントローラからの入力が同一性保持権を侵害するなら、人力による連射や普通のゲームに釣りコンなどを繋ぐ行為も同じとなり、やはりプレイヤーが罰されるのかなど、疑問はいくつも挙がる。実際、ホリ電機側はこれに近い反論を行っている。1については上映主体がユーザーであると述べているし、2についてはどんな入力を行ってもプログラムの改変には繋がらないと言っている。

 この2つの点は、SNKが本気でこの訴えを起こしていたのか疑わしいほどである。どうも今回の訴えにある主位的請求・予備的請求とは、同時には成立しない2つの訴えを行う時に使うもので、たいていは主位的請求は認められる見込みは低いがリターンが大きいもの、予備的請求は前者がダメだった場合にこれだけなら通るだろうという限定された訴えとなるもののようなので、1と2が大胆すぎる主張であることはある程度わかった上での訴えのようだ。他方で3つ目はよくあるタイプのニセモノ商品の訴えであり、それなりに説得力があるように思われる。

 ついでに、裁判の流れ上、これらのコントローラの販売数が明かされている。個数について争いがあるが、ホリ電機側の言い分を信じるなら、「ファイティングスティックNEO」が1万9900個、追加販売9900個、「ファイティングスティックNEO II」が2万4300個のようだ。そして1個あたりの利益は2030円である。

 

裁判所の判断

 裁判所の判決は、主位的請求はすべて棄却、予備的請求は一部認めるというものだった。各争点についての判断は、

  1. ゲーム機による映像は映画の著作物に該当し、なおかつソフトの著作者はそのメーカーだと認められる。しかし、コントローラの製造販売はゲームの上映行為とはいえない。行為の主体はユーザーだからである。
  2. 連射機能の使用は、ゲームのプログラム自体を改変するものではなく、連射機能付きコントローラの販売は同一性保持権の侵害にはあたらない。
  3. ネオジオ内の映像は、純正コントローラがSNKの商品であることを示す商品表示とはなりえない。映像の商品表示機能はソフトについてはともかく、コントローラには及ばない。
  4. 純正コントローラには「NEO・GEO」等が表示されており、ファイティングスティックNEOの「NEO」はネオジオを指すことが明白であり、消費者に混同を起こさせていたといえる。

こうした判断の結果、ホリ電機コントローラの「NEO」表示の使用禁止と、1億2180万円(+金利)の賠償金の支払いがホリ電機に言い渡された。その他、ホリ電機側の反訴などもあったが、こちらも棄却されている。

 

判決の解説

 やはりというか、だいたい予想通りの判決が下されたと言える。つまり認められたのは、ホリ電機コントローラの「NEO」の表示が純正品との混同を招いたという不正競争防止法違反のみであった。その他の主位的請求に関しては、ホリ電機側の言い分が通ったといえる。

 またコメントとして、用途表示であれば問題なかったと言われており、「for NEO・GEO」や「NEO・GEO対応」であれば違反にはあたらないと指摘されている。

 

この裁判の影響

 最終的には、裁判所の真っ当な判断によってサードパーティ製コントローラの全滅や連射機能の違法化は免れた。他方で不正競争防止法違反によってホリ電機は手痛い出費を被ったのであり、今後訴訟が起こされないためにも、純正品と混同されないようなコントローラ製作の必要性が認識されたと推測される。つまり「for」や「対応」をつけるといった対策を取るようになったということである。実際にそうした表記は以後の製品で見られる。こちらの一覧を参照

 この裁判はまた、サードパーティによるコントローラ販売はあまり歓迎されていないということがうかがえるものだった。もちろんハードメーカーによって認識は違うかもしれないが、SNKのようにそうしたコントローラは「パクリ商品」だと思っているメーカーもいたということだ。ホリ電機はこれ以後も個性的コントローラを多数販売し、ゲーム業界にとって欠かせない存在になっていると思われるが、そうなるためには、第三者によるパクリという批判的な見方を乗り越えなければならなかったのだろう。いずれにせよハードメーカーとコントローラメーカーの関係性という点は、ゲームの歴史を考えるにあたってぜひとも注目すべきポイントであることは確かである。

 


2018.10.20

ゲームコントローラの歴史とデータベースの重要性

アイキャッチ画像

 今回は、先日作成したゲーム機コントローラ一覧のデータを分析し、そこからコントローラの変遷についてわかることを調べていきたいと思います。全体として言いたいのは、それなりのデータを用意すれば、ゲームの歴史について確かなことが言えるんじゃないかというデータベースの重要性についてです。

 当サイトはゲームの歴史を整理することに少しでも貢献したいという意図で進めているが、歴史に言及する際にいい加減な内容にならないようにするためには、扱うものの範囲を十分に絞ることが大事だと考えている。そして範囲を絞る仕方には2種類あって、扱う時期を限定するか、対象を限定するかである。前者は以前作ったポケモンブームの考察に前例があるが、今回は後者の、対象を絞ってみたらどれだけのことがわかるかということに挑戦してみたい。

 以下の分析の基礎となるデータとして使用するのは、先日完成した「特殊・専用コントローラ一覧」および「汎用コントローラ一覧」だ。これはこれまでにどれくらいのコントローラが出ているか何となく知りたくなって集めてみたものだが、いざできてみると結構なデータとして使えるように思えたので、実際にやってみることにした。コントローラに対象を絞った時に、果たしてどんなことがわかるだろうか。

 

ゲーム機コントローラの発売数の推移

 上記データテーブルは、個々のコントローラにいくつかの要素が紐付けされているために、統計的な分析にかけることができる。たとえば基本的な疑問として、コントローラがたくさん開発・発売されたのはいつ頃だったのかという問いに答えてみよう。

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先ほどの表から、このようなグラフが作れる。ここでは発売年が「不明」のものは除いてある。見ての通り、汎用コントローラは1995-1999年の期間に、特殊コントローラはその次の5年間にピークが来ており、両者の最盛期が異なるという結果となっている。では、このピークはどのハードによるものだろうか。次はハード順に分けてみよう。

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全体の中から上位12ハードを発売年順に並べ、複数ハード対応のコントローラはすべてに加算している。ここからわかるように、3種のPSハードが全体の多くを占めており、とりわけ特殊コントローラはPSハードに多い。そうなると、1995年から2004年にかけてのコントローラ発売のピークはPSとPS2によるものが大きいといえるだろう。また、DSは特殊コントローラのみだが、その数16と2005年以降の特殊コントローラの増加に貢献している(ここではセンサーつきカートリッジなどもコントローラに含めている)。

特殊コントローラの種類別の発売数推移

 今度は、この時期に多い特殊コントローラとはどのようなタイプだったのかを見てみよう。リストで11に区分した分類を2つに分けてグラフ化してみる。

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最初のグラフは主に物理的な操作に関係するコントローラを集めている。こちらも一目瞭然で、2000-2004年の期間にほぼ全カテゴリーの数が増加しており、ある種の体感ゲームのブームが来ていたことがわかる。特に音ゲーとその他実物再現(パチスロや釣りなど)のコントローラはこの時期にのみ増加している。他方で車や電車、飛行機の操縦コントローラは2010年以降、つまりPS3の時代にもそれなりの数存在している。音ゲーは減ったけどレースゲームはそれほどでもないというのは何か理由があるのだろうか(2000年代前半に音ゲーコントローラを出していたのはほとんどがコナミなので、コナミが以後ぱったりとコントローラを出さなくなったのが理由として最有力だろうが)。

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 2つ目のグラフは、絶対数が少ないものの1つ目とは少々異なる様子を示している。ネットゲームがプレイ可能になることによってマウス・キーボードが増えるのはともかく、どれも(ペンタブレットを除いて)右肩上がりの増加を見せているのだ。2018年後半-2020年までのデータはないので、最後で減っているのは仕方ないといえる。また、他の特殊コントローラが増える1995-1999の期間にマウス・キーボードや外部データ読取が一旦落ち込むのも面白い。体感ゲームに目が向いて変わったタイプの入力機構からは関心がそれたのだろうか。あるいは、1990-1994の期間に何かしらのパソコンブーム(あるいは、ゲーム機がPCに追いついてきたか)があったと見るのがいいのかもしれない。

メーカーごとのコントローラの発売数の推移

 さて、先ほどコナミの話が出たが、今度はコントローラのメーカーに着目してみよう。

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汎用コントローラに関しては、どの時代もホリ電機(HORI)の一人勝ちというか、非常に頑張ってくれている。イマジニアなど意外なメーカーも見られるが、世紀の変わり目を境にホリ以外のメーカーが入れ替わっているのが気になるところである。

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特殊コントローラは見事に2000年以後のブームを反映しているが、その直後にコナミ、タイトー、アスキーは急速に下落している。他方で任天堂が目立ってくるのは、Wiiの各種コントローラに加えDSでセンサー付きのソフトを発売しているからである。どちらのグラフも、2015年以降はホリ以外の会社がコントローラ製造からほぼ撤退しているのが心配になってくる。

 グラフからわかるのはだいたいこんなところだろう。これに加え、個々のデータを見ることでゲーム機の拡張に関するアイデアの端緒や広まりを知ることができる。たとえばコナミは作曲メインにせよ1987年の「ドレミッコ」で早くも音ゲーに着目していた、とか現在のアミーボに近いフィギュア読み取りはGBAの「冒険遊記プラスターワールド」ですでに考案されていたとかそういうことである。全体として、ファミコン初期あるいはそれ以前からかなり多様な操作形態のアイデアは存在していたにもかかわらず、どれも支配的となるには至らなかったことや、ハンドルやフライトスティック、ペンタブレットを早々に導入するなどセガのアイデアは先進的だったなどということもわかる。アナログコントローラは電波新聞社の「XE-1AP」が初なのかとか、年代が下るに従って「~対応コントローラ」というコラボ商品に近いが増えていっているところも気にかかるが、これを見るにはさらに細かい情報収集が必要だろう。

 汎用コントローラの表は、余裕があればもう少し情報を追加したいところだった。つまり連射がついているとか、アーケード再現のレバーを備えているとかそういう情報をである。このことは今後の課題に取っておきたい。

結論:データベースの重要性

 最後に結論として、今回の調査で例示できたと思われる、ゲーム史研究の際のデータベースの重要性について少し触れてみたい。それは、

  •  対象をテーマごとにリスト化することはデータ化であり、それは何かしらの分析のために役に立つ。
  •  対象の情報の中でも、年代に関するものはとりわけ重要。それ以外のディテールもわかる限り記載するといい。
  •  自分で設ける独自の分類も、適切なものであればさらなるデータとなる。今回の例であれば、特殊コントローラの種別がそれにあたる。

ということである。もちろん、今回の調査結果が完璧とは言えない。取りこぼしたものはもちろんあるだろうし、発売年に関してもネット情報のために不安は残る。ただし、それなりに数が集まっているために、ここで示したトレンドが見当外れな内容ではないということは確かだろう。それもデータの力といえるものである。なので当サイトでも、できるだけ有用なデータを提供できるよう努力していきたい。


2018.09.24

海外ゲーム雑誌紹介:RetroGamer173号

 今回は海外のゲーム文化の一端をうかがえる資料として、海外ゲーム雑誌の内容を紹介したいと思います。紹介するのは、人気の高いレトロゲーム雑誌『RetroGamer』です。この雑誌はイギリスで作られていて、アメリカやヨーロッパ諸国でも幅広く見かけることができます。空港でも手に入るので旅行の際はぜひ探してみましょう。以下ではそのうちの2017年に刊行された173号の内容を見ていきます。

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表紙およびメイン特集はスーパーマリオサンシャイン。レトロゲームとしてこの辺の時代のものを扱っているのは珍しいかもしれない。またスーファミミニの姿も見られる。

 

 雑誌の構成はレギュラーページと個々のソフトの紹介が主で、内訳はこんな感じ。

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BubsyというのはSNESで出ていたゲームのキャラクターで、新作の「Bubsy: The Woolies Strike Back」が久々に出るのでそのメーカーへのインタビュー。ニュースはSam Dyerという人の『Neo Geo: A Visual History ネオジオ~目で楽しむ軌跡~』という新著(内容は英語)の紹介。海外でこんな本が出てるとは。Mr. Biffoはライターによるコラムで、その次のはクリエイターへのインタビュー。そしてお次はすごいコレクターを紹介するページ。

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今回紹介されているスティーブン・レスター氏は、1万ポンド(約150万円)ぶんのゲームを集めたようだ。そもそも好きなハードのAtari STがわからないが、ゲームパソコンのようだ。この人は海外ゲーム専門だが、日本のゲームも集めている人も別の号で見た。

 次のBack to the Noughtiesというのは特定の年のピックアップで、今回は2000年。WWFのゲームが最大の出来事らしい。あとは各ハードの売り上げトップも載っている。パーフェクトダークとか時のオカリナはわかるが、PSランキングがスポーツゲームに埋め尽くされているのはいかにも海外だ。また当時のゲーム雑誌の紹介も地味に貴重で、英語では『Computer & Video Games』『Edge』『Arcade』というのがあったらしい。

 

 その他は主にゲーム紹介だが、珍しいのはゲームの特徴なんかを解説するだけではなく、内容紹介や攻略もあることだ。マリオサンシャインだったらドルピックタウンだとかピンナパークだとかのマップ紹介があって、そのゲーム発売当時の雑誌に近い感じだ。単なる思い出語りではなく、「今からプレイする」というのを念頭に置いていることがうかがえてポイントが高い。以下はACのショックトルーパーズの攻略記事。なんともマニアック。

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 他にも「文学原作のゲーム」特集なんかもあった。ホビットの冒険なんかはわかるが、『銀河ヒッチハイク・ガイド』のゲーム化があったとは。サウンドノベル的システムのようだ。

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 この号はアタリ2600とかアタリジャガーとか馴染みのないハードのゲーム紹介が多いが、カービィの鏡の大迷宮など日本製のものもちょくちょく出てくる。スーファミミニの紹介では、収録ソフトに対するライターの評価つき。

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アクションでは魂斗羅スピリッツと悪魔城ドラキュラ、スーパーメトロイドなんかが5つ星で、ロックマンXが3つとは。RPGではFF6とマザー2が満点で、マリオRPGが3つなのは納得がいかない。まあ筆者が点をつけるなら全部満点だけど。そしてカービィボウル(Kirby’s Dream Course)の真価は海外ではまだ理解されていないようだ。また、最後に書いてある「しかしこれはとても完全とは言えない。複数ジャンルが混ざっているのは楽しいと同時に不満でもあるし、バーチャルコンソールで新しいゲームをダウンロードできないのは機会を逃しているように思える」というのはまさに同意である。「ニンテンドー64ミニも早く来て!」これもまさしく。

 

 という感じで、Retrogamer誌はゲーム紹介あり、攻略あり、インタビューありと読み応えたっぷりのレトロゲーム雑誌である。これを読めば、海外にもこれだけのレトロゲーム好きがいて、日々知識を交換しているということがよくわかるだろう。本誌は電子雑誌販売サイトZinioで購入可能なので、気になった人はぜひチェックしてみてほしい。英語が問題なければ。

 

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アタリ2600ミニなんてあるんだ・・・

 

 


2018.09.02

ゲームの用語事典:「コントローラー」

 ゲームのいろいろな要素についてじっくり考えてみようというこのコーナー、今回はゲームをするには絶対必要な「コントローラー」に焦点を当ててみたいと思います。ここではコントローラーと言ってもゲーム機から独立したものだけではなく、DSのような携帯機のボタンなども含めた「操作系一般」を対象にしています。

 ガンコンや音ゲーコントローラー、Wii Fitのような特殊なコントローラーは別にまとめて扱う予定です。

 さて、以下ではまずコントローラーのボタンやレバーといった要素ごとに分けてその役割や発展を調べた後に、ゲーム史上の操作系の変遷について考えてみます。

各種操作系の役割と発展

ボタン

 あらゆる機械に欠かせないのがボタンであり、ゲーム機においても原初の時代から搭載されている。以後の操作系はこのボタンを派生させたものだとも言えるだろう。できることはオン・オフ信号を送ることで、信号は1回ごとに独立したものと、押しっぱなし(トグル)とがある。プレイヤーから見て反対側にあるボタンは押すよりも引く形になるので、トリガーと呼ばれたりもする。

 ボタンの発展形としては、ACの初代ストリートファイターやベラボーマンのような、押した強さを検知する機能付きのものがある。つまり1つのボタンから、複数種類の信号を送れるということである。この仕組は故障が多いとかであまり普及しなかったようだが、ゲームキューブのコントローラーのL・Rトリガーは「アナログトリガー」として、押した強弱を検知できる上、もう1段階「押し込む」という操作も可能になった。

 

レバー・十字キー

 ボタンと並んでゲーム黎明期から存在している操作系がこのレバーである。ボタンとの相違点は、上下左右のベクトル付き信号を送れることと、押しっぱなしがしやすいことである。そのため主にキャラクターの移動に用いられる。(が、もちろんパックランドのような例外もある)。十字キーはレバーの代用ないし発展形としておそらくファミコンを最初に導入されたもので、コントローラーを床に置かないでも操作しやすいというメリットがある。十字キーの導入により、手持ちで遊びやすいコントローラーが普及した。他方でアーケードなどはコントローラーは分離していないので基本的にレバー採用である。

 その後、レバーの側から発展形が生まれた。Nintendo64に導入された3Dスティックである。これはレバーの倒し具合によって同一方向に複数段階の信号を送れるもので、下記のマウスの機能により近づけたものといえる。これに対しSSはセガマルチコントローラー、PSはデュアルショックコントローラーで後を追い、以後アナログスティックと十字キーの同時搭載はゲーム機コントローラーのスタンダードとなった。

 レバーから十字キーになり、再度レバーが復活したコントローラーだが、携帯機にもアナログレバーを導入したいけど使えるスペースが限られているという難点を解決するために導入されたのがPSPのアナログパッドである。これは従来の高く飛び出ていたレバーとは違い、他のボタンと同程度の幅しか取らず、若干操作性は劣るが携帯する際にも邪魔にならなかった。3DSでもスライドパッドとして採用され、折り畳む機能と両立している。New3DSではCスティックという、一見してレバーに見えない新パーツも加わったが、対応ソフトがほとんどないので正直何に使うのかわからない。

 

マウス・トラックボール

 もっぱらパソコンで使用されるこれらだが、入力の特性としては360度の方向と速度を同時に伝達することができる。画面内の特定の場所に瞬時に移動するのに向いており、3Dゲームの視点変更にしばしば用いられる。これ一つで多くの操作をまかなえる重要な操作系だが、短所として平らな場所に置かないと使えないことや、手の多くの部分を占有してしまうことがあるため、手持ち型のコントローラーにはまず採用されない。

 この形式の端緒は、ほぼゲームの元祖と言える「ポン」にも使われていたツマミ型のパドルコントローラーだろう。これは2方向しか入力できず、速度も検知されないが、代わりにツマミの位置によって特定の場所へ瞬時に移動できる。これが使われている例がアルカノイドであって、FC版の専用コントローラーもこれである。

 

タッチパネル

 駅や銀行の機械に導入されていたタッチパネルは、精密な検知が可能となるほど発展した段階で、ゲーム機にも用いられることとなった。その始まりは1997年のgame.comという米国産の携帯機らしいが、普及したのはおなじみニンテンドーDSからである。その後PSP Vitaや3DS、Wii Uにも採用されたが、現在ではスマートフォンとタブレットの操作方法として幅広く用いられている。

 タッチパネルには明確な利点と欠点がある。利点の方は直感的な操作が可能、つまりわかりやすいということで、DSの学習系ゲームの隆盛に大いに貢献した。また画面の一点を瞬時に指定できるのでマウスの代わりの機能を果たすことができ、PC的なゲームや間違い探しなどには特に向いている。効果的な使用例としては「ナナシ ノ ゲエム」ではマウス代わりの視点移動用にタッチパネルを用いており、「すばらしきこのせかい」でDSはボタンとの同時使用により今までにない操作性を実現している。

 他方でタッチパネルには欠点も複数ある。最も重要なのが、直感的ゆえに精密な操作に向かないことである。携帯をスマートフォンに移行して文字の打ちづらさに戸惑った人も多いだろうが、まさにこのことだ。タッチパネルは任意の場所にボタンを設置できる代わりに、ボタンに物理的な境界がないので、手元を見ずに操作することは困難となる。スマホゲームでは仮想コントローラーを用意しているものもあるが、やはり実際のものに比べたら、細かい操作性は劣る。その分、押しすぎてボタンのバネが弱るようなことはなく、耐久性はおそらく仮想コントローラーの方が高いが。さらにタッチ操作の場合、画面を指で隠してしまうという難点もある。これを回避するには入力領域を分けるか、タッチペンを使うかだが、前者は画面が小さくなり、後者はボタン操作との両立が難しい。結局のところ、タッチ操作には向いているゲームとそうでないゲームがあるということである。

 

 ゲーム操作系の各要素についてはこんなところなので、次にハードごとの操作性について感想を述べてみよう。操作性というのは感覚的なものなので、あくまで印象ということになるが、コントローラーの発展について何かしら見えてくることはあるはずだ。

 

ハードごとの操作性の変遷

FC・PCE・メガドライブ

 それ以前のハードは触ったことがないのでこの時期から始めるが、この3つのハードのコントローラーには大差がないように思われる。どれも四角く、ボタン配置も似ているからだ。むしろこれらのハードは、多種多様な拡張コントローラーによって個性を見せている。触れるべきなのはファミコンの2コンはスタートとセレクトがなく、代わりにマイクがついていることくらいだろうか。このおかげで2人プレイ時に2プレイヤーにポーズの主導権がなかったりする。とはいえマイクが本当に必須になるのはたけしの挑戦状くらいなものである。

 

SFC・PS・SS

 SFCのコントローラーで起きた革新は、ボタンが色分けされたことである。何だそれくらい、と思うかもしれないが、色が違うおかげでボタンが増えても位置がわかりやすく、操作説明も理解しやすかった。何々ボタンと文字に書かずとも、赤い丸を表示すればAを押せばいいとわかるということである。また、色をボタンに対応させる謎解きのようなものもちらほらあった。

 SSはそうでもないが、PSのコントローラーからまた別の変化が起こり始める。持ち手が突き出してくるのである。これまでの平べったい長方形のコントローラーはメガドラ辺りから丸みを帯びてきていたが、PSに入るとさらに立体的になる。この流れはバーチャルボーイや64にも継承され、以後のコントローラーの定番の形状になる。やはりこの形が最も持ちやすいのだろう。

 

Nintendo64

 そしてコントローラーの発展を語る上で外せないのがこの64だ。立体的になっているだけではなく出っ張りが中央にもあり、持ち方が3通り(ライトポジション・レフトポジション・ファミコンポジション)もあるのである。そしてサイズも最大級にでかい。その割に持ちづらいことはなく、3Dスティックの導入も相まってFPS系ゲームの操作には最適だった。また耐久性も申し分ない。惜しむらくは、その豊富な操作タイプ(特に右手にスティックが来るレフトポジション)を活かすゲームがあまりなかったことである。つまり大半の人は右半分のみを持ってプレイしていた。

 

Wii

 その後ほとんどの据え置き機コントローラーはプレステ形状に収斂するので真新しいところはないが、その中でも一線を画したのがWiiである。ウリであるWiiリモコンは無線式で、モーションセンサーが内蔵されており、コントローラーで画面のポインタを動かすこともできる。おまけにヌンチャクというコントローラーの子分みたいなものを接続できる。

 Wiiリモコンはそれまでの特殊コントローラーに必要な機能を全部詰め込んだようなところがあり、銃にも剣にもラケットにもハンドルにもなる万能コントローラーだった。そのおかげでコストのかかる拡張装置を用意せずともさまざまな体感ゲームが作れるようになり、ソフトのバリエーションも増え、大ヒットを記録した。ただし欠点もないわけではない。旧来の操作系のゲームにはクラシックコントローラーで対応していたが、メニュー画面の操作にはWiiリモコンが必須であり、ワイヤレスということで必要なWiiリモコンの電池が妙に早く尽きた。とはいえ多少の欠点はあれど、非常に画期的な操作系だったことは間違いない。

 

Wii U

 マイナーかつ短命に終わったWii Uでも、操作上の革新は存在している。このハードはWiiリモコンによる操作をそのまま引き継いだ上で、ゲームパッドを新たに追加した。これはでかい3DSのような代物で、本体と無線で通信し、テレビと合わせて2画面を用いることが可能だった。またジャイロセンサーも内蔵されている。これにより可能になったのは、ゲームパッドをマップなどの補助画面にしたプレイや、ゲームパッドを左右に動かして、画面つきエイム装置として用いるプレイである。

 しかし、WiiUで何よりも革新的だったのは、ゲームパッドに携帯機に近い機能を持たせ、据え置きハードであるにもかかわらずテレビを不要にした点ではないかと思う。これは本体が処理を行い、画面をゲームパッドに転送するという形で実現したわけだが、バーチャルコンソールなどは明らかにゲームパッドの方がプレイしやすかった。実際この要素に任天堂も手応えを感じていたようで、後継機のSwitchでも同様のシステムを採用している。

 

携帯機

 携帯機の場合は、操作系は主にハードが縦型(GB・PCエンジンGT・GBASP)であるか横型(その他)であるかくらいしか大きな違いはない。ワンダースワンなどは十字キーを縦に2セット並べて、画面を縦にしても遊べるという斬新な仕様だったが、全体として横長画面の方が主流だから、あまり活用例はない。

 他方で、ボタンや本体形状による操作性はハードによって細かな違いがある。特徴的なのは、据え置き機のように一方向に進化するのではなく、進んだり戻ったり、良くなったり悪くなったりを繰り返している点だ。それは同一ハードのバージョン違いにおいて顕著である。たとえばゲームボーイアドバンス。初期のものは絶妙な丸みのあるデザインで持ちやすさを考慮してある上、耐久性能なども高いのだが、画面にバックライトがないという欠点があった。それが改善されたのがアドバンスSPやゲームボーイミクロだが、今度は形状が四角くなってしまった。ニンテンドーDSからDS Liteの流れも同様である。後者の方が小さくて画面も明るいわけだが、持ちやすさと操作していて疲れないかの点では、正直古いDSが上である。小型化し携帯性を高めていくと、どうしても他の要素が犠牲になるのだろう。その後の3DSやNew3DSでも持ちにくさは変わっていないので、左右にグリップを加えるオプションパーツを付けるのがおすすめだ。

 次にボタンと十字キーについては、独特なのはレバーになっているネオジオポケットである。やはりネオジオということで格ゲーが念頭に置かれているからだろうか。それ以外のハードは似たり寄ったりだが、やはり小型化すればするほどボタンと十字キーのサイズも切り詰められている。無印3DSなどは限界かというほどボタンが小さい。また、携帯機の場合はボタンの耐久性についても考慮すべきである。というのも据え置き機のコントローラーは一部を除いてダメになっても替えがきくが、携帯機の場合それはハードの寿命を意味するからだ。その点では、経験上ボタンのバネが弱りやすいのはPSPだった。アナログパッドにも動作認識の異常が発生したことがある。持ち運んだ結果さまざまな衝撃を受ける可能性がある分、携帯機の耐久性は無視できないものだろう。

 

操作系とゲーム性の関係

 ここまでいろいろなコントローラーの発展を見てきたが、その内容を踏まえると、操作系の違いが、ハードごとに得意なゲームとそうでないゲームを生んでいるということがわかってくるように思われる。セーブ方式と同様、操作系もゲーム性に影響するのである。わかりやすいのは、DSはタッチ操作ができるので万人向けの学習ゲームに向いているとか、Wiiは体感ゲームが多いという例だろう。

 その他に考えられるのは、「連打」という動作も結構コントローラーに左右されるのではないかということだ。連打が必要なゲームはファミコンとアーケードに多いが、携帯機では連打はやりづらいために、連打のいるゲームがあまりないのではないかと考えられる。というのも、連打はコントローラーを床に置いたほうがやりやすいし、携帯機で連打すると画面がぶれてしまうからだ。あとは、柔軟な視点変更が必要な一人称視点の3Dゲームにはマウスとキーボードの操作が最も向いているだろう。視点変更はスティックでも代用できるので、ちょうど3Dゲームが出だしたPS時代のコントローラーにスティックが普及したのはそのためではないだろうか。

 これらの関連性を考慮すると、「ゲーム機戦争」みたいなものに対しても、少々違った視点を持つことができる。たとえばPSと任天堂ハードのどちらが優れているか、といった問いに対しては、どちらも得意とするゲームが異なるので、お互いそれぞれの良さがある、と答えることができる。すべてPCゲームに移行していいのかということや、携帯機は今後も必要なのかという問いも同様だ。ハードごとに得意なゲームとそうでないゲームがあるので、ゲームを最大限楽しみたいならば、どの形態もあったほうがいい。どれかをないがしろにすることは、何らかのジャンルの衰退につながり、それは誰にとってもいいことではないだろう。何より大事なのは多様性である。


 以上、今回はゲーム機の操作系の種類と発展の歴史、および操作系が違うことでゲーム内容にはどのような影響を及ぼすのかということを考えてみた。これらを考慮すれば、現在のコントローラーはなぜあの形状をしているのかや、スライドパッドはなぜ平べったいのかということの理由がわかるだろう。すべては、操作しやすさの向上を目指した発展の結果なのである。それぞれのゲーム機の強みを理解することはゲームを作る側にとっては必須だが、ユーザー側にとってもコントローラーとはゲームとプレイヤーをつなぐ媒介の役割を果たしてくれるものであり、それ次第でゲーム体験そのものが大きく変化しているといえるだろう。


2018.08.20

ゲームの用語事典:「ダウンロード版ソフト」

 今回は、ダウンロード版ソフトについて詳しく扱っていきたいと思います。家庭用ゲームのダウンロードによる購入は近年では当たり前になりましたが、実はこの方式には結構昔から存在していました。その歴史を追っていくと、ダウンロード販売の特徴やメリット・デメリットが見えてきます。そのことを踏まえると、パッケージ版とダウンロード版どちらを選べばいいの?という疑問にも、それなりの答えが与えられるはずです。では最初に、ダウンロード販売の歴史をおさらいしてみましょう。


意外と長いダウンロード販売の歴史

 ダウンロードによるゲームソフトの入手というのは、家庭用ゲーム機に限定して考えても意外と長い歴史がある。ゲーム機にインターネット機能が搭載される前はなかったんじゃないの、と思う人もいるかもしれないがそうではない。ネットを介さないダウンロード方法があったのだ。

 

ディスクシステム

 その最初がファミコンディスクシステムである。これは従来のロムカセットとは違い、リライト可能なディスクメディアを使用していたため、記録されるデータを書き換えることが可能だった。そのため任天堂もこの機能をうまく利用し、データだけを販売してゲームの内容をまるごと書き換えることを思いついた。ダウンロード販売の始まりである。ゲーム屋にはそのための「ディスクライター」が設置され、500円という非常に低価格で新しいゲームが入手可能となった。

 しかし結局ディスクシステムはそれほど普及せず、ファミコンより早く消えていった。その理由は読み込みが遅いとか、ファミコンでもセーブができるようになったとか、本体の耐久性だとか言われているが、これらの要素を書き換えというメリットが上回ることができなかったのだろう。筆者はこの時代は体験していないので確かなことはわからないが(メトロイドのパッケージに入ったディスクを入手してやったーと思って起動したら、スマッシュピンポンが入っていてショックだったことは覚えている)。

 

ゲーム図書館・セガチャンネル

 続いて斬新な試みをやってくれたのがセガである。メガドライブとPCエンジン、SFCがしのぎを削っていた1990年に、メガドライブ用の「メガモデム」を用いた「ゲーム図書館」のサービスを開始した。これは電話回線を介してゲームをダウンロードするもので、いくつかのオリジナルゲームを遊ぶことができた。このゲーム図書館が、おそらく初の「ゲーム配信サービス」だろう。利用には月額料金と通信料がかかり、なおかつ受信したゲームは保存することができない「貸し出し」のみだった。配信されたソフトはメガCDの「ゲームのかんづめ」に収録されている。

 さらに1994年からは、同じくメガドライブで旧作配信サービスの「セガチャンネル」も始まった。レシーバーつきのカートリッジをレンタルして、ケーブルテレビ回線に接続してソフトを受信する仕組みだ。配信ソフトはメガドライブのヒットゲーム数十本の中から選ぶことができ、月額利用料は3000円。同じくソフトは遊ぶたびに受信し直さなければならない方式。

 この2つのサービスは、知名度は高くないとはいえ、現在行われているダウンロード配信の先駆けとなった存在である。この時点でネックとなっていたことは明らかに、回線通信料が定額制ではないことと、受信ソフトを保存する記録媒体がないことであった。そうした難点にもかかわらず、新作・旧作双方の配信を可能にするサービスを実現していたことは記憶すべきことだろう。

 

サテラビュー

 SFC時代の任天堂の次なる一手は、衛星放送局に出資しての衛星によるゲーム配信という大胆なアイデアである。サテラビューについては「サテラビュー研究所」で詳しく調査したので簡潔に触れるのみにするが、形態としては機器と記録媒体さえ用意すれば、月額費用さえいらずにゲームを無料で好きなだけダウンロードできるという類を見ない試みだった。配信されたソフトは新作の体験版、旧作の配信版、オリジナルゲームの3種類。それに加え音声放送それと連動したゲームも楽しめるのである。

 サテラビューによるゲームデータダウンロードは8Mメモリパックという機器に行われる。これはあくまでデータ一時保存用と思われていたらしく、個別の販売開始はハード発売のしばらく後になる。容量の8Mビットは後述するSFメモリカセットの4分の1なので限られたゲームしか入らず、価格も5000円と高価。おまけにラジカル・ドリーマーズなどの大作は8Mすべてを使用していた。それでも、ニンテンドウパワーに比べればダウンロード代がかからないので一概に損とは言えないかもしれない。

 サテラビューによるスーパーファミコン放送は1995年から6年間続いた。当時利用していないため実際の様子はわからないが、衛星放送によって家にいながら、インターネットもなしでゲームを入手できるというのは非常に斬新かつ先進的なサービスだったといえるだろう。

 

ニンテンドウパワーSFC

 その後も任天堂はダウンロード販売を諦めず、1997年にはSFCソフトに対応した書き換えサービス「ニンテンドウパワー」を開始した。これは「SFメモリカセット」と呼ばれる空のカセットを購入し、ローソンで書き換えを行うというものだ。価格は旧作が1000円とこれまたお買い得だったために、筆者も喜び勇んで書き換えにチャレンジした。その際の手順は、書き換えマシンでデータを書き込み、その後画面付きのSFCのようなもので内容を確認するという2段階。結構時間がかかり、すべてのローソン店員に手順を教えなければいけないのはコストがかかったのではないだろうか。

 しかしいろいろやってみた結果、金銭的にはあまりお得ではないことがわかってきた。問題はSFメモリカセットの容量にある。データ領域は8ブロック存在するが、書き換えソフトは平均して4ブロック程度で、あまり入らないのだ。SFメモリカセットの4000円を合わせると、5000円でゲームが2本ということになる。いくら新作定価が1万円を超えるものもあったSFC時代とはいえお得とはいえない。いや、実はそれどころではない。ゲームが2本以上入っている場合、メニュー画面で1ブロック使うので実質7ブロックの容量しかないのだ。

 筆者は必死で容量をやりくりしてゲームを詰め込んだが、たっぷりプレイしたのに泣く泣く消さざるを得ないゲームもあった。中古屋に売る感覚で次々とゲームをとっかえひっかえする人なら気にならないかもしれないが、同じゲームを何度もプレイしたい人にはこれは厳しい。ダウンロード版の「遊んだゲームの消滅」の問題は現在まで続くことになる。

 

ニンテンドウパワーGB

 ポケモンのヒットによりGBがハードとして復活すると、2000年から同様のシステムでGBの書き換えも行われるようになった。こちらはGBメモリカートリッジが2500円、旧作が800円と若干低価格だが、元々のソフト定価もスーファミの半額以下である。そして容量もだいぶ厳しく、初期のソフト以外は4か8ブロックだったりした。骨太RPGのラストバイブルなどは92年発売にもかかわらず8ブロックだ。

 

 この2つのニンテンドウパワーは、結果的にはあまり普及しなかった。しかし商業的な成功はともかく、ダメなシステムだったかというと必ずしもそうとは言えない。SFCにもGBにも書き換えにはかなり多くのゲームメーカーが参入し、(サテラビューソフトからの流用もあるが)任天堂はFEトラキア776やスーパーファミコンウォーズなど魅力的な新作を投入していた。つまりソフトラインナップとしては十分利用したくなるほど充実していた。この点はむしろ近年のバーチャルコンソール以上である。

 この、「ダウンロード版のみの新作を販売していた」というのは案外重要なことである。というのも、その後始まったバーチャルコンソールやゲームアーカイブスなどのサービスは旧作の再販が目的であり、オリジナル新作が提供されるようになったのはさらに後(おそらく2008年のWiiウェアから)になるからだ。そしてなおもって重要なことに、ダウンロードという販売形態が最も輝くのもこのオリジナル新作の市場においてなのである。この点については後述する。

 ニンテンドウパワーの良くなかった点は仕組みではなく、時期と知名度である。なにせSFCの書き換え開始の1997年9月というのは、FF7よりも後なのだ。Nintendo64も前年に発売されており、SFCの新作はほぼ終了と、トレンドを追っている人には見向きもされなかっただろう。GBの方もハード市場は活性化していたとはいえ、むしろ新作が多かったおかげでなおさら存在感がなかった。また知名度に関しても、これはダウンロード版の常であるが、店頭にソフトが置いていないことのマイナスは非常に大きい。入手場所がローソンなのもこれに拍車をかけ、前もって知っている人しか利用できなかったに等しい。

 知名度が低かったとはいえ、もしメモリカセットの容量が倍だったらニンテンドウパワーは手放して称賛できたサービスだっただろう。しかしおそらく技術的に可能でも、その場合カセットの価格は上がるかもしれない。記録媒体のコストというのも、ダウンロード版につきものの問題である。

 

64DDとモバイルアダプタGB

 任天堂の挑戦はまだまだ終わらない。その次にチャレンジしたのはどちらも短命に終わった64DDとモバイルアダプタGBによるサービスである。前者は専用ネット回線、後者は携帯電話との接続によりデータを受信するものであったが、どちらも新規ソフトのダウンロードではなく、追加データの配信のみなため今回の趣旨からは外れる(64DDは実際にデータ配信していたかどうかも不明)。

 2つのうち64DDはネットでの交流がメインだったとはいえ、どちらも対応ソフトが非常に少なく、知名度も低かった。このことがすべてを物語っているだろう。

 

インターネットによるダウンロード販売の開始

 ゲーム機のインターネット接続はドリームキャストが最初に導入し、PS2、ゲームキューブと続いた。その中でも真っ先にゲーム配信に手を付けたのはドリームキャストであり、Webブラウザ「ドリームパスポート」を用いた「ドリームライブラリ」が早くも2000年に開始された。このサービスはこれまでの月額制ではなく、ソフトごとに購入が可能な点でも斬新だった。配信ソフトはメガドライブとPCエンジンの旧作で、ゲーム図書館のオリジナルゲームも再度収録された。しかし依然として記録媒体は存在しないためゲームはその都度ダウンロードが必要で、かつ利用期限のある貸し出し方式であるなど、過渡期のサービスだったといえる。それでも家庭用ゲームのダウンロード購入という試みの第一号となったのがこのドリームライブラリである。

 しばらく時間が経ちブロードバンド回線が普及すると、ダウンロード販売は2006年にWiiのバーチャルコンソールとPS3のゲームアーカイブスでもほぼ同時に開始された。その後対応ハードはDSi、PSP、3DSと増えていく。これらは有線または無線LANによるインターネットを介してゲームをダウンロードするもので、もちろん費用はソフト代の他にはインターネット設置代のみ。これが現在も存在する形での家庭用ゲームのダウンロード販売である。なお、家庭用ゲームソフトをPCでプレイする形式はプロジェクトEGGがだいぶ早く行っているが、こちらは月額制のサービスとなっている。

 

ダウンロード版はお得か?

 やたらと長くなってしまったが、ゲームソフトのダウンロード販売の歴史はこんなところだろう。次にダウンロード版とパッケージ版ソフトの違いを挙げてみよう。これまで見てきた内容から多くがわかるはずである。

パッケージ版と比べた時の、ダウンロード版のメリットは、

  • 店舗に足を運ぶ必要がない*
  • ソフトが早く手に入る*
  • 低価格*
  • 保存やソフト入れ替えが容易
  • ロード速度の速さ*

が挙げられる。次にダウンロード版のデメリットつまりパッケージ版が得をすることは、

  • 箱・説明書がない*
  • 記録媒体にコストがかかる
  • 中古で売れない
  • 貸し借りができない

というところである。それぞれの意味するところは容易に理解できるだろうが、いくつかは留保が必要である。*印のついたものだ。まず、「店舗に足を運ぶ必要がない」というのはとりわけ地方の住人には便利だが、現在ではAmazonが発売日にゲームを届けてくれたりする。同じように「ソフトが早く手に入る」も必ずしもそうではなく、数ギガのゲームデータをダウンロードしインストールするまでの間には確実に待ち時間が存在する。また「低価格」は、確かにソフト自体は安いが、そのソフトは容量を食う。「ロード速度の速さ」は元が遅いメディアのPSやPSPソフトでは快適だが、3DSなどでは差はない。デメリットの方も、「箱・説明書がない」に関しては、ダウンロード販売推進のためか近年のゲームは紙の説明書をほぼ廃止している。

 こうして見てみると、メリットは1つか2つしか残らない。他方でデメリットは3つある。中古と貸し借りについては困るかはユーザーによってさまざまにしても、記録媒体のコストは看過できない。この点について詳しく論じてみよう。

 

記録媒体のコスト

 現在ではダウンロードしたゲームは、主に据え置き機ではハードディスクに、携帯機ではSDカードなどの外部メディアに記録する。ハードディスクは容量は多いが、現在ではゲームが入っているディスクメディアも大容量になっているので、余裕たっぷりとはいかず、いずれ満杯になる。容量の少ない外部メディアならなおさらである。「ダウンロード版の価格+使用するメディアの価格×専有する容量の割合」を計算してみれば実質的なコストが出せるが、新作ではしばしばダウンロード版の方が高コストである。あろうことか両者の価格が同じソフトもあり、その場合店舗での割引も含めて、どう逆立ちしてもパッケージ版には勝てない。

 また、入れ替えの手間がないとか、無くさないというメリットが活かされるかどうかも入っているソフトの容量次第である。というのもSFCソフトを大量に入れている場合はまさに入れ替えの手間なく便利だが、SDカードに新作が2本、という場合はそれ以外を遊ぶ時に入れ替えなければならないからだ。そしてSDカードは通常ソフトよりも無くしやすい。

 ここで、パッケージ版ソフトの隠れた利点に気づくかもしれない。それは、「記録媒体がついてくる」ということである。よく考えてみよう。ディスク系メディアなら安そうだが、3DSではSDカードのようなものが買えば買うだけついてくるのである。つまり、今まで見方が間違っていたのだ。パッケージ版というのは単にパッケージつきなのではなく、「専用記録メディアつきソフト」なのである。

 

ダウンロード購入の隠れたメリット

 さて、このように言ってしまうとダウンロード版は無駄だとか、損ばかりじゃないかと思うかもしれない。だが決してそうではない。そもそもさっきからお金の話しかしていないのが問題なのだが、パッケージ版にもあったように、ダウンロードソフトにも隠れたメリットがある。それは「メーカー側の負担が少ない」ということである。

 いやいやそれはメーカーが儲かるだけであってユーザーはいいことないだろうって?そんなことはない。メーカー側の負担が少ないということは、ゲームを低コストで作りやすいということであり、全体のコストが下がれば時間をかけて内容を充実させる余裕も生まれるし、売れないからといって却下されるソフトも減る。つまり販売されるゲームの量と質および多様性に影響するわけだ。

 実際にそういった制作コストの差が顕著に出たのがNintendo64対PSの図式である。64のロムカセットとPSのディスクメディアは1本あたりの製造コストが大きく違うわけだが、その結果64は少数精鋭を強いられ、PSは「はらペコクマの開運カバラ占い」などというソフトも生まれたわけだ。つまるところ、ダウンロード版はユーザーが少しコストを払う分、メーカーとユーザーの両方にプラスに働くのではないだろうか。

 こうした状況は過去の例に限らない。この制作コストの低さが働いた結果、パッケージ版のないダウンロードのみの新作ソフトの市場は現在実に多様であり、ユーザー側も満足できる状況となっている。このようなダウンロード専用ソフト界隈はますます賑わっていくだろう。

 そして、コストの問題に限っても打開策はある。それはゲームの容量が記録媒体のコストを無視できるほどに小さくなればいい。その典型例がバーチャルコンソールなど過去のソフトの配信版であり、ここでは昔の開発者が必死になって容量を削減したおかげで、現在のユーザーはその恩恵を受けているといえる(他方で大容量のPS系ソフトはその点不利だが、代わりにロード速度の有利がある)。また、ムーアの法則が言っているように記憶媒体の容量あたりの費用も年々低下するので、発売時期が古いものほどこの点は気にならなくなる。ダウンロード待ち時間の問題も容量が小さいものなら一瞬で済む。結局、昔のゲームこそダウンロードして遊ぶのに最適ということである。

 

小売店は不要?

 ゲーム業界に関しては、もう一つ論じるべきことがある。それはメーカーとユーザーの間に立つ、小売店の存在だ。パッケージ版ソフトであれば何らかの小売店を通すことはほぼ必須だったわけだが、ダウンロード販売であればその中間をすっ飛ばすことが可能となる。そうなると小売店の存続が危ぶまれることになる。これがいいことかどうかは、ユーザーの側から見ると判断が難しい。小売店は間に立つことによって確かに利益を得ているが、その分店舗にゲームを並べることで宣伝に貢献していると考えられるからだ。

 小売店がないとどうなるか。それはパッケージ版の存在しないスマホゲームの界隈を考えてみればわかる。売られているものの一覧を見ることができないので、ゲームを認知してもらうには広告に費用をかけるか、ランキングの上位にのし上がるかしかない。それを除けば基本的に口コミである。そのせいでゲームの質が落ちるわけではないが、小規模ながらいい作品というのにはなかなか光が当たることはないだろう。

 もちろんこの状況は、紙の書籍対電子書籍や、CD対楽曲ダウンロードと同じ構図であって、どちらも後者への移行が進んでいることを考えると、不可逆的な流れなのかもしれない。あるいはアマゾンがレコメンド機能を考えたように、一覧ができない状態で欲しいものにたどり着く方法もありうるだろうし、当サイトでやっているような、おすすめソフト紹介がより一層頑張ればいいのかもしれない。新作はパッケージで、旧作や小規模作品はダウンロードでという住み分けができれば理想的だが、すでにほぼダウンロード販売のみとなったスマホ・PCゲームに取り巻かれている以上、家庭用ゲーム業界も変化を迫られていることは疑いない。

 

まとめ

 では、今回わかったことをまとめてみよう。

  1. ゲームのダウンロード販売は任天堂が何度も試みてきたが、サービスとして安定したのはインターネット普及以後。
  2. ダウンロード版を選ぶメリットはソフト入れ替えの簡単さや、ロード時間の短縮が主。
  3. ダウンロード版のデメリットはゲームが手放せないこと。
  4. パッケージ版より経済的に得かどうかは、基本的にソフトの容量が小さくなればなるほどお得になる。
  5. ダウンロード販売の制作コストの低さは、メーカーとユーザー双方にメリットがある。
  6. 過去のソフトの再販はダウンロード購入に最も向いている。
  7. ダウンロード販売は小売店にはダメージがある。

ということだ。そして最終的に言いたいことは一つ。任天堂さんもうちょっとバーチャルコンソールを充実させてください。