ザードの伝説2とは?

「ザードの伝説2 偽神の領域」は、VIC東海から1993年2月19日に発売されたゲームボーイ(DMG)のRPGです。
前作として「ザードの伝説」が同じくゲームボーイで発売されています。
この作品、ポケモンで人気が出る前のGBのソフトということでかなりマイナーなのですが、何とも言えない独特の魅力を持っています。
特にセリフ回しはとんでもなく個性的なので、セリフ集まで作ってしまったほどです。
ここでは、ザード2とはどんなものかを簡単に解説してみます。

セリフ集をはじめ、その他のザード2のコンテンツはこちらをご覧ください。
ザードの伝説2のページ

あまりに独特なシナリオ

ザードといえば何と言っても魅力はそのストーリーと世界観にある。
一見してよくあるファンタジー世界だが、実はそれが「造られたもの」であり、そこに外部から主人公が介入する、というのが大筋だが、
とにかく個々のテキストやイベントが変すぎる。突然現れる変態オヤジがとんでもない強キャラで、そいつのせいで「それいじょうやると せいひんにしてもらえなくなる!」などと言い始めたりとか、妙な展開が盛りだくさんである。
しかしそこだけを見て、本作をただの変なゲームだとか、バカゲーだとか判断してはいけない。ザード2はそれだけではなく、ファンタジーに似つかわしくない人間の生々しい生き様を描いたイベントの数々が心を動かすのである。
メインイベント以外は好きな順番で回っていいというロマサガ的なフリーシナリオシステムだが、各地で起こるイベントは盗賊やモンスター退治などファンタジーではおなじみなものもあれば、女幽霊の復讐の手伝いや結婚詐欺師を懲らしめるなど、一風変わったものも。
世界観についても、マス(月)やアム(馬)、オカバッツ(タバコ)など独自の用語が用いられていたり、街や地域ごとの文化が細かく設定されていたりするので、人々との会話やキャンプイベントからそれらを読み解くのも楽しい。

ちょっと変わったキャラクターたち

主人公ウルスはとある企業に勤めるサラリーマンという珍しい設定で、スーツを着てネクタイを締め、ライトセーバー的なものを振り回して戦う。正確はとにかくクールというか現実的で、依頼を請け負う時も「保証はできない」と言ったり、悪人に相対する時も安易な正義感から相手を懲らしめるのではなく、「悪事がなぜ社会的に良くないか」をとうとうと説くのである。
一方でヒロインのアニスは明るく前向きなリアクション担当。おまけに子供向けハードとは思えないようなヤバいイベントもあったり(文字だけだけど)。
その他、口は軽いが頼りになるジョウジ、典型的勇者なラインフォルト、超ド級の外道のフォート・チュンなど、サブキャラクターも魅力的。

さっぱり省略のシステム

システム面は一般的なRPGとは大きく異なる。武具なし、MPなし、成長は主人公2人のみ、と多くの要素が省略され、
さらに移動は一次元的でフィールドでもダンジョンでも迷うことのないしくみとなっている。
前述の通りフリーシナリオなので、街で依頼を受けてイベントをこなしていく形式だが、まるっきり無視するのも自由。
とりわけ印象的なのがステータス画面だろう。「オレのちからは かなしくなっちゃうよ」のように主人公による自己評価のみが見れ、仲間は自分との比較で語られるのだ。具体的にはリンク先を参照。
それ以外にも、「このデータをロードするぜ かまわないか?」とか「さぁて どこへいくかな?」とかシステムメッセージも事務的でなくいちいち凝っている。

妙なグラフィックと、最高な音楽

グラフィックに関しては背景や顔グラフィックはゲームボーイにしては細かいが、モンスターは顕微鏡で見ているかのようで、なんだかよくわからない。
それが無理やり拡大、縮小されてドットがつぶれたり、とにかく妙である。
それに引き換えサウンドはゲームボーイの良質な音源を最大に生かした押しの強いもので、曲数もバトルだけで5曲あったりと、ボリューム満点。
サウンドモードもついている。(主人公の名前を「サウンド」にして開始すれば入れる)

総合的には・・・

全体としては難易度は控えめで、道中と戦闘が長いが、それは文章の魅力で補って余りある。
とにかくテキストが面白いので、それを見るためにでもプレイする価値は十分にある。
人間というものに対するウルスの鋭い言葉はファンタジーの枠を超えて、こちら側にいる我々をも貫くだろう。
これをプレイすれば、RPGの持つ可能性を感じることができるはずである。

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3ティ かかるぜ いくぞ!