ヘラクレスの栄光IVとは?
データイーストが出していたヘラクレスの栄光シリーズは、第一作「闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光」からしてパクリなんじゃないかというほどドラクエに似ていた。
第五作目となる「ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物」も、独創的なRPGとはお世辞にも言いがたいものだ。
たとえばトランスファーシステム。自由にキャラに乗り移って特技を使えるというその内容は、明らかにFFのジョブチェンジの影響を受けている。
だが、本作が単なる二番煎じに終わらない理由は、名作のいい部分を吸収して、さらに細かい要素をこれでもかと詰め込んでいるところにある。
そういった場合たいていは失敗するのだが、ヘラクレスは違った。絶妙なバランス感覚で、そのごちゃごちゃをきれいな作品にまとめてしまうのだ。
そうした調理法が最高のレベルに達したのがこのヘラクレス4だといえるだろう。
見どころ
- 最大の目玉のトランスファーシステム!100以上のキャラに乗り移ることができ、それぞれ3つずつ特技を持っている。
FLV(フィットネスレベル)をあげることによってその体になじんで、新しい技を習得できる。
- 細部にまでこだわる技術のレベルの高さ!戦闘画面に立体感があり、アニメーションで動き回るモンスターは非常に手が込んでいる。
ルドラの秘宝ともタメをはる戦闘シーンだ。
そして天気によって戦闘環境が変化したり、移動中にも視点変更をして、新桃伝のようなべベルビュウにすることも可能。
- 随所に凝らされた工夫。
町の人は、話すときの体によって対応が違ったりする。店にも一つ一つ名前があり、店によって主人の口調も違う、など。
さらにモンスター図鑑を他のゲームに先駆けて導入したり、鍛冶屋や種屋でアイテムを集めたり。
戦闘時にはキャラごとに個性豊かなメッセージが見られ、カスタマイズも可能。面白いメッセージの数々はトップに収録。
- シナリオも味わい深いものがある。
古代ギリシアを舞台にしている点も独特だが、今回は人間の悪い心との戦いという、前作よりシンプルながらまとまったストーリーとなっている。
実は、このシナリオを作った野島氏は、後にスクウェアに引き抜かれて、FFVII、VIIIのシナリオを書いているのだ。
音楽の酒井氏も同様で、こちらは任天堂に移籍後、スマッシュブラザーズやマザー3に参加している。
- そして、ヘラクレス4を語る上で絶対に外せない究極の不思議なダンジョン!
シレンの最終問題や、エストポリスの古の洞窟すらも凌駕する深さを持ったダンジョンで、
その最深部にはRPG史上最強?の隠しボスが待っている。
こちらのページに隠しダンジョンの攻略あり。
以上の紹介にあらゆる名作が引き合いに出されているところからも、いかにこのゲームが
パクったか素晴らしいかが伺えるだろう。
本作をプレイして面白いと思ったら、ぜひシリーズ他作品、特に3をプレイしてみよう。
他のヘラクレスの栄光シリーズ
闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光(FC)すべての始まりにしてデコテイスト満載のヘンなゲーム。独特のシステムや一言多いメッセージが特徴だが、出来は何ともいえない。
移動アイテムの行き先選択をドラクエIIIより先に導入するなど、単なるヘンなゲームに終わらない部分もある。
ヘラクレスの栄光II〜タイタンの滅亡〜(FC)よりスタンダードなドラクエ路線に近づき、貴重な個性だった武器の耐久力もなくなってしまった。
ストーリーと音楽はかなりいいが、敵がやたら出るし、バランスも悪め。
とはいえシステムは整っており、仲間も頼りになるので後半になればプレイは楽になるだろう。
ヘラクレスの栄光〜動き出した神々〜(GB)IとIIの間をつなぐ外伝的な作品。ヘラクレスが主人公で、状況に応じて仲間にする神々を使い分けるというアイデアは秀逸だが、バランスがなおのことヤバい。
常に理不尽な仕様に苦しめられることになるので、耐えられる人のみプレイすべきだろう。
ヘラクレスの栄光III〜神々の沈黙〜 (SFC)
システムは何の変哲もないRPGなものの、シナリオはゲーム史に残る凄まじい仕上がりになっているという、アンバランスな一本。
多少プレイは面倒くさいものの、このシナリオは死ぬ前に一度見ておきたい。
ヘラクレスの栄光 魂の証明 (DS)
現代的なビジュアルやシステムに刷新し、奇跡の復活を果たした一作。
エーテル値を管理して魔法を使う独特のシステムを搭載し、スキルやアビリティも多彩で戦闘はかなりテクニカルになっている。
戦闘中にタッチペン操作のミニゲームが挟まるなどテンポが若干悪いがやりごたえはあり、ストーリーも引き続き「不死」をテーマにした印象深いものだ。