ファミコンのキャラゲー
最凶決定戦



 キャラゲーはつまらない、そんなイメージを覆すために開催された「ファミコンのキャラゲー最強決定戦」。しかししかし。面白いものもあるにせよ、ヤバいものも現に存在するわけで、そっち側を突き詰めるとどうなるのか、今度は逆のトーナメントを開催してみました。要するにファミコンのクソゲーの頂点を決める決定戦です。
 キャラゲーとみなす基準は前回と同じく、原作となる作品が存在することで、歴史上の人物が出るものや芸能人・有名人がプロデュースしたものは今回は省いております。
 勝敗は前回と真逆で、「原作を踏まえていないこと」「ゲームとして破綻していること」が基本ですが、これだと単につまらないだけの安直なゲームしか選ばれないので、特別に「ダメさにキレがあること」も基準として加えました。ただつまらないだけではなく、インパクトが必要ということです。
 では、厳しい審査を勝ち上がってきた「ヤバいキャラゲー」16作品のエントリーから始めましょう。

エントリー作品紹介


〜アクション〜
待ち受ける容赦ない死!スペランカーとどちらが虚弱なのか?
「トランスフォーマー コンボイの謎」がさっそく登場だ!

原作を突き抜けて宇宙へ・・・
いったい何が起こっているのか!?「ドラゴンボール 神龍の謎」だ!

天才少年が発明したのは地獄だった!何それ?
狂気の世界からやって来た「キテレツ大百科」も参戦!

犬が苦手にも限度があるんじゃ?
動物にフルボッコにされる、「オバケのQ太郎 ワンワンパニック」だ!

いたいけな少女の夢をぶち壊し!
お人形によるバイオレンスアクション、「ロストワード・オブ・ジェニー」

いったいこれはゲームなのか!?
何もかもがおかしい、「ゴーストバスターズ」

お前ら野球しろ!南はジャマだ!
原作がお留守すぎる「タッチ ミステリー・オブ・トライアングル」だ!

相変わらずお前ら野球しろ!無理やりアクションにするんじゃない!
同じく原作が行方不明の「バツ&テリー 魔境の鉄人レース」

全国のチョコボール好きが戦慄した怖すぎる世界観!
本来関係ないゲームじゃないか!「キョロちゃんランド」

あーあ みやさかが いっちまった。
このゲームの存在そのものが危ない!「もっともあぶない刑事」

主題歌に18禁シーンに水中に・・・いろいろ詰め込みすぎ!
凝っているがどこかがヘンだ、「ゴルゴ13 第一章 神々の黄昏」
〜アクションRPG〜
この世は連打とお金がすべて!そんなライダーは嫌だ!
ストレスを溜めることに特化した、「仮面ライダー倶楽部」

歩くのが遅い!そして敵が強い!
ストレスならこっちも負けてないぞ、「闘将!!拉麺男」だ!
〜アドベンチャー〜
祖父に引き取られた少年を待っていたのは恐怖のクイズ責めだった!
家庭教師が多すぎる、「小公子セディ」だ!

魔法の呪文はアンキモ!山岡さんどうちゃったんだ!?
オリジナル要素が余計すぎる、「美味しんぼ 究極のメニュー三本勝負」がやって来てしまった!

歴史上の偉人がオリジナルすぎる!あとタイムマシン置いてかないで!
歴史が狂っていく恐怖、その名も「時空の旅人」
以上16作品が、キャラゲー最凶の座を目指して激突します。対戦の組み合わせは相変わらず厳正かつ作為的な抽選で決定しました。
なお、今回はレギュレーション上参戦できなかったヤバいキャラゲーの大御所、北斗の拳5さん、ジョジョの奇妙な冒険(SFC)さん、GUNDAM 0079 The War For Earthさんも特別ゲストとして観戦いただいております。
トーナメント表

試合結果

では早速、第1試合から見ていこう。

第1試合 コンボイの謎 対 もっともあぶない刑事


初戦から実力者同士のぶつかり合いとなった。一方のコンボイの謎はとにかく一撃死が容赦なく、開始直後にもたもたしていると瞬殺される。目玉のトランスフォームも弱体化する体たらくだ。他方でもっともあぶない刑事は映画が原作だが、舞台が日本とは思えないほど銃やナイフを持った敵がうろうろしている世紀末状態だ。しかもキャラの動きはカクカクしており、進むのがやたらと厳しい。
ゲームとしての破綻度合いは互角だが、決め手となったのは第三の基準「キレ」である。もっともあぶない刑事がただつまらないだけなのに対し、コンボイの謎はもはや笑えてくるほどの死にっぷりである。このインパクトの違いが勝敗を分けた。
結果 コンボイの謎の勝ち

第2試合 仮面ライダー倶楽部 対 神龍の謎


大きな人気を誇る作品同士の対決。仮面ライダー倶楽部は崖に掴まるのに連打、空中移動に連打、戦闘中に連打ととにかく操作が大変で、天井に頭をぶつけると潰れて動きづらくなるなど、アクションの要である「動かしていて楽しい」の真逆を行く構成。神龍の謎はといえばバランスが怪しい以外は平凡に見えるが、出てくる敵キャラがどこかおかしく、終盤にオリジナル展開に突入し、会話が理解できない中で宇宙クリリンが現れる。
インパクトなら完全に神龍の謎だが、悪い方向のオリジナルではないし、仮面ライダー倶楽部のプレイしづらさはどうしてこんなゲームができたのかと疑問に思うレベルである。したがって、
結果 仮面ライダー倶楽部の勝ち

第3試合 オバQ 対 キテレツ大百科


奇しくも藤子作品同士の勝負となった。オバQは「犬が苦手」という要素をしっかり取り入れたものの、ゲーム内容のせいで犬が空中のQ太郎を対空砲火で撃ち落とす恐怖の存在になってしまった。「食いしん坊」の要素もバッチリだが、そのせいで食べないとすぐ餓死するトガリネズミみたいなオバケになってしまった。対するキテレツは「夢見鏡」が作った世界が舞台だが、その内容が狂気としか思えない。おまけにキテレツが最初に発明するものが「キテレツじごく」で、作ると閻魔様がライフを貸してくれるという発想のぶっ飛び具合である。
ちょっとバランスが極端なアクションに留まっている前者に比べ、キテレツじごくの狂気は圧倒的である。
結果 キテレツ大百科の勝ち

第4試合 ロストワードオブジェニー 対 拉麺男


着せ替え人形のジェニーが主人公の同作は、女の子版シャーロックホームズというか、とにかくパンチとキックで敵を撃退するバイオレンスアクションとなっている。スパルタンXのシルビア(ファミコンロッキー版)じゃないんだから。しかもスタート地点の近所にNASAがあったり、敵が怪しいマフィアみたいなのだったりと世界観がおかしい。一方の拉麺男は世界観はおかしくないが、とにかく歩くのが遅い。街行く人よりも遅い。おかげで話しかけるのにも一苦労だ。それに加え、いざ戦闘になると敵の動きがやたらいいせいで攻撃がまるっきり当たらない。全編にわたって苦行である。
その点でゲームとしての遊べなさがすさまじいので、
結果 拉麺男の勝ち

第5試合 バツ&テリー 対 タッチ


原作崩壊の筆頭同士の対決。方やバツ&テリーは鉄人レースに出場するという野球とはまったく関係ない内容で、原作者の娘もプレイしてショックを受けるありさま(『まんがかぞく』1巻参照)。同じく野球漫画の金字塔タッチもやはり野球をせず、謎の異世界で命を削ってアイテムを買いながら敵にボールをぶつける毎日。
原作とのかけ離れ度合いはどっちもどっちだが、よりアクションになりそうもないのはタッチだろう。鉄人レースの方は、レースとしては案外筋が通っているし。
結果 タッチの勝ち

第6試合 時空の旅人 対 キョロちゃんランド


時空の旅人はアニメ映画が原作だが、どちらかと言うと原作の設定を活かしたオリジナルストーリーになっており、歴史上の偉人に会って会話を進める異色の内容。問題はその会話の中身で、信長が本能寺で命乞いしたり、食べ物の恨みで戦争したり、いくら歴史改変ものとはいえ偉人のメチャクチャっぷりがすごい。相手となるキョロちゃんランドは、ついに出た原作と関係させる気ゼロのゲームである。つまり海外ゲームのキャラを差し替えただけ。しかも、あろうことかその差し替え元のゲームがやたらとおどろおどろしい世界観のために、キョロちゃんとのギャップは恐怖しかもたらさないものになってしまった。この異常な事態は他に類を見ないだろう。
結果 キョロちゃんランドの勝ち

第7試合 ゴーストバスターズ 対 小公子セディ


ついに出てしまった、ゴーストバスターズが。このゲームはもはや史上最低なんじゃないかという内容で、グラフィックはしょぼく、内容は薄く、操作は辛く、エンディングはバグっている。原作がどうこういうレベルではない。これに果敢に立ち向かう小公子は、アニメのストーリーを踏まえているが、路上には家庭教師が十数人うろうろし、勉強という名のクイズを矢継ぎ早に出してくる。この時点で辛すぎるが、アドベンチャー部分も難解かつシュールなセリフが多数。とはいえさすがに前者の破綻っぷりには道を譲らざるを得ない。
結果 ゴーストバスターズの勝ち

第8試合 美味しんぼ 対 ゴルゴ13


妙なオリジナル要素同士の対決。一方の美味しんぼは原作通りに進むものの、妙な選択肢がところどころにあり、警官に対して山岡さんが唱えた呪文「アンキモ」はもはや伝説となっている。他方のゴルゴも原作の雰囲気は存分に出ているが、ポーズ画面の主題歌と序盤の18禁シーンに加え、潜水艦やら戦闘機やらをバリバリ撃ち落とすなど、全編やりすぎ感が漂っている。
しかし美味しんぼは2話以降は案外普通なので、ぶっ飛んだ要素ではこちらが勝るだろう。
結果 ゴルゴ13の勝ち

第一回戦から激戦続きである。結果はこのようになった。
トーナメント表

準々決勝

第1試合 コンボイの謎 対 仮面ライダー倶楽部


どちらも原作の扱いは悪いわけではない。コンボイの謎は冒頭の即死はひどいものの、慣れれば(ループ面以外は)わりと進めるし、むしろ即死込みでバランスが成り立っているといえる。逆に仮面ライダーは、操作の不便さを突破しても金がすべての容赦ないシステムが立ちはだかる。お金がないと味方も増やせず、ステージもクリアできない。ゆえに戦闘員からカツアゲしたり、ギャンブルで稼ぐことになる。ライダーがそれでいいのか。
結果 仮面ライダー倶楽部の勝ち

第2試合 キテレツ大百科 対 拉麺男


ゲーム内容を見ると、拉麺男が足が遅いのに対して、キテレツの方もまともではない。みよちゃんが仲間になってからが曲者で、前代未聞のパーティー制アクションとなり、誰がダメージを受けてもダメだし、うっかりすると落とし穴にもはまる。そうならないためにセレクトボタンで必死に仲間を呼び戻さなくてはならない。おまけにその後コロ助も加わって難易度さらにアップ。
インパクトに中身の辛さも加われば、拉麺男よりさらに先に行っているとみていいだろう。
結果 キテレツ大百科の勝ち

第3試合 タッチ 対 キョロちゃんランド


こちらもゲーム内容はどっちもどっちである。タッチはお金と体力が一体化しているので、うかつに買い物をすると命が危ない。おまけにアイテムの効果もわかりづらすぎる。キョロちゃんはとにかく難しく、始まって直後に即死トラップすらある。原作との兼ね合いを見ると、原作ほぼゼロのタッチに対し、その不気味さでもはやマイナスになっているんじゃないかというキョロちゃんランド。その恐ろしさはなかなか真似できるものではない。つまり、
結果 キョロちゃんランドの勝ち

第4試合 ゴーストバスターズ 対 ゴルゴ13


言うまでもなく、ゲームの破綻度合いはゴーストバスターズの圧勝である。ゴルゴも結構厳しいものの、メチャクチャではない。頼みの綱の原作要素も、前者はあるように見えてどこかがおかしい。なぜマップ画面で映画のロゴが動いているのか。なぜお金を貯めると先に進めるのか。そもそも結構面白いゴルゴとでは勝負にならない。
結果 ゴーストバスターズの勝ち

ベスト4は個性的なメンバーが集結。さて勝つのは誰か!?
トーナメント表

準決勝

第1試合 仮面ライダー倶楽部 対 キテレツ大百科


ストレスの仮面ライダーVS狂気のキテレツ。ゲーム内容の劣悪さ一本でここまで勝ち上がってきた仮面ライダーだが、原作との関係の点から見るとバンダイだけあってキャラクター面はしっかりしており、敵味方ともに多彩で、ちゃんと死神博士はイカデビルに変身する。対するキテレツもまともなように見えて、なまじ会話シーンなんて入れたせいでコロ助が全体的におかしい。そしてやはり世界観の異常さはその比ではなく、ピカソの絵画みたいな背景があったり、矢印やサイコロが敷き詰められていたり、突然コロ助が増えたり、メトロノームが襲ってきたり・・・夢の世界というより、病気の時に見る夢なんじゃないか。
結果 キテレツ大百科の勝ち

第2試合 キョロちゃんランド 対 ゴーストバスターズ


恐怖のキョロちゃんランドVSゲームになってないゴーストバスターズ。方やひどく原作から逸脱し、方や全体的に崩壊している。どちらも甲乙つけがたいが、キョロちゃんランドはゲーム面は難易度が激烈なだけで、3D表現の点で見るべきところはある。エンディングもバグっていない。ゴーストバスターズは日本語フォントが変、謎のレース面、アイテム売値のバグ、ラストの地獄の階段登りとひどいところを挙げればきりがない。総合的に判断すると、軍配が上がるのはこちらだろう。
結果 ゴーストバスターズの勝ち

決勝戦

キテレツ大百科 対 ゴーストバスターズ


最強決定戦の時と同じく、最凶決定戦においても決勝に残ったのは厳しい戦いをくぐり抜けてきた、完全無欠(というかその反対だけど)のゲーム2作であった。どちらも原作を踏まえているようで踏まえておらず、ゲームとして遊ぼうとすると苦難の道が待っている。これらに優劣をつけるためには、ここで再び第三の基準「キレ」を思い起こしてみよう。キレとは何か。それは他の追随を許さない個性と、一度見たら忘れられないようなインパクトである。この点で言えば、総じてうすぼんやりしたゴーストバスターズよりも、トラウマを植え付けるかのようなキテレツの方がその言葉にふさわしいと言えるだろう。何せ本作のエンディングではトンガリがそんな感じで病んでいるし。ということで勝者は、
結果 キテレツ大百科の勝ち

トーナメント表
今回の勝負の結果はいかがだっただろうか。悪い方の最高を決めるというのは良い方よりも一層ややこしい話だが、何となく結論は見えてきたかもしれない。大会の結果選ばれたのは、ただダメなゲームではなく、記憶に残るダメなゲームである。そしてそのようなゲームは、良くも悪くもないゲームよりもある意味で面白いのかもしれない。そう考えれば、いわゆるクソゲーというものの見方も変わるのではないだろうか。

おまけ 予選落ちキャラゲーたち

こちらでも、本戦出場が叶わなかったギリギリヤバいキャラゲーを載せておこう。ここに収めたものはクソゲー度が低いというよりはただ個性に欠ける作品であり、一般的なつまらないキャラゲーが集まっているといえる。
・北斗の拳
基本であり、安易なアクションを作るとダメという典型な感じ。とはいえ「あべし」を取ってパワーアップなど妙なアイデアも光る。

・ 北斗の拳3 新世紀創造 凄拳列伝
安易に流行に乗ってドラクエ的なRPGに。原作を細かく再現したビジュアルは素晴らしいが、RPG部分が辛すぎる。

・ 北斗の拳4 七星覇拳伝 北斗神拳の彼方へ
システムがますます単調になったRPG。本編後を舞台にしたオリジナルストーリーは評価できるものの、RPG部分はさらにやばい。

・魁!!男塾 疾風一号生
北斗の拳よりはキャラもアクションもはるかにマシ。男爵ディーノが強すぎるのが間違っている。

・ファミコンジャンプ 英雄列伝
企画とキャラは豪華だがゲーム部分どうなってんの。

・スターウォーズ(ナムコ)
独自解釈によるサソリベイダー達のインパクトがとにかく強烈。その他の再現度はいいけど激ムズ難易度をなんとかして。

・機動戦士Zガンダム ホットスクランブル
ナムコ遠藤氏の3Dシューティングに無理やり横スクロールを入れたためこんなことに。とはいえ3D部分だけではキャラゲーとしては苦しいので、安易なアクションも必要なのかもしれない。

・超時空要塞マクロス
キャラゲー要素はほぼ自機の変形と敵キャラ、音楽のみで、あとは普通のシューティング。中身も単調だし・・・

・ドナルドランド
それなりに遊べるが、世界観が妙に怖い。ドナルドは元からだって?

・うる星やつら ラムのウェディングベル
なんとなく雰囲気の合う別ゲームのキャラを差し替えたもの。あくまでなんとなくなので、原作の要素はそれっぽいキャラが出る程度。なぜ学校が炎上しているのか?

・デビルマン
ストーリーは好評だが・・・アクション部分が単純すぎる。あとミキちゃんがやたら強い。

・聖闘士星矢 黄金伝説
ビジュアルはド派手なものの、戦闘が何をどうすればいいかわかりづらい。たとえわかってもきつい。

・伝染るんです。かわうそハワイへ行く
意図されたバカゲーという感じ。敵キャラもお店の売り物もどこかヘン。ポルトガルは特にヘン。

・スケバン刑事III
ジャンプすると画面奥にいる判定になるのが謎。タイトル画面の出来がひどい。

・スーパーマン
日本では受けないと思ってキャラデザインを大幅に変えてしまった。アクション部分もアレ。

・シュワルツネッガー プレデター
ビッグモードのキャラが過剰なまでにでかいが・・・なんで泡と戦ってるの?音楽はいい感じ。

・ターミネーター2
またもや映画原作。ターミネーターが棒で殴られただけでヘタれるのはちょっと・・・結構頑張っているダイハードを見習ってほしい。

・シャーロックホームズ 伯爵令嬢誘拐事件
ご存知バイオレンスホームズ。ジェニーとどっこいどっこいである。

・ジーキル博士の彷魔が刻
これも一応小説原作?ひたすら住民がストレスを溜めてくる。ゲームとしての困難さは随一。

・AKIRA
よく考えたらこっちに入れるべきだった。まともな造りが多いアドベンチャーキャラゲーの中でも珍しく破綻している。



もどる
キャラゲーも面白かった。