ルドラの秘宝とは?



いらすとやさんの素材で作ったオープニングシーンの再現
ここでは、スクウェア随一の隠れた名作RPG、「ルドラの秘宝」について解説しています。

ルドラの秘宝は、スーパーファミコン最後期の1996年にスクウェア(現在のスクウェア・エニックス)が発売したRPGです。
開発したのは、これまでに「サ・ガ3」「FFUSA ミスティッククエスト」を作ったスクウェア大阪のメンバーに、後に入った新人を加えたスタッフです。
続編もなく、売り上げも控え目(約13万本との噂)だったので、有名作ぞろいのスクウェア作品の中でも相当マイナーな方ですが、そのハイクオリティなグラフィックと音楽、そしてシステムのために一部のファン(筆者含む)から根強い支持を受けています。
現在、WiiWiiUのバーチャルコンソールでそれぞれダウンロードして遊ぶことができます。

ルドラの攻略、言霊システム解説などを探されている方は、
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で、面白いの?

ルドラの面白さに関しては、強烈なインパクトはないものの、やっているうちにじわじわ面白くなってくると評価するのが適切でしょう。
見た目はオーソドックスなターン制RPGで、ロマサガのように尖った魅力や、FFのような新境地を開拓する試みのようなものはあまり見られません。
雨宮慶太氏のクラウドが手がけたビジュアル面も一般受けしない感じというか、怪しく暗めなのでキャッチーさに欠けています。
しかし、その地味さを乗り越えると、ルドラの良さが徐々に見えきます。
ストーリーは滅亡の時が迫る人類が残された16日間を使って滅亡回避のために奔走するというもので、
4人の主人公のストーリーが同時に進行する独特のものです。
またゲーム内のグラフィックは非常に精密でかわいらしいドット絵で、キャラクターは戦闘中にアニメーションするという、非常にハイレベルな技術でもって作られています。
さらに笹井隆司氏によるサウンドも素晴らしく、激しい曲も穏やかな曲もそれぞれ魅力があります。
そしてゲーム面も何ら手抜かりはなく、目玉となる言霊システムをはじめ、戦闘面のバランスが実に丁寧に作り込まれています。

総じて、地味だけど随所にキラリと光る良さがあり、どんなに遊んでも面白さが尽きることがない、というのがルドラの魅力といえます。

言霊システムについて

ルドラ最大の特徴が、この「言霊システム」です。
これは、任意の言葉を6文字まで入力すると、それがそのまま魔法になるというもので、
入れた言葉によって効果やグラフィック、消費MPもそれぞれまったく違うものができます。
このシステムの楽しみ方はいろいろです。好きな言葉をどんどん入れてお気に入りの言霊を作ってもいいし、
言霊の効果には法則性があるので、ゲーム内のヒントを手がかりに強い言霊を探す楽しみもあります。
あまりに独特なこのシステムに取りつかれたプレイヤーも多く、言霊の謎を解き明かすために数々の研究が積み重ねられてきました。
当サイトでも、その言霊システムの仕組みについてわかりやすく解説しております。

ストーリーとキャラクターについて


いらすとやさんの素材で作ったオープニングシーンの再現その2
気になるストーリーですが、4千年周期で支配種族が交代する世界で、人間族の時代もあと16日を残すのみ、
それぞれの方法で滅亡を阻止するべく4人の主人公が旅立つ、というのが大まかな流れです。
世紀末、環境破壊、生命の進化といったテーマが随所に見られ、2万年の歴史を持つ世界で繰り広げられる物語は非常に重厚なものです。
その分、用語や固有名詞もやたらと多く、クリアしたけどよくわからなかった、という人も見受けられます。
それは、3つの章でバラバラに情報が提示されるので、ある種の推理もののようにそれをプレイヤーがうまく繋ぎ合わせなければストーリーが見えてこないという、ゲームシステム上の理由もあります。
普通の1本道のゲームや、ロマサガのようなフリーシナリオのゲームのどちらとも異なり、ルドラは確かなストーリーが存在しているにもかかわらず、物語を読む順序がプレイヤーに委ねられているという、珍しい形式の作品です(サガフロ2に近いかもしれません)。
これは難解さもある半面、自分でストーリーを組み立てる楽しみも大いに秘められているので、じっくり作品世界に浸りたいなら繰り返しのプレイをおすすめします。

一方、作品の顔となるキャラクターは、暗めの世界観にもかかわらず誰もが元気で、見ていて楽しくなることうけあいです。
メイン主人公は猪突猛進型でぶっきらぼうな戦士シオン、知的キャラかと思いきやボケ体質もある言霊師サーレント、
周りも驚くほどの天然キャラのリザ、いつもおいしいところを持っていくトレジャーハンターのデューンの4人で、
これに4つの他種族(ダナン・水棲・ハ虫類・巨人)からも仲間が加わり、
シオンパーティーはおてんばなフォクシー、スモウキャラがちらつくテュール(巨人族)、癒し系おじいちゃんのラミレス(ダナン)、
サーレントパーティーはツッコミ役のレギン、寡黙な武人タイプかと思いきや時たま強烈にボケるソーク、大人しくてかわいい元ワルガキのロロ(ダナン)、
リザパーティーはリザ命のガーライル、見た目はキモくても中身はかわいいピピン(ハ虫類族)、美人なのに叫び声がワイルドなマリーナ(水棲族)という構成で、実ににぎやかです。
おまけにキャラクター達はみんな戦闘画面でアニメーションします。特に戦闘勝利ポーズは必見。

音楽について

ルドラのサウンドを作曲しているのは、サ・ガ3やミスティッククエストと同様、笹井隆司氏です。
前2作と同様、元バンドマンだった氏の実力はハードロックのバトル曲で存分に発揮されていますが、
ルドラサウンドの魅力はそれだけではありません。第一にアピールしたいのが、各主人公ごとにテーマ曲が設けられ、それが場面によってアレンジされているという構成です。
各主人公のテーマはフィールドで流れますが、これがそのままアレンジされてボス曲になり、さらにはイベントシーンでも別アレンジが流れます。
同じテーマでも、ここまで雰囲気が変わるのかと驚くことうけあいです。おまけにラストバトルの曲では、全員のテーマがモチーフとして曲中に組み込まれているという、ゲーム音楽史上類を見ない仕掛けも。
こうした点もあり高い評価を得ているルドラの音楽ですが、現在はiTunes Music Storeにて配信されています。

バトルシステムとゲームバランスについて

敵味方が活発にアニメーションし、言霊や特技が飛び交う戦闘シーンはルドラの華です。
戦闘はシンプルなターン制ながら細かく練り込まれており、言霊の他にも隊列の切り替え、行動順の指定、かばうやタメ攻撃などなかなかテクニカルです。
戦闘で重要なのは属性の存在で、これは火と水、雷と風、陽と陰という対になる6属性が武器や防具につくことによって、ダメージが大きく変化するというもの。
風属性の敵には弱点となる雷で攻撃し、敵の攻撃は風防具で軽減するなど戦略を立てる余地があり、もちろん言霊にも属性があります。

こうしたシステムもあって、本作はザコ戦は比較的楽なものの、ボス戦は一筋縄ではいかないように作られています。
適切な装備と言霊を用意しないとボスはかなり苦戦するでしょうが、その分やりごたえも十分です。
また、隠しモードとしてザコとの遭遇をなくす方法も用意されているので、腕に自信がある人はこちらに挑戦することもできます。

まとめ

ルドラは、地味だけど不思議な魅力を持ったRPGです。
見た目は暗めなものの、そのストーリー、システム、グラフィック、サウンドのどれもが高水準かつ十分な個性を持っています。
そのため本作は、2DドットRPGの一つの極致と言っていいでしょう。
また、ハマった人はどこまでも追究したくなる奥深さも兼ね備えているのがルドラです。
これを機に触れてみて、ルドラ世界の濃密さをぜひ体感してみてください。


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