ゲーム情報専門・火の鳥ブログ

2019年2月

キャラゲーからFFへ……中里氏とコブラチームの道のり

 前回は、いわゆるコブラジョジョを作った中里尚義氏のインタビューを掲載しましたが、彼のその後の経歴は調べてみるとかなり面白いことが判明しました。キャラゲーが意外なゲームと結びついていることがわかったのです。今回はその中里氏を中心に、コブラチームがその後どうなったかについて調べてみました。

 

用いた資料

 調べるにあたって参考にしたのは、前回のVジャンプ1992年12月30日号と、スクウェアスタッフの繋がりを徹底的に調べておられるSubeakiさんのページ「スクウェア大事典」、そして昨年発売された書籍『ゲームドット絵の匠 ピクセルアートのプロフェッショナルたち』(ホーム社)。この書籍には中里氏と、トーセからバンダイに移った田中庸介氏、さらには橋本名人こと橋本真司氏へのインタビューが収録されており、バンダイのキャラゲー作りやコブラチームについて豊富な情報を伝えてくれる。これらを以下で参照する時は、それぞれ「Vジャンプ」「大事典」「ピクセル」と略す。

 

ファミコン期

 中里氏はD&Dというデザイン事務所に入り、バンダイはそのクライアントの一つだった。パソコンRX-78のグラフィック制作などを経て、「オバケのQ太郎ワンワンパニック」ではじめてファミコンに関わる。本作は開発はトーセだが、D&Dは企画とデザインを担当していた(ピクセル)。その後中里氏はドラゴンボールシリーズすべてとまじかる☆タルるートくん、聖闘士星矢、ファミコンジャンプなどを担当(Vジャンプ)。このうちドラゴンボールの数本で、スタッフロールに「D&D CORP.」とあるのが確認されている(それ以外のゲームはD&Dや中里氏の記載なし)。バンダイのファミコンキャラゲーの制作元はほとんどがトーセとされているが、同時にD&Dも多くの部分に関わっているようだ。書籍の対談で語られている内容によると、最初にD&Dが企画とデザインを行い、その後トーセでデザインの修正をしつつプログラムを行っていたと言われている。これは今まで知られていなかったことである。

 この際の担当は第一にグラフィックで、中里氏は田中氏とともにバンダイの多くのキャラゲーのドット絵を描いている。また当時は役割分担があまりなく、ファミコンジャンプでは中里氏が企画、デザイン、指示と多くの役割をこなしている。

 

コブラチームの立ち上げ

 中里氏はSFCの「ドラゴンボール 超サイヤ伝説」を作った後、1991年に橋本真司氏(橋本名人)とともに株式会社コブラチームを立ち上げた(ピクセル)。橋本氏はバンダイで(開発部にもかかわらず)ファミコンゲームのプロモーションを担当していた人物で、雑誌などでの宣伝に加えファミコンジャンプのプロデュースを行っていた。バンダイの「ポケットザウルス 十王剣の謎」には橋本名人が主人公として登場している。

 コブラチームの代表作はなんと言ってもSFCの「ジョジョの奇妙な冒険」であるが(その制作の様子については前回のインタビューを参照)、本作のプログラムやサウンド、グラフィックはウィンキーソフトが請け負っており、コブラチームの担当は主にゲームデザインやプロデュースのようだ。他にはSFCの「サンダーバード 国際救助隊出撃せよ!」、「バスタード 暗黒の破壊神」およびACのドラゴンボール2作を発売しているが、1994年以後のソフトが存在しないので、トップの移籍に伴い解散したと思われる(大事典)。

 中里氏も橋本氏もコブラチーム時代のことについては多くを語っていないが、橋本氏はコブラチームの社長、中里氏はコブラチームの開発責任者だったようである(Vジャンプ)。

 

スクウェアへの吸収

 1994年に中里氏はスクウェアの坂口博信氏に声をかけられ、スクウェアに移籍することになる(ピクセル)。この出来事は実際はスクウェアによるコブラチームの買収だったようだ(下記参照)。中里氏はプランナーとしてスクウェア(正確にはソリッド)に入り、最初に関わった作品が1995年のフロントミッションである。橋本氏は書籍ではクロノトリガーのプロデュースを担当と書かれているが、スタッフロールにはスペシャルサンクスとしての記載しかない。フロントミッションではプロデューサーで記載されている(大事典)。

 追記:Subeaki氏の情報提供によると、コブラチームは1994年1月にスクウェアに買収され、100%子会社となったことが判明した。その際にコブラチームは「ソリッド」に名称を変更している。ソースは1999年度の有価証券報告書。この資料によると、ソリッドは「ゲームソフト開発の外注管理」を担当している。確かにガンハザードのスタッフロールには中里氏の名前の後に「SOLID」と記載されており、その他外注を行っているブシドーブレードや双界儀、サイバーオーグのスタッフロールにソリッドの名前があるので、外注管理とはこうした仕事を指していると思われる。同社はエニックスとの合併の際に非連結子会社となり、2008年にスクウェア・エニックス・ホールディングスに移行する際に姿を消している。コブラチームはある時期から突然姿を消すが、実際はスクウェアに買収されていたのである。

 その後中里氏はFF7、8、10、13、15と本流FFシリーズの多くにプランナーとして関わっている(大事典)。現在はFF15を手がけたスタッフがスクエニ内で発足させた株式会社Luminous Productionsに在籍。橋本氏は多数のスクウェア・スクエニ作品のプロデュースを担当しており、現在は第3ビジネスディビジョンのディビジョンエグゼクティブの地位にいる。

 

コブラチームとは何だったのか

 今回の情報からわかるのは、コブラチームはバンダイのスタッフが独立してできた「小バンダイ」だったということである。そのメンバーには中里氏などゲーム制作を行える人物もいるが、どちらかと言うとパブリッシャーの役割を果たしていることが、各作品でさらに下請けに開発を頼んでいることからわかる。つまりバンダイがやっていたのと同様に、原作を選び著作権などの交渉を行い、ゲームデザインのアイデアを出して開発会社に指示するという活動を行っていたのがコブラチームなようだ。この点は、キャラゲー制作に長けたスタッフをそろえていたのでまさに強みだったといえる。

 しかしその活動はわずか2年で中断し、多くのスタッフがスクウェアに移籍することになった。ドラゴンボールなどのキャラゲーの血が、そしてコブラジョジョの血が、なんとFFに流れていることがわかったのである。これはゲーム史上の奇妙な事実と言う他ない。このことを考えると、コブラジョジョを見る時もなんとも微妙な気持ちになってくるものである。

 

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ゲーム研究   2019/02/17   へほくん

コブラジョジョの「仕掛け人」へのインタビュー

 前回前々回とキャラゲーについていろいろ調べていて、ふと手元の資料を見たら実にちょうどいいインタビューがありました。
 それは、問題作として名高いコブラチーム制作の「ジョジョの奇妙な冒険(SFC)」の開発者インタビューです。おまけにここでインタビューされている人は、それ以前の数々のキャラゲーに関わっていたということもわかりました。
 あのとんでもないゲームは何を意図して作ったのか?全国十万人のコブラジョジョファン[要出典]待望の新事実が今、明らかになります。

 今回紹介するのは、Vジャンプ1992年12月30日号(特別編集増刊)である。158-163ページにかけて、SFCの「ジョジョの奇妙な冒険」の開発責任者、中里尚義氏のインタビューが載っている。4節に分かれている内容を、要約と引用によって解説してみよう。

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ジョジョだけの未体験3大システム!!(p.160)

要約:本作のウリは、シネスコサイズ画面、バイオリズムを使ったパラメーター設定、状況に合わせて変化するキャラの表情の3つ。そしてその背景には一つのテーマがあるという。


そのテーマは、題材にしているキャラをいかに本物のイメージ通りゲーム中で個性づけをするかということ。


これがどう先ほどの3つに関係するかというと、ジョジョのキャラクターは表情豊かなので、表情がわかるようキャラを大きくするためにシネスコサイズ画面にした、ジョジョでは心理的に相手を追い詰める戦い方をするので、「プレイヤーに心理的な圧迫を感じながらスリルある戦いをしてもらおうと」バイオリズムという設定を作ったらしい。

コメント:実際のゲーム内容を考えると、まさか原作を再現するつもりがあったんだ・・・というところでびっくりするかもしれない。しかしよく考えてみれば、ここで話しているのはグラフィックについてであって、ストーリーのことはない。シネスコ画面というのはつまりドラクエのような見下ろし視点のRPGにしないということであり、この工夫は効果的に発揮され迫力のあるグラフィックとなっている。しかし、心理戦の多い原作を生かすためにバイオリズムを入れたというのはよくわからない。これは攻撃力などのパラメーターが変動するもので、アイテムで調整できたりトイレで上昇したりするが、戦闘中にどうこうできるものではない。むしろ心理戦という要素は戦闘中の「話す」「調べる」で表現されているように思えるが、システムとして生かされているとは言いがたいし、悪口を言って戦意喪失させるというのはちっとも原作通りではないだろう。

アニメーションの世界へプレイヤーも入り込めるゲーム!!(p.161)

要約:シネスコサイズ画面を採用して、映画的な表現ができるようになった。カメラの視点を変えてさらにダイナミックな表現を入れたかったが実現しなかった。一方でバトルシーンのウリは、

このゲームのメインは、承太郎たちなので、彼らがどうやって敵と戦っているのか見ることができる点ですね。敵キャラからの攻撃だけでなく、敵キャラをやっつける承太郎たちの映像もしっかりフォローしているんですよ。長い間キャラクターゲームを作り続けたこだわりですね

コメント:本作のグラフィック面に関しては、意図した通りに表現できているように思われる。中里氏の言う通り、味方側のグラフィックが映るというのはこの視点(ドラクエタイプ)のRPGの場合画期的なことで、ドラクエでも実現したのは相当後の話である。だが戦闘中の問題はここではなく、触れられていない部分つまりボイスにあるのだが。

物語を知っていても、知らなくても楽しめるソフト!!(p.162)

 原作ストーリーの反映させ方について、重要な箇所なのでそのまま表記。

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(原作との兼ね合いは)いつもキャラクターものをやるときジレンマとして残ります。ようするにゲームとして遊べるものを重視するのか、ジョジョというキャラが大好きなファンを裏切らないものにするのか、2通りありますよね。ゲームを追ってしまうと、ジョジョのキャラを使う意味があるのかと問いかけたくなるような作品になってしまう。以前ありましたよね、どんなキャラを使っても結果的にピョンピョン跳ねるだけのマリオ崩れみたいなやつ。逆に、ファン好みに作ったとします。すると少しでも本編と違う設定にしてしまうと、ファンの皆さんは、その時点で混乱してしまうんです。困ったものですねぇ。

ではこのどちらを選んだのかと問われて、

確かに本編の物語を知っている人のほうが、様々なイベントをこなしていくうえでいくぶんスムーズに進めることができるかもしれないけど、そこはまったく物語を知らない人でも無理なくテンポよくイベントをこなしていけるよう工夫しています。もちろん、本編に沿って物語の構成はしているものの、たまに敵キャラの出現場所が異なるなど、物語を知っている人にも新鮮な作りにしてあります。

コメント:ここにすべての答えがある。彼の述べていることに偽りはない。下線部に注目してほしい。「テンポよくイベントをこなしていけるように」飛行機内でデス13とハイプリエステスが襲ってくるのであり、ポルナレフが本屋にいるのも「たまに敵キャラの出現場所が異なる」と言っている通りである。要するに、あのストーリーは原作を適度に圧縮した結果ということである。それを適度と思うかどうかはともかく。

キャラクターゲームの鬼才が描く今後の展望っ!!(p.163)

 ここの内容が何より衝撃的だった。中里氏がこれまでの経歴を語っているのだが、その過程で数々のキャラゲーに関わっているのである。要約しよう。

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要約:中里氏はD&Dというゲーム会社にグラフィックデザイナーとして入社した。そこは人手不足で、氏はグラフィックに限らず企画やプロデュース、営業まで行い、年間30本のゲームを一人で作っていた。その後ファミコンソフト制作に携わったが、最初の作品が「オバケのQ太郎ワンワンパニック」。その後バンダイで15~16本のキャラゲーに関わった。その際も一人でほとんどすべての職種をこなしていた。
関わったタイトルは、ドラゴンボールシリーズのすべて、タルるート、聖闘士星矢、ファミコンジャンプなど。その後バンダイから離れてコブラチームを作り、最初に制作したのがこのジョジョである。

コメント:まず注目すべきは、ここで「キャラクターゲーム」という言葉が使われている点である。キャラゲーという概念がどのくらい広まっているかは不明だったが、1992年の時点で業界人がすでにこの言葉を使っているところを見ると、結構昔からキャラゲーの概念は存在していたようだ。

その内容からは、中里氏はバンダイの数多くのキャラゲーに関わっていたことがわかる。ある意味、そのバンダイキャラゲーの集大成がこのコブラジョジョだということになるだろう。ただ、それらのゲームで氏がどの部分に関わっていたかは定かではない。確かなのは、このコブラジョジョには相当程度関与しているということである。本作のスタッフロールにはゲームデザイナーの肩書で名前が載っている。
中里氏の以前の仕事というのも気になるのでざっとチェックしてみたが、話に上った中で「ドラゴンボール大魔王復活」と「まじかる☆タルるートくん FANTASTIC WORLD!!」、ファミコンジャンプ1・2にはスタッフロールはあるが名前なし、「まじかる☆タルるートくん2まほうだいぼうけん」はスタッフロールがほぼ偽名なので判別できず、その他はスタッフロール自体がなかった。発見できたのが「ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人」と「ドラゴンボールZII 激神フリーザ」および「ドラゴンボールZ 超サイヤ伝説」で、「DESIGN OFFICE」に「D&D CORP.」と記されていた。本人が言っている以上嘘ということはないだろうが、名前を発見できないのは気がかりである。

全体の感想

 このインタビューから、中里氏がいろんな意図をこめてコブラジョジョを作っていたことがわかった。そしてその意図は、グラフィック面では効果的に実現していたが、システム面では今一つであり、ストーリー面はご覧の有様という感じである。この様子を見ると、グラフィックデザインの専門家が他も担当するのが間違いだったのではないかという気もしてくる。何にせよ、これでコブラジョジョの謎が一つ明かされたことは間違いないだろう。
 キャラゲーのプロという中里氏の経歴は興味深いので、もう少し追加調査を考えている。いくつか資料も発見できているので、近い内にお見せしよう。

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ゲーム資料紹介   2019/02/16   へほくん

キャラゲーはなぜつまらないのか

 今回は、ファミコンのキャラゲーを徹底検証したデータを元に、キャラゲーはなぜつまらないものが多いのかについて考えてみようと思います。

 この内容は、ファミコンのキャラゲーの中でもっともヤバいものを決定する企画「ファミコンのキャラゲー最凶決定戦」を踏まえていますので、まずはそちらをご覧ください。

 前回は「面白いキャラゲーの条件とは」としてキャラゲーが面白くなる要因を探ってみましたが、今回はそうした面白いキャラゲーとも比較しながら、ダメなキャラゲーの特徴と原因について迫ってみます。

 まずはキャラゲーの定義から始めよう。前回と同様、「原作となる作品が存在するゲーム」をキャラゲーとみなすものとする。これだと芸能人・有名人が登場するゲームが省かれてしまうが、そちらもキャラゲーと呼ぶに値するものだろう。今回は決定戦に参戦する作品を絞るためにそれらは省いたが、それでも十分な分析ができるはずである。

 ただし気をつけてほしいのは、決定戦に出場した「ヤバいキャラゲー」はただのつまらないキャラゲーよりもインパクトにおいて勝るものであり、まったく同じ分類ではない。むしろ出場が叶わなかった次点のキャラゲーのほうがつまらないキャラゲーの特徴を備えているといえる。

 

キャラゲーの失敗要因の一般的な理解

 ウィキペディアには、「キャラクターゲーム」という項目が存在する。キャラゲーというのはしっかり確立された概念とは思わないので項目にできるのかと思うが、案の定「この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です」がついている。

ともかくここにもキャラゲーはつまらないという話も書いてあるのでその理由を見てみると、「ロイヤリティが開発費を圧迫する」「開発期間が短い」「中身が悪くても売れると思っている」「原作の内容に依存しすぎて知らない人が楽しめない」「原作のイメージを保つため内容が制限される」「原作を踏まえていない」などとある。最初の3つは開発側の事情の話だが、検証が困難な上に実際何の出典もないので、物言いがつくのも仕方ないことである。

これらの理由は何となく納得がいくが、今回の決定戦を踏まえるとここで見落とされている大きな理由がいくつかあることがわかってくる。それについて以下に述べていこう。

 

理由その1:そもそもゲーム会社が作ってない

 おそらく最大の理由はこれである。キャラゲーの失敗要因を知りたいのであれば、まずはそうしたゲームを出したメーカーを調べるべきだったのだ。以下にそれぞれ最強(面白いほう)と最凶(つまらないほう)決定戦のエントリーおよび次点作品のメーカーを集計した結果を載せよう(1本しかないメーカーは除く)。

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 このグラフからわかるように、面白いほうはカプコンが筆頭で、バンダイ、バンプレスト、コナミと続くが、ヤバいほうは圧倒的なバンダイ率に加え、北斗の拳やもっともあぶない刑事を擁する東映動画タカラ東宝と並ぶ。この辺がヤバいキャラゲーの仕掛け人であることは間違いない。要するに、多くのつまらないキャラゲーはゲームメーカーでないところが作っていたのである。これはあくまで想像にすぎないが、「ゲーム」としてではなく「アニメ」や「おもちゃ」としてゲームを作っているメーカーからつまらないキャラゲーが生まれるのではないだろうか。

 メーカーについてもう少し細かく見てみると、そうした会社は自社ではゲームを作れないので、別の開発会社に外注することになる。バンダイの場合ほとんどがトーセと組んでおり、東映動画はショウエイシステムとマイクロニクス、タカラもやはりトーセである。外注が常に悪いわけではないが、面白いキャラゲーと比べても、その割合には明確な違いがある。

 とはいえ、おもちゃだから悪いとか、トーセが元凶だったとは一概には言えない部分もある。以下ではまた別の理由について考えてみよう。

 

理由その2:技術力の問題

 面白いキャラゲーとつまらないキャラゲーの間には、発売された時期の違いがあるように思われる。実際にそれぞれの発売年の平均を出してみると、最強は1988.8、最凶は1987.9となった。わずか1年の違いだが、全体としてつまらないキャラゲーのほうが面白いキャラゲーよりも初期に発売されているといえる。

 では早いと何が問題か。ファミコンのキャラゲーに限った話だが、次世代ハードと違って、ファミコンには前身ハードといえるものがほぼない。これは、どのメーカーも必然的に参入したばかりだということである。そうなると、技術もなければノウハウもない。ファミコンでのゲーム制作に慣れるのに数年の時間を要しただろう。その間にひどいゲームが出てくるのも仕方のないことかもしれない。

 そして、実際にファミコン後期にはキャラゲーの質は上がっていく。初期は散々だったバンダイとトーセのコンビも、1991年にはタルるートくんという良質なゲームを出している。その他、同時期にはいかにも子供だましっぽいサンリオのゲームも増えだすが、これが案外面白かったりする。まるっきり例外のキョロちゃんランドのようなアレもあるが。

 

理由その3:不適切なゲームジャンル

 時期の問題と関係してくるのが、キャラゲーのゲームジャンルの選択のまずさである。同じく2種類のグループのジャンルを集計してみよう。

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 一見してわかるように、面白いほうのジャンルが多様なのに対し、つまらないほうは4種類しかなく、アクションの割合がとりわけ大きい。これがおそらくキャラゲーの内容に関係している。タッチやバツ&テリーの例が示す通り、明らかにアクションに向いていない原作までアクションゲームにした結果、原作との関連性がメタメタになった作品も多いからである。他方でアドベンチャーというのは結構な安全牌で、両決定戦には出てこなかったがおそ松くんや少年アシベ、ひょっこりひょうたん島などアドベンチャーにすることでバトルものでなくても原作の雰囲気を出しつつゲーム化に成功した例も結構ある。

 ではなぜ安易にアクションやRPGを選んでしまったか。1つは初期には前例も少なく、他に選択肢がなかったためであろう。もう1つはスーパーマリオブームとドラクエブームのせいである。86年ごろはマリオのせいでとにかくアクションだらけであり、その後RPGも増えだす。その両方に乗っかったのが北斗の拳である。

 アクションゲームにはもう一つ問題がある。キョロちゃんランド、うる星やつら、ソルブレイン。これらは別のゲームのキャラが差し替えられたものだが、どれもアクションだという共通点がある。これがアドベンチャーだったらストーリーも大きく影響を受けるのでそんなことできやしないわけで、キャラの差し替えが可能ということは、それだけキャラの存在感が薄いということでもある。やはりアクションのキャラゲーには限界があるのだ。

 総じて、原作にふさわしいゲームジャンル選びこそが、キャラゲーが面白くなるための必須要素だといえるだろう。キャプテン翼と大甲子園、スウィートホームはとりわけ、原作の魅力を最大限に発揮する独自のシステムを開発している。SFCの格ゲーじゃないほうの幽遊白書もそれに加えられるが、これらはそうした独自システムのおかげで、非キャラゲーにも真似できないレベルにまで達している。

 

理由その4:ファミコンブーム期の粗製乱造

 今の視点から見ると、86年ごろのファミコンブームはあまりにも異常だった。その結果どうなるかというと、中身が伴っていなくてもゲームが売れるのである。何せドラゴンボール神龍の謎とゲゲゲの鬼太郎妖怪大魔境が125万本だ(北斗の拳も150万本と言われているが、売上ランキングに見当たらないので間違いかもしれない)。

これはもはや、「頑張らなくても売れる」と思ってもおかしくないだろう。そして山ほどゲームが出ている中では、元から知名度のあるキャラゲーのほうが売れるという寸法である。この後ドラクエが新たな方向性を作らなかったら、本当にアタリショックが起きていたかもしれない。

ここから何となくわかるのは、質の悪いゲームも多様性があってはじめて生まれるものだということである。世の中からクソゲーがなくなった時、それはゲーム業界の終わりを意味しているのかもしれない。

 

まとめ

今回の内容を整理してみると、つまらないキャラゲーができるのは、

  1. ゲーム市場がバブル状態で、
  2. ゲーム会社じゃないメーカーがゲームを作り始め、
  3. 技術力が不足しており、
  4. 特に原作に合ったゲームジャンルを選ばなかった時

ということである。その知名度によるアドバンテージがある限り今後もキャラゲーは作られ続けるだろうが、メーカーにはこうした失敗例と前回挙げた面白いキャラゲーの条件を参考にして、ユーザーが楽しめるゲームを作ってほしいものである。

 

 

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その他   2019/02/09   へほくん