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キャラゲーはなぜつまらないのか

 今回は、ファミコンのキャラゲーを徹底検証したデータを元に、キャラゲーはなぜつまらないものが多いのかについて考えてみようと思います。

 この内容は、ファミコンのキャラゲーの中でもっともヤバいものを決定する企画「ファミコンのキャラゲー最凶決定戦」を踏まえていますので、まずはそちらをご覧ください。

 前回は「面白いキャラゲーの条件とは」としてキャラゲーが面白くなる要因を探ってみましたが、今回はそうした面白いキャラゲーとも比較しながら、ダメなキャラゲーの特徴と原因について迫ってみます。

 まずはキャラゲーの定義から始めよう。前回と同様、「原作となる作品が存在するゲーム」をキャラゲーとみなすものとする。これだと芸能人・有名人が登場するゲームが省かれてしまうが、そちらもキャラゲーと呼ぶに値するものだろう。今回は決定戦に参戦する作品を絞るためにそれらは省いたが、それでも十分な分析ができるはずである。

 ただし気をつけてほしいのは、決定戦に出場した「ヤバいキャラゲー」はただのつまらないキャラゲーよりもインパクトにおいて勝るものであり、まったく同じ分類ではない。むしろ出場が叶わなかった次点のキャラゲーのほうがつまらないキャラゲーの特徴を備えているといえる。

 

キャラゲーの失敗要因の一般的な理解

 ウィキペディアには、「キャラクターゲーム」という項目が存在する。キャラゲーというのはしっかり確立された概念とは思わないので項目にできるのかと思うが、案の定「この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です」がついている。

ともかくここにもキャラゲーはつまらないという話も書いてあるのでその理由を見てみると、「ロイヤリティが開発費を圧迫する」「開発期間が短い」「中身が悪くても売れると思っている」「原作の内容に依存しすぎて知らない人が楽しめない」「原作のイメージを保つため内容が制限される」「原作を踏まえていない」などとある。最初の3つは開発側の事情の話だが、検証が困難な上に実際何の出典もないので、物言いがつくのも仕方ないことである。

これらの理由は何となく納得がいくが、今回の決定戦を踏まえるとここで見落とされている大きな理由がいくつかあることがわかってくる。それについて以下に述べていこう。

 

理由その1:そもそもゲーム会社が作ってない

 おそらく最大の理由はこれである。キャラゲーの失敗要因を知りたいのであれば、まずはそうしたゲームを出したメーカーを調べるべきだったのだ。以下にそれぞれ最強(面白いほう)と最凶(つまらないほう)決定戦のエントリーおよび次点作品のメーカーを集計した結果を載せよう(1本しかないメーカーは除く)。

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 このグラフからわかるように、面白いほうはカプコンが筆頭で、バンダイ、バンプレスト、コナミと続くが、ヤバいほうは圧倒的なバンダイ率に加え、北斗の拳やもっともあぶない刑事を擁する東映動画タカラ東宝と並ぶ。この辺がヤバいキャラゲーの仕掛け人であることは間違いない。要するに、多くのつまらないキャラゲーはゲームメーカーでないところが作っていたのである。これはあくまで想像にすぎないが、「ゲーム」としてではなく「アニメ」や「おもちゃ」としてゲームを作っているメーカーからつまらないキャラゲーが生まれるのではないだろうか。

 メーカーについてもう少し細かく見てみると、そうした会社は自社ではゲームを作れないので、別の開発会社に外注することになる。バンダイの場合ほとんどがトーセと組んでおり、東映動画はショウエイシステムとマイクロニクス、タカラもやはりトーセである。外注が常に悪いわけではないが、面白いキャラゲーと比べても、その割合には明確な違いがある。

 とはいえ、おもちゃだから悪いとか、トーセが元凶だったとは一概には言えない部分もある。以下ではまた別の理由について考えてみよう。

 

理由その2:技術力の問題

 面白いキャラゲーとつまらないキャラゲーの間には、発売された時期の違いがあるように思われる。実際にそれぞれの発売年の平均を出してみると、最強は1988.8、最凶は1987.9となった。わずか1年の違いだが、全体としてつまらないキャラゲーのほうが面白いキャラゲーよりも初期に発売されているといえる。

 では早いと何が問題か。ファミコンのキャラゲーに限った話だが、次世代ハードと違って、ファミコンには前身ハードといえるものがほぼない。これは、どのメーカーも必然的に参入したばかりだということである。そうなると、技術もなければノウハウもない。ファミコンでのゲーム制作に慣れるのに数年の時間を要しただろう。その間にひどいゲームが出てくるのも仕方のないことかもしれない。

 そして、実際にファミコン後期にはキャラゲーの質は上がっていく。初期は散々だったバンダイとトーセのコンビも、1991年にはタルるートくんという良質なゲームを出している。その他、同時期にはいかにも子供だましっぽいサンリオのゲームも増えだすが、これが案外面白かったりする。まるっきり例外のキョロちゃんランドのようなアレもあるが。

 

理由その3:不適切なゲームジャンル

 時期の問題と関係してくるのが、キャラゲーのゲームジャンルの選択のまずさである。同じく2種類のグループのジャンルを集計してみよう。

graph2.jpg

 一見してわかるように、面白いほうのジャンルが多様なのに対し、つまらないほうは4種類しかなく、アクションの割合がとりわけ大きい。これがおそらくキャラゲーの内容に関係している。タッチやバツ&テリーの例が示す通り、明らかにアクションに向いていない原作までアクションゲームにした結果、原作との関連性がメタメタになった作品も多いからである。他方でアドベンチャーというのは結構な安全牌で、両決定戦には出てこなかったがおそ松くんや少年アシベ、ひょっこりひょうたん島などアドベンチャーにすることでバトルものでなくても原作の雰囲気を出しつつゲーム化に成功した例も結構ある。

 ではなぜ安易にアクションやRPGを選んでしまったか。1つは初期には前例も少なく、他に選択肢がなかったためであろう。もう1つはスーパーマリオブームとドラクエブームのせいである。86年ごろはマリオのせいでとにかくアクションだらけであり、その後RPGも増えだす。その両方に乗っかったのが北斗の拳である。

 アクションゲームにはもう一つ問題がある。キョロちゃんランド、うる星やつら、ソルブレイン。これらは別のゲームのキャラが差し替えられたものだが、どれもアクションだという共通点がある。これがアドベンチャーだったらストーリーも大きく影響を受けるのでそんなことできやしないわけで、キャラの差し替えが可能ということは、それだけキャラの存在感が薄いということでもある。やはりアクションのキャラゲーには限界があるのだ。

 総じて、原作にふさわしいゲームジャンル選びこそが、キャラゲーが面白くなるための必須要素だといえるだろう。キャプテン翼と大甲子園、スウィートホームはとりわけ、原作の魅力を最大限に発揮する独自のシステムを開発している。SFCの格ゲーじゃないほうの幽遊白書もそれに加えられるが、これらはそうした独自システムのおかげで、非キャラゲーにも真似できないレベルにまで達している。

 

理由その4:ファミコンブーム期の粗製乱造

 今の視点から見ると、86年ごろのファミコンブームはあまりにも異常だった。その結果どうなるかというと、中身が伴っていなくてもゲームが売れるのである。何せドラゴンボール神龍の謎とゲゲゲの鬼太郎妖怪大魔境が125万本だ(北斗の拳も150万本と言われているが、売上ランキングに見当たらないので間違いかもしれない)。

これはもはや、「頑張らなくても売れる」と思ってもおかしくないだろう。そして山ほどゲームが出ている中では、元から知名度のあるキャラゲーのほうが売れるという寸法である。この後ドラクエが新たな方向性を作らなかったら、本当にアタリショックが起きていたかもしれない。

ここから何となくわかるのは、質の悪いゲームも多様性があってはじめて生まれるものだということである。世の中からクソゲーがなくなった時、それはゲーム業界の終わりを意味しているのかもしれない。

 

まとめ

今回の内容を整理してみると、つまらないキャラゲーができるのは、

  1. ゲーム市場がバブル状態で、
  2. ゲーム会社じゃないメーカーがゲームを作り始め、
  3. 技術力が不足しており、
  4. 特に原作に合ったゲームジャンルを選ばなかった時

ということである。その知名度によるアドバンテージがある限り今後もキャラゲーは作られ続けるだろうが、メーカーにはこうした失敗例と前回挙げた面白いキャラゲーの条件を参考にして、ユーザーが楽しめるゲームを作ってほしいものである。

 

 

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その他  2019/02/09  へほくん
≪ 面白いキャラゲーの条件とは |  コブラジョジョの「仕掛け人」へのインタビュー ≫

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