ゲーム情報専門・火の鳥ブログ

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2018.08.12

ゲームの用語事典:「セーブポイント」

 新たに始まったこのコーナー。ここでは、さまざまなゲームに共通する要素に着目し、多くのゲームの例を見ながらその要素のゲームにおける役割や働きを明かそうという、ゲームデザイン論のようなものが展開できればいいなと思っています。

 記念すべき第一回の主題は「セーブポイント」。ゲームには欠かせない要素であるセーブポイントは、実は単にシステム上の必要から存在しているわけではなく、その背景には開発者の意図があり、ゲーム内容とも深く関わっています。果たしてセーブポイントとゲーム性との関係は何なのか、それは以下を読んでのお楽しみということで、それでははじまりはじまりー。


コンシューマゲームではFCのディスクシステムで導入されて以来ゲーム、特にRPGでは欠かせないセーブ機能。しかし疑問に思ったことはないだろうか。なぜドラクエは教会でセーブし、FFはフィールドならどこでもセーブでき、ロマサガはフィールドに限らず移動中はあらゆるタイミングでセーブできるのか。この違いはたまたまなのか、それとも意図があってのものなのか。筆者の意見はもちろん後者である。ゲームの要素にゲーム性に関係ないものはないからだ。以下ではそうしたセーブ方式の違いとゲーム性との関係について論じてみよう。

セーブ方式の類型

セーブ方式が違うと、ゲーム性にどんな影響が出るのか。そのことを考える前に、まずは現在見られるセーブ方式を分類してみよう。

拠点型

ドラクエ式と言えば手っ取り早いが、もっともメジャーなセーブ方式の一つがこれだろう。つまり街などの安全な場所の、特定のポイントでのみセーブできるという形態がこれだ。教会=セーブというよくわからない刷り込みを植え付けた原因でもある(そもそもドラクエ2で教会はお告げという形でパスワードを教える役割だったのが、その後セーブの導入に伴い教会がそのまま役割を引き継いでしまったのが原因なのだが)。

この方式のポイントは「拠点」というところで、街に限らず決められた場所ならどこでもセーブができる形式とはまた違う。具体的には聖剣伝説2と3の違いである。拠点のどこでセーブできるかは、やはり教会では不自然だし、世界観に合わないケースもあるからか、宿屋というパターンもかなり多いように思われる。エストポリス伝記などは教会セーブの伝統を忠実に守っているが。

 

フィールド型

これは見ての通り、フィールドならどこでもセーブできるというタイプだ。3までのFFなどが該当するが、実はそれほど該当するゲームは多くはない。というのも以下のセーブポイントの誕生により、フィールドだけでセーブできるという方式はだいぶ減っているからだ。また、アクションRPGのようにフィールドとダンジョンの区別がないものはどうするのかなどの疑問もあるし、拠点でもボス前でもないという中途半端さがゲーム性的にもメリットが少ない。この点は後述する。いずれにせよ、過渡期のセーブシステムといえる。

 

セーブポイント型

この分類には、拠点に限らず特定のポイントでセーブ可能なゲームが含まれている。フィールド+セーブポイントというFFの基本形式もこちら。そしてここに来て、ついに「セーブポイント」が誕生することになる。FFなら4からだ。このことはゲームに大きな変化をもたらすことになる。下で詳しく述べよう。

セーブポイントの形態もいろいろあるが、FFによくある「特別そうな場所」と聖剣3やルドラの「特別そうなオブジェ」が2強であるように思われる。いずれにせよ、何でセーブできるのかという説得力は、宿屋で日記帳に書くパターンよりは弱いが。

 

どこでも型

読んで字のごとく、どこでもセーブできるタイプである。サガシリーズやポケモンなどが代表だろう。これも採用例はかなり多いが、この形式がゲームとして最善であるかというとそうでもない。むしろサガとポケモンがそうであるように、ゲーム機の性質から求められている節がある。つまり携帯機であるゲームボーイでは、どこでも遊べる代わりにどこでも中断できないといけないということである。逆に言えば、携帯機にもかかわらず、中断セーブなどを設けてどこでもセーブを導入していないものは、そうしない理由があるということである。

 

オートセーブ型

このタイプは、個々の行動や戦闘終了ごとにセーブされるというものだ。導入はウィザードリィがかなり早いのではないかと思われるが、印象的なのは不思議のダンジョンシリーズだろう。また現在のゲーム、特にスマホゲームはほぼこれだが、そこには理由がある。

この形式のポイントは、オートセーブというのはセーブ機能の一部の恩恵を受けられないという意味で実質ノーセーブだということである。ファイアーエムブレムを考えてみればわかるが、もし1手ごとにデータが上書きされるのであれば、それはノーリセットプレイと呼ばれるものになる。つまりやり直しを許さないのであり、このことがゲーム性に大きく影響を及ぼす。

 

セーブポイントの機能:「やり直し」を可能にする

さて、こうしてセーブ方式を分類するだけでも、結構セーブポイントの機能というものが見えてきたのではないだろうか。セーブポイントの機能とは、「やり直しを推奨する」ことである。ボス戦前にセーブポイントを置くことで、たとえボスに負けてもやり直しが可能となる。その結果どうなるかというと、ボスを強くできるのである。つまり、トリッキーな行動で弱点を見破らないと倒せないとか、特定の対策を取らないとあっという間に全滅するとかそういうボスを出せるのだ。もしセーブポイントがなく、ダンジョンの奥にそんなボスがいたとすると、運が悪いとあっさりやられてしまって最初からとなる。プレイヤーからは、そんな「初見殺し」を置くなんてずるいという非難の声が上がるだろう。

ボスを強くしたいけど負けて街に戻るのはだるすぎる、そんなジレンマを解消するために発明されたのがセーブポイントであったと推測できる。その証拠に、セーブポイント初導入のFF4では、上述のようなトリッキーなボスが非常に多くなっている。つまりセーブポイントがゲーム性を変えたのである。そしてこの点こそが、FFがドラクエとの差別化に成功した一要素であるように思われる。その結果、セーブポイント=その先にボスというまた別の刷り込みが生まれてしまうことにも繋がるのだが。

そしてこのやり直しの機能は、どこでもセーブのゲームではさらに顕著になる。セーブを頻繁にできればできるほど、不慮の事故からのリカバリーがきくので、戦闘が多少理不尽になっても問題ないのだ。ここで思い当たるのはロマサガやサガフロだろう。つまり雑魚戦でもいつ全滅するかわからないゲームでは、どこでもセーブは最良ということになる。オールドキャッスルをセーブなしで踏破するなんて嫌だよそりゃ。

 

セーブポイントのデメリット:やり直しの弊害

そういうことであれば、何が何でもセーブポイントがあったほうがいいのだろうか。あるいはその後もボス前セーブを導入しないドラクエは時代遅れのシステムに固執していたのだろうか。決してそんなことはない。セーブができたらできたで、そのことによるデメリットも発生する。それは同じく「やり直し」の機能に由来するもので、つまりは簡単にやり直せてしまうということだ。簡単にやり直せるということは、緊張感がないということに繋がる。そうなると、ダンジョンの奥でそろそろやばくなってきたけど引き返したほうがいいのかなとか、果たしてこのボスに勝てるだろうかとかの判断をする必要もなく、ダンジョン探検のドキドキ感もないわけだ。おそらくドラクエはこのことを嫌って、セーブポイントを導入しなかった。これにいくつかの要素(MP回復アイテムがほとんどないなど)が加わり、ドラクエのダンジョン探検は残りリソースとの戦いになっており、ボス戦もいかに万全の状態でたどり着くか、こちらが力尽きる前に勝てるかという総力戦の様相を呈している。

この点でも、より突き詰めたセーブ方式が存在する。まるっきり自発的にセーブできないオートセーブのゲームがそれだ。不思議のダンジョンがそうだが、まさにリソース勝負であり、自由にセーブできていたら倒れてアイテムを失うということの緊張感もまったくなくなる。すなわち、オートセーブのゲームに関しては自由なやり直しができない反面、緊張感やうまくいった時の達成感については飛び抜けているということである。

 

セーブポイントと確率要素

このように、セーブポイントのあり様はゲーム性と密接に関わっており、多くのゲームではそのデザインに合わせて適切なセーブ方式を選択していることがわかっただろうか。この他にも、セーブと関係するゲーム内要素は存在する。それは確率に関わるものだ。特にその確率が非常に低い場合に、影響は顕著となる。

考えてみよう。普通のRPGの中に低確率で有用なアイテムが手に入る「ガチャ」のようなものがあったとして、それを引く直前にセーブできたらどうなるか。誰だっていいものが当たるまでリセットするだろう。たとえばヘラクレスの栄光IVで錆びたアイテムを磨くと最強武器が出てくるシステムがまさにそうなっている。その作業は悪いものではないが、無駄な手間を強いているという点で褒められたものでもない。そういった理由で、ガチャのあるゲームは頻繁にセーブできるようにすべきではないし、逆に頻繁にセーブできるゲームにそういった要素を入れるべきではない。他者との競争の要素があるネットゲームやソーシャルゲームはなおさらで、オートセーブ導入によってこれを防ぐことになる。

おそらくドラクエにカジノがあり、FFにはあまりない理由もそれである。セーブポイントが遠いから、リセットして何度もやり直したくなる気持ちが抑えられているということだ。いずれにせよ低確率のボーナス要素とセーブポイントは相性が悪いといえるだろう。

とはいえいくらセーブ頻度を減らしても、プレイヤーのほうはレアなものに対しては手に入ったらラッキーではなく、何度も挑戦したくなるものであるが。メタルマックスなんかがそれだ。

 

セーブ頻度とゲーム性の関係

ここまで見ていくと、結局ゲーム性と関わるのは、どこでセーブできるかというより、セーブポイントがどのくらい遠いか、どのくらいの頻度でセーブ可能かという「セーブ頻度」がもっとも重要な要素であることがわかるだろう。先ほどの類型で言うと、

 

オートセーブ→拠点型→フィールド型→セーブポイント型→どこでも型

 

の順でセーブ頻度が上がり、それに伴いゲーム内の他の要素も影響を受けるということになる。ゲームを作る側としては、実装したい要素に合わせて、どのセーブ方式を取るかを選択することになるだろう。ただし携帯機では頻繁なセーブが必要とか、セーブ先が外部記録メディアの場合はオートセーブが難しいなどのハードの性質によってセーブ方式の選択肢が限られる場合もある。それはつまり、ハードが何かということも、意外と​ゲーム内容に影響しているということである。

 

まとめ

以上、今回はセーブポイントとゲームデザインの関係についていろいろと考えてみたが、ここまでの内容をまとめてみよう。

 

  1. ゲーム内のセーブの方式はいくつかの類型に分けることができる。
  2. それらは主に、どのくらい頻繁にセーブできるかの違いである。
  3. セーブの機能は、それ以後に起こることをやり直せるということにある。
  4. やり直しが頻繁に可能なRPGでは、ボスを強くできる代わりに、リソース温存の要素や突破した時の達成感は劣る。
  5. やり直しがあまりできないRPGでは、奇抜なボスが出せない代わりに、リソース温存の要素や緊張感が生まれる。
  6. 頻繁なセーブと低確率で手に入るボーナス要素は相性が悪い。
  7. セーブ方式はゲーム内容に合わせて最適なものを選択すべきだが、ハードによる制約もある。
  8. なのでハードがゲーム内容に影響する側面もある。
  9. つまるところ、セーブポイントの存在はゲーム性を大きく左右している。

 

という感じである。普段何気なく利用するセーブポイントの裏に制作者の意図があり、セーブ方式がゲームデザインに影響するということがおわかりいただけただろうか。このようなゲーム制作上の工夫を読み取ることで、作る側にも遊ぶ側にも新発見があるかもしれないので、このような「テーマ論」もどんどん進めていきたい。


2018.08.09

特許発見によるルドラ研究の進歩の経緯

今年に入って、ルドラの秘宝の言霊システムに関する特許が発見され、それによって言霊システムの解明が大いに進みました。

ルドラ界隈というのが非常に狭いにせよ、これは結構大きな出来事だと思うので、こんなこともあるんだという例として、一連の流れを記録しておきたいと思います。

同様の特許からのゲーム内容の解明という形での研究が今後も行えるかもしれませんし。

特許の発見

2018年5月、Subeaki氏によって、公開されている特許の中に、ルドラの言霊システムを扱ったものがあるという情報がもたらされた。具体的には「特開平09-234286」と「特許3158043」である。

これをツイッターで紹介したところ、結構な反響があったので、わりとインパクトのある出来事だったように思われる。

しかも単にうわぁびっくりでおしまいではない。その内容がすごいのである。端的に言えば、ゲーム内では隠されている言霊システムの設計図が残されていたのだ。この「ゲーム内では隠されている」というのがポイントで、他の特許、たとえばFFのATBに関するものなどは特に秘密の内容はなく、せいぜいどの順で処理をするかなどがわかる程度だが、言霊システムに限ってはそうではない。とにかく公式から一切の情報開示がなかったために、プレイヤーが必死でその内容を推定しなければならなかったものなのだ。

そうした言霊システムの解明の歴史については以下のページに記述している。

ルドラの隠し要素はどのようにして明らかになったのか。

ルドラの秘宝の言霊システムや隠し要素がプレイヤーによってどのように明らかにされていったのか、その過程を調査しています。

特許を一見してすぐにわかったのは、それがこれまでの言霊研究と一致していたことだ。つまりそうした研究は正しかったということになる。これはほとんど信じられないことだ。たとえば言霊威力などはどこにも書いておらず、回復言霊に変換してやさしさを引いて調べるという、かなりアクロバティックな方法で今までは算出していたのだが、それが寸分違わず内部データと一致していることがわかった。これはひとえに上のページで触れた言霊研究の先駆者がいかにすごかったかということである。

だが、特許がこれまでの知識と完全に一致なら特に新しいことはない。それでもよく読んでいると、今まで触れられていなかったパラメータや、既存の理解と食い違う箇所があることがわかってきた。この文書から何かしら新発見が出てきそうなのである。

特許制度について調べる

そこでなんとしてもこの特許の内容を言霊システム研究に反映したいと思ったが、見てみればわかるように特許文書というのは独特の書き方でやたらと難解である。おまけに2種類あって違いがよくわからない。

この辺を理解せずに進めるとひどい誤解が生まれそうだったので、とりあえず最初に特許制度について調べてみた。

ゲームの特許に関する覚え書き|ゲーム業界について|ゲーム情報専門・火の鳥ブログ|God Bird

ゲーム情報専門・火の鳥ブログ|たまたま必要があったので、ゲームに関わってくる「特許」とはどういうものなのか、その仕組みや取得過程を調べました。

最近はゲームの特許が話題になることもあるので、この内容は他のゲーム特許探しにも応用できるんじゃないかと思う。

特許の解読

というわけで公開公報だの明細書だの請求項だのの意味もわかったので、満を持して特許の解読に挑んでみた。その結果が以下である。

ルドラの言霊システムに関する特許の内容解説。言霊の仕組みがわかります。

ルドラの秘宝の言霊システムの設計図である、言霊システム特許の内容をわかりやすく解説しています。上級者向け。

これは個々の項目のパラフレーズという形になっており、それに加え既存の知識と比較した注をつけることで、どこが重要な情報なのかわかるようになっている。結果、多くの箇所で新しい事実が見つかった。特に修飾語処理の「第一の方法」「第二の方法」というのはまったく思いつかなかったもので、これまで謎だった挙動の仕組みがこれによって理解できた。

命中率の調査

新発見事実の中でも、特に大きなものが言霊の命中率に関して触れられていることだった。これはこれまでまったく研究が及ばなかった領域だ。元来命中率やドロップ率というのは不安定なもので、調査も相当数を重ねないと確かな結果にたどり着かない。うかつな調査では、ともすれば小数点以下の確率で盗めるとかいい加減なことを言ってしまう。なので容易に手が出せないものではあるのだが、今回手がかりが得られたことによってついに未知の領域に足を踏み込めた。

ルドラの言霊の命中率に関する細かな調査。

ルドラの秘宝の言霊システムの命中率関連の仕組みを、データを取りながら細かく調査してみました。

調査は、いくつか命中率の数字が明かされている単語があるので、それを用いて命中率の計算式を算出し、今度はそこから明かされていない単語の命中率を推定するというパズルのような過程で行った。

やはり不確定要素はあるが、それでも大体の仕組みが明らかになったといえる。

 

特許の現行の知識への組み込み

命中率についてもわかったので、いよいよ特許とこれまでの知識を合わせて、言霊システム研究をアップデートするという段階に入った。それが以下である。

ルドラの秘宝の言霊システムのすべてを解説。

ルドラの秘宝の言霊システムについて、効果決定の仕組みや威力の計算など、あらゆる要素を解説している言霊研究の決定版です。

この際にも、結構な数の追加調査を行っている。特に言霊のグラフィック関係は実際は特許に書かれていることともまた違う仕組みであることがわかったからだ。

ここでポイントなのは、特許に書いていたからといってそれがゲームに実装されているとは限らないという点だ。特許はあくまで仕様書であり、ゲームがその通りになっているかということはチェックされるわけでもない。その後変更があったということもありうるだろう。

なので、本当に書いてある通りかどうか、実際にゲーム上の動作を確かめる過程が必要になる。それをやってみると、特許の間違いが見つかったりもする。

ともあれ、現行の知識+特許+追加調査という3点セットで、言霊システムの理解が相当進んだことはそのページを見ればわかるだろう。

ゲームの特許を調べてわかること

以上のような流れで今回の言霊システム特許は言霊研究に貢献したが、このことを踏まえてより一般的な、特許を調べてわかること、つまり特許を調べる意義についてまとめてみよう。

  1. 特許の対象となるゲームシステムが、どのような意図と構造で設計されているかがわかる
  2. 外からでは見えにくいゲームの内部処理がわかる
  3. システムの内容が隠されているものは、その内容がわかる
  4. 開発段階の情報や資料がわかる

といった感じだろうか。4については、例としてルドラ特許の場合、付されている図からリザが「リサ」になっていたとか、マリーナに足があったっぽいということがわかるのである。

 

総じて伝えたいことは、ゲームの特許があった場合、その特許を見てみれば、対象のゲームについてより深い知識が得られるかもしれないということだ。本格的にゲームの仕組みを解明したいという人は、特許にチャレンジしてみてはいかがだろうか。

 


2018.07.15

ミスティッククエストの越智善彦氏の漫画

密かに存在していた、越智善彦氏によるミスティッククエストの公式漫画。今回このきわめて貴重な資料を発掘したので、その内容をご紹介します。


SFCソフト「FFUSAミスティッククエスト」の情報を求めてファミマガを調べていたところ、漫画家のおちよしひこ(現:越智善彦)氏によるミスクエ漫画を32p分も発見した。これらは単行本化されておらず、幻の書き下ろしだといっていいだろう。

それ以前にも、越智氏がミスクエに関わっていることはわかっていた。NTT出版から出ている攻略本の扉イラストが同氏によるものだからだ。それに加え、ファミマガ1993年7月23日号付録の「ファイナルファンタジーUSAミスティッククエスト スクープガイドブック&コミック」にも、同氏の漫画が掲載されている。

どうやら越智氏はミスクエの公式イラストレーターに近い扱いだったようで、ご本人のページにも、この漫画がファミマガではなくスクウェアからの依頼だったことが記されている。つまり、ファミマガ掲載のこの漫画もプロモーション用だったといえそうだ。(ただ、同じくファミマガに載っていた杉森健氏のジェリーボーイの漫画も同様だろうから、珍しいことではなさそうだが)

ともかく、付録32p、雑誌16+16pと、ミスクエはたっぷりと漫画化されていたことになる。この内容が埋もれるのは惜しいので、可能な限り以下に紹介してみたい。

 

スクープガイドブック版

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  ファミリーコンピュータMagazine 1993年7月23日号 No.15付録 pp.48-49, 62-66

 

第1号の漫画がこれであるが、内容としてはオープニング+ストーリーダイジェスト+仲間キャラ紹介となっている。主人公(名無し)のほか、カレン、ロック、フェイ、レッドとの出会いの場面が描かれる。その過程はゲーム内の展開を忠実になぞったものである。ついでに「カレンが毒を受けた後も強い」とか「他の仲間もやたら強い」とか、ゲームの内容も踏まえた構成にもなっている。

 

ファミマガ本誌版その1

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ファミリーコンピュータMagazine 1993年8月20日号 No.17 pp.77-80, 83, 89

 

ゲーム発売少し前に掲載されたこちらの漫画は、なんと本編開始前のプレストーリーとなっている。展開としては、

ダークキングが勇者の出現を知る→ホワイトが勇者を探しに行く→ベヒーモスが何人かの勇者候補に襲いかかるも、相手にならず勇者でないことがわかる→勇者たる本編主人公、ついに発見

というものになっている。ダークキングに加え4つのクリスタルを封じるフレームサウルス、アイスゴーレム、ヒュドラ、パズズのイラストがあるほか、本編では最初に出てきてやられるだけのベヒーモスにキャラ付けがされていて面白い。というか結果的に、ホワイトとベヒーモスの目的が一致して、一緒に勇者を探し回っていたことになっている。

 

ファミマガ本誌版その2

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ファミリーコンピュータMagazine 1993年9月3日号 No.18 pp81-82, 84, 89, 93, 96

 

その次の号に掲載された第3段は、引き続きプレストーリーになっている。ホワイトがフェイリア→アクエリア→フォレスタと回って、それぞれレッド、フェイ、カレンと出会うという内容(ちなみにベヒーモスは地中についてきている)。残念ながらロックはいないが、ストーリー開始以前に、ホワイトとこの3人は顔見知りだったというわけだ。想像が膨らむ展開である。

ちなみに最後のページの枠外に「『俺の村』というセリフはなくなったそうです…」と書いてあるが、確かに付録版と見比べてみるとセリフが変わっている。そしてこの違いは、ここに書いてあるように英語版と日本語版の違いなのである。つまりこれは、数ヶ月の間に冒頭の運命の丘で沈む村が主人公のものではないという明確な変更がなされたということを意味している。(英語版は依然としてそのままだが)

あと、ファミマガ側の仕業なのか、今回は欄外にスクウェア作品紹介が載っている。FFやロマサガ、聖剣伝説がある一方でスクウェアのトムソーヤや魔界塔士はない。せっかくなので、95ページにあるミスクエの紹介文を書き写してみよう。

このコミックのもとになったのが、スクウェアがアメリカ市場に向けて独自に開発、発表したRPG『ミスティック クエスト』だ。日本で人気の『F・F』シリーズの世界を受け継いだ、外伝とでも言うべき作品なのだ。日本版とアメリカ版の違いは、文字が日本語になっているだけで、それ以外に変更点はない。「誰でも遊べるRPG」を目指して作られたという『ミスティック クエスト』は9月10日に発売される予定だ。

となっている。以前の記事でも書いたが、当時は発売の経緯がしっかり説明されていたことがわかるだろう。


というわけで、ミスティッククエストにはボリュームたっぷりの公式漫画が存在した、というのが今回の発見である。ただでさえ資料が少なく、非常に地味な作品に留まっているミスクエだが、当時はこれだけのアピールもされていたわけで、この漫画と一緒にゲーム自体ももう少し記憶に留まってくれれば幸いである。


2018.07.07

ゲームの特許に関する覚え書き

たまたま必要があったので、ゲームに関わってくる「特許」とはどういうものなのか、その仕組みや取得過程、保護されるものなどについて調べてみました。

以下の内容は素人がゼロから学んで書いたものなので、誤りが含まれている可能性は大いにあります。あくまで大まかな説明として理解して、細かい部分については、さらに各自で確かめてもらいたいと思います。

調べるにあたって、「特許取得のための基礎知識」のサイトが非常に詳しく、わかりやすかったためにここから多くを参照しました。ついでに、知的財産権一般ということでゲームに関わりそうなその他の保護制度についても簡単に書いています。

 

特許とは 

特許とは、よい発明をしたら、その内容を公開する代わりに、発明者のみがそれを実施できるような権利を国が一定期間与えるという制度である。ポイントは「公開」と「権利」が引き換えになっていることで、内容の公開は特許権による保護の代償と言われている。

ここで言われている発明とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの」と定義されているが、この定義のうち、「技術的思想」はその方法に従えば誰でも再現可能なもの、「創作」は単なる発見以上に独創性のあるものを意味している。また「自然法則を利用した」の部分はゲームのルールなどを排除しているため、ゲームは特許の対象に該当しないと言われることもあるが、一般にゲームのプログラム自体は発明に含まれるとみなされ、実際に登録も行われている。

では特許、とりわけゲームの特許は何のためにあるのか。特許の基本は発明の保護だが、それは制作側にとっては、苦労して作ったゲームの仕組みが保護されることで、アイデアを出すための努力が無駄にならないというメリットがあり、ユーザーにとっては、すでに存在するゲームの安易な模倣を防ぐことにより似たようなゲームが氾濫せず、独創的なゲームを遊ぶことができる利点があると言われている。また、特許はゲームのどの要素がそのシステムの根幹であるかが明確にされているので、パクリゲームに関する著作権侵害論争が起きづらいという利点もある。

 

特許申請の流れ

特許を取得するためには結構面倒な手続きと費用が必要である。その過程は、

特許出願 → 方式審査 → 公開公報発行 → 審査請求 → 実体審査 → (修正過程) → 特許取得

となっている。順番に説明すると、まず申請者が書類を作成して特許として出願すると、方式審査に回され、書類の形式が適正なものかが判断される。そこに問題がなければ、出願から原則1年6ヶ月後に「公開広報」として、出願内容が公開される。次に申請者は特許の審査請求を行う。これが出されてはじめて、特許内容が保護されるのに妥当かどうかが審査される。審査では不適切なものが弾かれるほか、多くの場合補正の指示が出され、それに従い申請者は内容を修正する。

実体審査で審査されるのは、新規性があるかどうか(すでに同様の特許が出ていないか)や進歩性があるかどうか(既存のものから容易に思いつくものではないか)などである。また、ここからここまでが自分の発明の範囲だとする特許請求の範囲が適切かどうかもこの過程で調整される。

これらが済んで特許料を納付するととようやく、「特許掲載広報」が発行され、特許原簿に登録がなされ、特許権が発生することになる。

特許の公開が2段階になっているのは、時間のかかる審査を後回しにして先に申請内容を「公開広報」で公開することによって、同種の特許出願を抑制する意味がある。ただし一方で、これは自分のアイデアを明かすことでもありその点でリスクもある。

なお特許権の有効期限は出願から20年間である。

 

2種類の特許公報の見方

特許(や実用新案・商標)は「特許情報プラットフォーム」のサイトでその登録情報を閲覧することができる。ここでは特許に関する書類がアーカイブされており、たとえばゲーム会社の名前を入れればそのメーカーが出願した特許が一覧できるが、その資料については、上の解説を読めば「公開特許公報」と「特許公報」の2種類あることが理解できるだろう。前者は「特開○○○○○」後者は「特許○○○○○」という番号が付されている。

もう一度その違いをおさらいすると、特許公開公報はあくまで「このような特許を求めています」ということで、「この部分が特許として保護されています」ということではない。後者にあたるのは特許公報だが、しばしばその間に出願内容は修正される。そのため、目的によってどちらを参照すべきかが異なる。ゲームシステムについて知りたい場合など、特許として出願されたアイデアの詳細に関心がある場合は公開公報を、実際に有している特許を確認したい場合は特許公報を見るべきだろう。

 

請求項の読み方

次に公報の読み方について。どちらの公報も、「書誌」「請求の範囲」「詳細な説明(明細書)」(+要約と図面)の書類を含んでいるが、このうち書誌は出願者の氏名や出願日を単純に記したものであることはすぐにわかる。重要なのは残りの2つである。大まかに言って、法律的に重要なのは「請求の範囲」で、特許の内容的に重要なのは「詳細な説明(明細書)である。それぞれを説明してみよう。

「請求の範囲」は「請求項」からなる特許の本体であり、この範囲の特許が欲しいという内容を明確にしたものである。請求項は複数ある場合が多いが、その際は個々の請求項が独立した発明とみなされる。請求項はしばしば、特許の範囲を広げるために、元となる発明を発展させて作れるものや、その製造方法なども併記することによって数が増えていく。また、請求項は前のものにさらに限定条件を加えて書くこともあり、その場合「Aをもった請求項1に記載の~」という書き方をするが、これは「請求項1の内容に加えA」という意味である。

特許書類の読み方として、「構成要件」という用語がよく使われる。これは理解しやすいように1つの請求項内の要素を分解したものである。請求項も構成要件も複数あるが、この2つを混同してはいけない。請求項の下位概念が構成要件である。そして、特許侵害の判断はそれぞれの請求項に対して、訴えられる側の発明がその請求項の構成要件すべてを満たしているかで判断される。

ややこしいので例を挙げてみよう。特許2794230はスクウェアが取得したアクティブタイムバトルの特許である。この請求項1は以下のようになっている。

プレイヤ・キャラクタと敵キャラクタとを表示装置の表示画面上に表示し,入力された動作指令またはあらかじめ定められた動作指令に応じて,プレイヤ・キャラクタと敵キャラクタとに相互に動作を行わせるものにおいて,キャラクタごとにそれぞれ計時手段を用意し,キャラクタの動作に関する処理に応答して,そのキャラクタに対応する上記計時手段にキャラクタに対応する時間を設定して上記計時手段の動作を開始させ,上記計時手段が設定された時間を計時し終えたときに上記計時手段から発生する信号に応答して,上記計時手段に対応するキャラクタについて次の動作に関連する処理に移るように制御し,キャラクタの次の動作に関連する処理が終了したとき,そのキャラクタに対応する上記計時手段にキャラクタに対応する時間を再び設定して,上記計時手段の動作を再び開始させる,ビデオ・ゲーム装置の制御方法。

長くてわかりづらいが、これは次のように構成要件に分解できる。

  1. プレイヤ・キャラクタと敵キャラクタとを表示装置の表示画面上に表示し,
  2. 入力された動作指令またはあらかじめ定められた動作指令に応じて,プレイヤ・キャラクタと敵キャラクタとに相互に動作を行わせるものにおいて,
  3. キャラクタごとにそれぞれ計時手段を用意し,
  4. キャラクタの動作に関する処理に応答して,そのキャラクタに対応する上記計時手段にキャラクタに対応する時間を設定して上記計時手段の動作を開始させ,
  5. 上記計時手段が設定された時間を計時し終えたときに上記計時手段から発生する信号に応答して,上記計時手段に対応するキャラクタについて次の動作に関連する処理に移るように制御し,
  6. キャラクタの次の動作に関連する処理が終了したとき,そのキャラクタに対応する上記計時手段にキャラクタに対応する時間を再び設定して,上記計時手段の動作を再び開始させる,
  7. ビデオ・ゲーム装置の制御方法。

分割の仕方が正確かは自身がないが、この個々の項目が構成要件となり、それらを全て満たしているかどうかで特許侵害が判断される。つまりATBをパクったようなゲームがあってもこのうち1つでも違っていれば問題ないということである。

この請求項の内容をゲーム的に解釈すると、コマンド制バトルで(1、2)、個々に(内部的に)待ち時間カウントが設けられ(3)、コマンドが入力されると待ち時間が発生し徐々にそれが減少していき(4)、待ち時間が0になると行動が行われ(5)、行動後にはまた待ち時間が設定される(6)、ゲームシステム(7)ということになるだろうか。この内容はよく見るとコマンド入力までの待ち時間よりも、コマンド入力後の待ち時間に重点が置かれているが、それはコマンドごとの待機時間が大きく異なるFF4に合わせてのことだろうか。ここにはビジュアル的な要素がないので、なかなかこれの条件からうまいこと外れるようなATB的システムは考えつけないように思えるが、その辺は専門家ではないのでなんとも言えない。

 

明細書の内容

上で説明した請求項の記述はとにかく抽象的で難解であり、一見しただけでは理解不能なものもある。そこで具体例などを挙げて発明の内容を理解できるようにしたのが、明細書に記載される「発明の詳細な説明」である。

詳細な説明は発明の技術上の意義を解説し、いかにその発明が実施可能かを伝えることにより社会に発明を開示する役割を持つ文書であり、その発明の斬新さについてもここで解説される。具体的には、その発明がどの分野を対象にし、どのように実施され、これによりどういった効果がもたらされるかが説明される。

先ほどのATBの例で言えば、「従来の技術」の箇所でこれまでのRPGは静的なコマンド制であり、臨場感に乏しかったことが説明され、「発明の概要」以下でATBがこの問題をいかに解決するかを語り、この発明の新規性をアピールしている。加えて「実施例の説明」で実際にATBを採用したゲームがどのようになるかが述べられる。その内容はまさにFF4のシステムそのものだが、プログラム上どう処理されているかや、待機時間は基本値にキャラクターごとの係数をかけて求められているなど、一見してわからないことの解説もあり、ゲームの理解にも役立つものである。ただし、ここではFF4のキモである敵のカウンターについて触れられておらず、必ずしも特許の内容がゲームシステムのすべてではないことがわかる。

同様に付されている「図面」も理解を助けるものであり、処理のチャートやゲーム画面のイラストなどが含まれている。ちなみにこの資料の場合、セシル、カインとおそらく子供リディアがフロータイボール系と戦っている。

 

特許を探す際のTIPS

  • ゲームの特許を探す場合は、「特許情報プラットフォーム」をゲーム会社名で検索するとよい。
  • 公開特許公報から同じ特許の特許公報に移りたい場合は、「経過情報」「登録情報」の「登録記事」のところにリンクがある。逆の場合は「出願情報」の「公開記事」へ。
  • 特許が現在有効かどうかは、公報の「経過情報」の「出願細項目記事」を見る。特許が通っている場合は「最終処分(登録)」、審査の結果拒絶されたものは「査定種別(拒絶査定)」、審査請求が出されずに取り下げられたものは「最終処分(未審査請求によりみなし取下)」となっている。
  • 必ずしもすべての特許に審査請求が出されるわけではない。3割ほどは出願のみで審査されずに取り下げられている。
  • ただし、公開公報の「審査請求」が「未請求」となっていても、その特許が審査されなかったとは限らない。これは公開時点での審査請求の有無であって、その後さらに1年半の間は審査請求を出すことが可能である。
  • 特許権の消滅には出願から20年の経過のほか、毎年の特許料の未払いによる権利消滅というのもある。納付期限をある程度過ぎるとたとえ20年以内でも、特許権は消滅する。

 

特許と実用新案の違い

特許と実用新案は権利によって保護されるという点では類似しているが、実用新案は「物品の形状、構造又は組合せ」つまり具体的な物のみが保護対象となっている。また実用新案は審査過程がない(審査は権利行使時にはじめて行われる)など手続きが簡素でより容易に権利取得ができる代わりに、保護期間が短い。ゲームのプログラムは実用新案の対象とならないので、ゲームを扱う場合は実用新案はおそらく問題とならない。

 

その他ゲームに関する権利関係

産業界において知的財産権で保護されるものとしては、他に意匠と商標も存在する。

「意匠」は工業製品の美的デザインを対象に保護するもの。他方で「商標」は商品名や会社名を伝えるもので、文字や図形、記号、マークなどが保護される。ゲームの場合は、メーカーのロゴやゲームタイトルが主な対象。商標の保護の結果として、権利者以外が(同一の区分内で)そのロゴやタイトルを勝手に使用できないことになる。例としては、「オセロ」はツクダオリジナル(現メガハウス)の商標なので、他社は代わりに「リバーシ」を使っているなど。

商標はユーザーの間では、もっぱら出願情報を確認して新発売されるゲームを察知する目的で利用されている。


2018.07.01

ゲーム雑誌から何がわかるか~サ・ガ3記事を例に~

ファミマガの「時空の覇者サ・ガ3」についての記事を例に、ゲーム雑誌から一般にどのような情報が得られるかを解説。

ミスクエ記事と同じく、今度はファミマガでサガ3の記事を発見したのでご報告。

ただしこちらは一見して真新しい情報がないので、少々趣向を凝らして、一般にゲーム雑誌を参照するとどんなことがわかるのか、つまりゲーム雑誌は何の役に立つのかということを例示しながら記事を紹介したいと思う。

思うに、ゲーム雑誌が提供可能なゲームに関する情報のうち、直接のゲームプレイから得られる以上のものは、次の5種類に分けられる。

  1. 公式資料(イラストなど)
  2. ゲームの開発途中の情報
  3. 制作者インタビュー
  4. ゲームの新規性の情報
  5. 当時のゲーム業界の状況

「直接のゲームプレイから得られる以上」と書いたのは、これ以外にも雑誌記事ではゲームのストーリーやシステムも解説されているが、それに関しては当のゲームをプレイすれば十分に理解できるからだ。

では、以下に示すサ・ガ3の記事から、それぞれについての実例を示してみよう。ここで提示するのはファミマガの8ページの記事である。

サ・ガ3サ・ガ3

ファミリーコンピュータMagazine 1991年11月15日 No.22 pp.6-7

 

1.公式資料

これは見ての通り、ゲーム内に収録されていないイラストや設定などを知ることができるということである。

サ・ガ3

ファミリーコンピュータMagazine 1991年11月15日 No.22 p.8

わかりやすいのはこのようなキャラのイラストだが、それ以外にも世界の設定や背景などがわかることがある。ここには載せていないがロマサガ3の記事では、「術の起源とその発達」といった内容が書いてあるものがあった。ただしこの内容などは(ファミマガの方が詳しいにせよ)『練磨の書』にも載っている。つまり一般に、公式資料を得たいのならば攻略本や資料集がもっとも適しているといえる。

 

2.ゲームの開発途中の情報

これはわかりやすいだろう。前回前々回の記事がいい例である。雑誌に先行して公開される情報が必ずしも製品版に反映されるとは限らないために、かえって開発途中の姿を見ることができるというわけだ。こうした情報が攻略本に載っていることはめったにない。

 

3.制作者インタビュー

これも、とりわけ近年のゲーム雑誌の存在理由といっていいほどで、開発途中の報告から完成後の振り返りに至るまで、多くの段階でゲーム制作者が雑誌に登場する可能性がある。

ただし残念ながら今回はインタビューはなく、サガ3に関しては攻略本の『完全クリア編』を参照するのが一番だろう。

これら3つはわかりやすいものだが、それに加えてさらに2つ、ゲーム雑誌を読む意義を挙げることができる。それが「ゲームの新規性」と「当時のゲーム業界の状況」である。

 

4.ゲームの新規性の情報

新規性とはつまり、紹介されているゲームはそれ以前のものに比べて、何が革新的なのかということである。これはゲームの発展史を考える上で重要な意味を持つ。そしてこの点は、後から振り返った際に最も失われやすい。たとえばドラクエ1は安直なRPGに見えるし、FF4には斬新なシステムは何もないように見えるなどだ。

これはサガ3についても言える。ロマサガなどに比べ派手なシステムのない本作の画期的な点をすぐに挙げるのは難しいだろう。しかし、当時はその新規性は今よりずっとよく理解できたのであり、まともなゲーム雑誌ならとりわけこの点にフォーカスしている。例を挙げてみよう。

サ・ガ3

ファミリーコンピュータMagazine 1991年11月15日 No.22 p.9

ここでは前作のサガ2との差異として、肉とパーツにより種族の垣根を超えて変身できる点が新規性として語られている。同様に、

サ・ガ3

ファミリーコンピュータMagazine 1991年11月15日 No.22 pp.12

こちらのページで新しいのは「ジャンプ」である。もしかするとこの点に関しては、サガ3が世界初かもしれない。そしてこのジャンプが何の役に立つかと言えば、マップが多彩になるのに加えて、「道を塞いでいる町の人を飛び越えられる」のである。これはドラクエなどでよく悩まされていたことで、画期的な解決策といえる。そしてもちろん下にあるステスロスも新要素である。

このように、ゲーム雑誌での紹介はありきたりな箇所ではなく斬新な部分をピックアップして伝えてくれているし、逆に言えばゲームを紹介する際にもこうして特徴的な要素を抽出するのが最適な方法といえるだろう。

 

5.当時のゲーム業界の状況

最後に、ゲーム雑誌の利点として、「同時期に存在していたゲームをまとめて見ることができる」という点がある。これも現在では得にくい情報の1つである。たとえば星のカービィ3は一見して普通のSFCソフトだが、雑誌を見れば時代はとっくにNintendo64に移行しており、誰もが64に注目している中で発売された異質なソフトであることがすぐに理解できる。

サガ3もこれと状況は似ており、1991年の雑誌を見れば、FCは最後期で濃厚なRPGがぽつぽつ発売されており、SFCは出た直後でますます人気が高まっている最中だということが読み取れる。何より本作にとって決定的なのは、ロマンシングサ・ガが同時に開発されていたことである。同作の発売は1992年1月だが、この時期、前年の10月ごろには12月中旬発売予定と告知されており、これはサガ3とほぼ同時である。ファミマガの記事の多くがロマサガに割かれており、広告でもサガ3はおまけ扱いと、世間の目が新ハードから発売されるロマサガの方に向いていたことがよくわかる(当時これだけ注目され、売り上げも多かったロマサガ1が現在では相当忘れ去られているのは皮肉なことだが)。

つまり、ルドラの時と同じように、サガ3もまた発売タイミングが悪かった、しかもよりによって同じスクウェア作品に食われたと言うことができる。ただし両ケースの違いは、サガ3は腐っても100万本売れた魔界塔士サ・ガの続編であり、GBユーザーもそれなりに多かったということはあるが。


以上、サガ3のファミマガ記事を例に、ゲーム雑誌を調べることで何がわかるかを簡単に解説してみた。総じて筆者の言いたいのは、ゲーム史について何か考えるのであれば、ゲーム雑誌の情報は非常に役に立つということである。それぞれの媒体から得られる情報をまとめると次のようになる。

内容\媒体 ゲーム 攻略本 雑誌
ゲーム内容
設定資料 ×
開発中情報 × ×
インタビュー ×
新規性 × ×
業界状況 × ×

これを見れば、ゲーム雑誌がいかに有用な情報を満載しているかわかるだろう。その分入手しづらく、目的のゲームが載っている箇所を特定しづらいという難点はあるが。手元のゲーム雑誌も2、30年後には貴重な資料となるだろうから、ぜひとも保存することをおすすめしたい。