ゲームで使用されたクラシック・その特徴

Gayaline

 ゲームに使われたクラシック曲のリストの数がかなり増えてきたので、ここで一つ、ゲームでのクラシック音楽の使用についてまとめてみたいと思います。クラシック曲を使用したゲームが作られるのはなぜなのか?その理由も考えてみました。


当サイトのコンテンツの1つに「ゲームに使われたクラシック曲」リストがある。こちら、「ゲームもクラシックも好きだから両者が重なっているものを調べよう」という何となくの思い付きで、 チャレンジャーや忍者ハットリくんから始めてちまちま増やしていったのだが、いろいろな方の情報提供もあり、現在では500以上とそれなりの情報量となったのではないかと思う。
「あの曲、聴き覚えがあるんだけどなんだっけ」というクラシックの思い出しリストとして役に立てば幸いである。

だいぶ数が増えてきたこともあり、ここでリストを見ていてわかることをいくつか書いてみたい。

人気のある作曲家と曲

まずは、ゲームに使われたクラシックの中ではどんな作曲家と曲が多いのかについて、現時点での集計を見てみよう。

作曲家 曲数
J・S・バッハ 41
チャイコフスキー 35
ベートーヴェン 32
モーツァルト 24
ヴァーグナー 16
ヨハン・シュトラウスII 14
ムソルグスキー 13
ロッシーニ 12
シューベルト 12
ショパン 11

作曲家ランキングではバッハ、チャイコフスキー、ベートーヴェン、モーツァルトの順に人気ということがわかった。まあまあ妥当な順位だが、バッハが突出して多いのは、以前も書いたようにゲーム音楽作曲家の間で誰もがバッハを習ったことがあるからなのではないかと思う。

他にもラロとかドリゴとかドリーブとかマニアックな作曲家がいる中で、ピアノを習っている人に人気のフランツ・リストが出てこないのは不思議である。ピアノ曲ばかりだからというのはショパンを見れば理由にならないので、リストだとキャッチーな曲が「愛の夢」くらいだからだろうか。ハンガリー狂詩曲とかも聴きたいのに。ともかくリストが使われているゲーム音楽は貴重なので知っていたらぜひ情報提供を。

次に曲単位で見ると、

作曲者と曲名 曲数
ネッケのクシコス・ポスト 11
バッハのトッカータとフーガニ短調 9
ベートーヴェンの喜びの歌 9
ロッシーニのウィリアム・テル序曲 9
ヴァーグナーのヴァルキューレの騎行 9
オッフェンバックの天国と地獄 9

と上位はかなり拮抗しているが、クシコス・ポストが若干抜きん出ている。運動会の定番曲ということもあり、この曲が「最も人気のクラシック曲」と呼べるだろう。

逆にまったく使われていないものを考えると、例えば定番曲をメドレーにしたフックトオンシリーズと比較した場合、幻想序曲ロメオとジュリエット、シバの女王の入城、フィガロの結婚序曲、ルスランとリュドミラ序曲、フィンランディアなどはない。フィンランディアに限らずシベリウスは一切ないが、日本だと知名度が落ちるのだろうか。グリーグは「山の魔王」で人気なのに。

その他曲集単位で見ると、コンプリートに期待したいものもいくつかある。
くるみ割り人形は組曲全体では使用しているゲームが全17曲もあり、8曲中6曲がゲームに使われている。あとは「金平糖の精の踊り」と「アラビアの踊り」だけなので、もう少しである。
また展覧会の絵は有名なプロムナードやバーバ・ヤーガ以外にもおにゃんこTOWNやナイトガンダム物語2がマイナー曲をカバー。とはいえまだまだあるので、たくさんあるプロムナードを1つに数えても、こちらはコンプは遠そうだ。

クラシック以外の曲の使用

ゲームに使われたクラシックの曲を収集しているうちに、またもや境界線問題が持ち上がってきた。
リストの下の方を見てもらうとわかるが、使われた原曲の中にはアメリカ民謡や吹奏楽曲に、果ては無断使用と思われるやポップスや映画音楽、アニソンなどもある。
これらを載せるかどうか悩んだが、極パロでスペースヒットパレードをはぶるのは変だし、実況パロのじゅでーMY LOVEもそうだしで、 結局掲載基準は「そのメーカーの外部の曲」とすることにした。そうして調べてみると洋楽やらアニメやらが使用されているのが結構あり、今回の50曲ほどの大幅追加に至った。
この中にはスーパーロコモーティブのYMOのようにきっちり許可が取られているものもあるので、単なる無法地帯ではない(アニメ曲はだいたいアウトだろうけど)。

しかしそうなると、外部の曲として「他社のゲームからの無断使用」も入れないといけない気がしてくる。まあ音楽の流用は珍しいので(スパロボKくらいか)、とりあえず現時点では含めないこととする。

全編クラシックのゲームタイトルは?

次にゲームタイトル順リストを見てみよう。

タイトルでまとめるとわかるように、ブラボーミュージックとかの音ゲー以外でもBGMがほぼ全編クラシックのゲームというのがいくつかある。
パロディウスシリーズは言わずもがな、FCでは美味しんぼ、ゴルビーのパイプライン大作戦、テトラスター、松本亨の株式必勝学があり、
GBにもカイトの冒険ハローキティとディアダニエルのドリームアドベンチャー三毛猫ホームズの騎士道がそうである。
SFCだとハーメルンのバイオリン弾きアースライトが該当し、PS以降はあまりないが、ときメモ2(ただし曲数自体膨大でオリジナルも多数)とDSのまちがいミュージアムがある。

ゲームでクラシックが使われるのはなぜか

こうしたゲームを見ていると、「なぜクラシックを使うか」にはいくつかのパターンがあるといえる。この話題についてはここでも書いていたが、データも集まってよりよいまとめ方が見つかったので以下に説明してみよう。

1.キャッチーなフレーズとして

初期アーケードやファミコン時代のゲームに多いのがこのパターンで、代表格はマリオブラザーズの開始音。他にもデビルワールドの開始時もそうだし、ACでもクレイジーバルーン、カンガルー、サタンオブサターンなどがスタート時にクラシックが流れる。

さらにゲームオーバーにショパンの葬送行進曲が使われているというのもよくあるし、逆転裁判2の冒頭のようにショックを受けたならトッカータとフーガなど、クラシックの曲がピンポイントで使われる。

つまりドラクエのレベルアップ音のような印象に残る短いフレーズとして、クラシックは適しているということだろう。

2.現代ものの雰囲気作り

先ほどの全編クラシックのゲームのうち、美味しんぼ、松本亨の株式必勝学、三毛猫ホームズの騎士道はどれも現代を舞台にしたアドベンチャー(松本亨はシミュレーション寄り)という共通点がある。
ファミコン探偵俱楽部の2曲もそうだし、ときメモ2もそれに近い。
こういう作品では、現代の街中にふさわしい音楽としてクラシックを採用しているのではないだろうか。

3.アレンジがしたい

クラシックといえばパロディウスだが、パロディウスに限らずコナミ作品は(良くも悪くも)既存曲のアレンジが豊富である。これはアレンジやミックスが得意な作曲家が多いということなのだろう。
コナミ以外でもザ・グレイト・ラグタイム・ショーや爽解!まちがいミュージアムなど、愉快なアレンジの聴ける作品がある。
さらに特殊ケースとして、FCの忍者ハットリくんがアニメ主題歌とビゼーとオッフェンバックのマッシュアップなのは、主題歌から微妙に変えることで版権問題を避けたため、という噂がある。いずれにしても、「ござるござるよハットリくんは~」から天国と地獄に自然に移行するアレンジがとても素晴らしい名曲である。

4.原作の再現&オマージュ

他には、「クラシックが使用された原作の再現」というのもある。スパロボシリーズでは、主にゴーショーグンのブンドルと、エヴァのカヲル君が出てくるシーンで原作通りのクラシックが使われる(ブンドルがヴァーグナーを流すのはおかしいらしいけど)。

またSFCのウルトラセブンでは原作最終話のシーンが再現され、ショパンのピアノ協奏曲が流れる。面白いことに「70年代風ロボットアニメ ゲッP-X」でもまったく同じ曲が最終ステージで流れるが、これはウルトラセブンの当該場面のオマージュだということである。曲の一致からこういうこともわかるわけだ。

同じくSFCのアースライトはオープニングのマーラー第3番をはじめとしてクラシックが豊富だが、これは同じ宇宙戦争ものの銀河英雄伝説OVA版のオマージュらしい。ファミコン版の銀英伝でも(一部で有名なボレロだけじゃなく)この曲が流れるのがその証だ。キャラなどはパクれないが、クラシックなら同じ曲を流すことが可能なわけである。


このように、ゲーム内でクラシックが使用されるにはそれなりの理由がある。一般に手抜きと捉えられやすいクラシック使用だが、決してそれだけではなく、そこにはクラシックを採用する十分な理由と作曲家の意図が存在するのだ。たぶん。
手抜きだと思っている人にぜひ聴いて欲しいのがテトラスターのBGMである。1つの曲を分割して少しずつ進行させることで、場面に合ったドラマチックな曲展開を実現している。また、GBで挙げたカイトの冒険ハローキティはチップチューンアレンジとして聴きごたえがあるだけではなく、選曲の幅もかなり広いので一聴の価値がある。

というわけで、実は奥が深くてクラシックの名曲にも親しめるこの領域、あなたもいろいろ聴いて体験してみてはいかがだろうか。

その際は、「ゲーム音楽好きのためのクラシック入門」と「実践編」も助けになるかもしれないのでぜひ参照してみてほしい。

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へほくん
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ゲーム紹介・攻略情報サイト「God Bird」管理人。根っからのゲーム好きで、攻略やおすすめソフト紹介のほか、最近では昔の資料を引っ張り出して貴重な情報を発掘したり、ゲームの歴史を調べたりしています。
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