ゲーム雑誌のデータ分析

Gayaline

前回前々回その前とゲームの統計資料分析を行っておりますが、今回もさらにデータを追加したので、その内容を見てみましょう。

追加したのは雑誌の種類や刊行年のデータです。これまでは大雑把な売り上げのみでしたが、こちらは個々の雑誌の情報があるので、それらをまとめることでより詳細な分析が行えるはずです。


 今回は、「ゲーム雑誌のジャンル・刊行期間データ」を作成した。見てもらえればわかるが、これはゲーム雑誌がいつ刊行されたのかと、どのジャンル(総合や任天堂専門など)に属するのかをしらみつぶしに調べたものである。

 このようにリスト形式のデータがあれば、それを集計することでいろいろなことがわかるので、早速それをやってみよう。

2019/10/20追記:

 以下のデータはいくつか抜けのある古いものなので、最新版データを反映したものはゲーム雑誌のデータ分析(修正版)を参照してほしい。

ゲーム雑誌の刊行時期一覧表

 これは「ゲーム雑誌の刊行時期一覧表」に作成したもので、それぞれの雑誌の創刊年と休刊・改題年の範囲をひと目でわかるよう色で表示している。こんな感じ。

ゲーム雑誌の刊行時期一覧表

この一覧を見れば特定の時期に何の雑誌があったのかがわかるので、ある時期の情報を徹底的に調べたい時に役に立つし、全体のトレンドなども読み取れるだろう。

ゲーム雑誌の年ごとの創刊・休刊数

 次に、雑誌の創刊と休刊の傾向を見てみよう。そのためには両者の集計を行うわけだが、次の雑誌に継続したものは創刊や休刊とはいえないので、前後に繋がりのないもののみを数える必要がある。なので創刊は継続前の雑誌がないもの、休刊のほうは継続後の雑誌がないものをピックアップしてグラフ化した。

全体の傾向を見るに、創刊は特定時期に集中しており、休刊はばらけているという感じである。創刊は1993-1996の期間にとりわけ多いが、この時期は雑誌の売り上げが最大だった時期でもある。例として創刊数が最多の96年を取り上げると、この年だけで電撃Nintendo64、The 64 Dream、ファミマガWeekly、GREAT SATURN Z、セガマガジン、Techサターン、電撃Sega EX、Hyper Saturn、ファミ通PS、ハイパープレイステーションRemix、ネオジオフリーク、テックジャイアン、Virtual Idolの13誌が創刊されている。その後2001年とDSブームの2006-07年にも増えるが、90年代に比べれば控えめである。

 逆に休刊のラッシュは97年と2000年に起きており、2000年にはディスクステーション、月刊ゲームウォーカー、ファミ通Wave、Dreamcast PRESS、電撃ドリームキャスト、プレイステーションマガジン、ハイパープレイステーションRemix、ネオジオフリーク、ファンタジェンヌが休刊している。その前の時期に多数生まれたハード専門誌が整理されたということだろうか。

 ついでに、先ほどのグラフとは逆の雑誌の年ごとの改題数も調べてみた。

あまり重要とはいえないが、ここからわかるのはハードの移行期やゲーム雑誌業界の変動などだろうか。リストを見てもわかるように、96年ごろにはSFCから64への移行に加えいくつかの雑誌の総合誌への転身があり、2001年はGBA、GC、PS2が出るころである。

年ごとの刊行されていたゲーム雑誌数

 創刊や休刊でもゲーム雑誌の勢いがわかるが、さらに正確に業界の状況を知るためには、それぞれの年に何種類のゲーム雑誌が刊行されていたかを調べる必要があるのではないかと考えた。そうするには前述の一覧表の色付きセルの件数をカウントすればよいが、これがなかなか大変で、マクロが必要となった。その上、このままのリストでは重複が生まれてしまう。たとえばThe 64 DreamはNintendo Dreamになるが、データの性質上前者の改題年が2001年、後者の創刊年も2001年なので、改題が多かった年には2倍カウントしてしまう。これを防ぐには結局、改題先の雑誌も1つとして表記したリストが必要なので、そちらを作成した。

 そうして、年ごとに色のついたセルを数えた結果が以下である。 

このグラフからは、それぞれの年に雑誌が何誌存在していたかが読み取れる。予想通り、96年が54誌と最多になった。これは以前載せた発行部数データにかなり近いものだろう。これである。

ゲーム雑誌の種類別発行部数

 今回のデータの利点は1994年以前のこともわかる点で、たとえば1991年ごろにゲーム雑誌の刊行数の大幅増が始まったことがわかるだろう。

年ごとの刊行されていたゲーム雑誌数・ジャンル別

 さらに、ゲーム雑誌の種類で分けてみると、次のようになる。

こちらも一つ前のグラフに大まかに一致する。そちらでは97年以降に任天堂系の売り上げの大幅低下が見られたが、こちらはそれほどでもなく、単に特定の雑誌の数え忘れだったことが明らかになる。実際に『出版指標年報』を見ると、97年にはファミマガ64、スーパー64、電撃N64しかカウントされていないが、実際にはそれに加え64、The 64 Dreamが存在していた。この時期にTheスー、マル勝、必本の系列が消えたことは事実だが、それでも新たに創刊されたものもあり、ソニー系、セガ系に比べてそこまで押されていたわけでもない。

 このようにジャンル分けすることで、どんなジャンルの雑誌が特定の時期に増えたかもわかるだろう。それが読み取りやすいよう折れ線グラフも作ってみよう。

これでも少々わかりづらいが、1997年ごろにはまずゲーム総合系の雑誌が増え、次いでセガ・ソニー系も増加したことでピークを形成したことがわかる。それぞれのジャンルはその後徐々に数を減らすが、ゲーム総合系のみ2006年ごろに再度増加している。これはドリマガがゲーマガになったこととゲームサイドと日経ゲームエンタの創刊が原因だが、そこまで顕著な増加ではないだろう。


 今回はゲーム雑誌の一覧データを集計し、変化がわかるようにグラフ化してみた。ここまで来れば、ゲーム雑誌の歴史というものもある程度把握できるのではないかと思われる。次回はいよいよそれに挑戦してみよう。

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