特許発見によるルドラ研究の進歩の経緯
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今年に入って、ルドラの秘宝の言霊システムに関する特許が発見され、それによって言霊システムの解明が大いに進みました。
ルドラ界隈というのが非常に狭いにせよ、これは結構大きな出来事だと思うので、こんなこともあるんだという例として、一連の流れを記録しておきたいと思います。
同様の特許からのゲーム内容の解明という形での研究が今後も行えるかもしれませんし。
特許の発見
2018年5月、Subeaki氏によって、公開されている特許の中に、ルドラの言霊システムを扱ったものがあるという情報がもたらされた。具体的には「特開平09-234286」と「特許3158043」である。
これをツイッターで紹介したところ、結構な反響があったので、わりとインパクトのある出来事だったように思われる。
しかも単にうわぁびっくりでおしまいではない。その内容がすごいのである。端的に言えば、ゲーム内では隠されている言霊システムの設計図が残されていたのだ。この「ゲーム内では隠されている」というのがポイントで、他の特許、たとえばFFのATBに関するものなどは特に秘密の内容はなく、せいぜいどの順で処理をするかなどがわかる程度だが、言霊システムに限ってはそうではない。とにかく公式から一切の情報開示がなかったために、プレイヤーが必死でその内容を推定しなければならなかったものなのだ。
そうした言霊システムの解明の歴史については以下のページに記述している。
ルドラの秘宝の言霊システムや隠し要素がプレイヤーによってどのように明らかにされていったのか、その過程を調査しています。
特許を一見してすぐにわかったのは、それがこれまでの言霊研究と一致していたことだ。つまりそうした研究は正しかったということになる。これはほとんど信じられないことだ。たとえば言霊威力などはどこにも書いておらず、回復言霊に変換してやさしさを引いて調べるという、かなりアクロバティックな方法で今までは算出していたのだが、それが寸分違わず内部データと一致していることがわかった。これはひとえに上のページで触れた言霊研究の先駆者がいかにすごかったかということである。
だが、特許がこれまでの知識と完全に一致なら特に新しいことはない。それでもよく読んでいると、今まで触れられていなかったパラメータや、既存の理解と食い違う箇所があることがわかってきた。この文書から何かしら新発見が出てきそうなのである。
特許制度について調べる
そこでなんとしてもこの特許の内容を言霊システム研究に反映したいと思ったが、見てみればわかるように特許文書というのは独特の書き方でやたらと難解である。おまけに2種類あって違いがよくわからない。
この辺を理解せずに進めるとひどい誤解が生まれそうだったので、とりあえず最初に特許制度について調べてみた。
ゲームの特許に関する覚え書き|火の鳥ブログ|God Bird
たまたま必要があったので、ゲームに関わってくる「特許」とはどういうものなのか、その仕組みや取得過程、保護されるものなどについて調べてみました。
最近はゲームの特許が話題になることもあるので、この内容は他のゲーム特許探しにも応用できるんじゃないかと思う。
特許の解読
というわけで公開公報だの明細書だの請求項だのの意味もわかったので、満を持して特許の解読に挑んでみた。その結果が以下である。
ルドラの言霊システムに関する特許の内容解説。言霊の仕組みがわかります。
ルドラの秘宝の言霊システムの設計図である、言霊システム特許の内容をわかりやすく解説しています。上級者向け。
命中率の調査
新発見事実の中でも、特に大きなものが言霊の命中率に関して触れられていることだった。これはこれまでまったく研究が及ばなかった領域だ。元来命中率やドロップ率というのは不安定なもので、調査も相当数を重ねないと確かな結果にたどり着かない。うかつな調査では、ともすれば小数点以下の確率で盗めるとかいい加減なことを言ってしまう。なので容易に手が出せないものではあるのだが、今回手がかりが得られたことによってついに未知の領域に足を踏み込めた。
調査は、いくつか命中率の数字が明かされている単語があるので、それを用いて命中率の計算式を算出し、今度はそこから明かされていない単語の命中率を推定するというパズルのような過程で行った。
やはり不確定要素はあるが、それでも大体の仕組みが明らかになったといえる。
ルドラの秘宝の言霊システムの命中率関連の仕組みを、データを取りながら細かく調査してみました。
特許の現行の知識への組み込み
命中率についてもわかったので、いよいよ特許とこれまでの知識を合わせて、言霊システム研究をアップデートするという段階に入った。それが以下である。
ルドラの秘宝の言霊システムについて、効果決定の仕組みや威力の計算など、あらゆる要素を解説している言霊研究の決定版です。
ここでポイントなのは、特許に書いていたからといってそれがゲームに実装されているとは限らないという点だ。特許はあくまで仕様書であり、ゲームがその通りになっているかということはチェックされるわけでもない。その後変更があったということもありうるだろう。
なので、本当に書いてある通りかどうか、実際にゲーム上の動作を確かめる過程が必要になる。それをやってみると、特許の間違いが見つかったりもする。
ともあれ、現行の知識+特許+追加調査という3点セットで、言霊システムの理解が相当進んだことはそのページを見ればわかるだろう。
ゲームの特許を調べてわかること
以上のような流れで今回の言霊システム特許は言霊研究に貢献したが、このことを踏まえてより一般的な、特許を調べてわかること、つまり特許を調べる意義についてまとめてみよう。
- 特許の対象となるゲームシステムが、どのような意図と構造で設計されているかがわかる
- 外からでは見えにくいゲームの内部処理がわかる
- システムの内容が隠されているものは、その内容がわかる
- 開発段階の情報や資料がわかる
といった感じだろうか。4については、例としてルドラ特許の場合、付されている図からリザが「リサ」になっていたとか、マリーナに足があったっぽいということがわかるのである。
総じて伝えたいことは、ゲームの特許があった場合、その特許を見てみれば、対象のゲームについてより深い知識が得られるかもしれないということだ。本格的にゲームの仕組みを解明したいという人は、特許にチャレンジしてみてはいかがだろうか。