ミスティッククエストの越智善彦氏の漫画

Gayaline

密かに存在していた、越智善彦氏によるミスティッククエストの公式漫画。今回このきわめて貴重な資料を発掘したので、その内容をご紹介します。

SFCソフト「FFUSAミスティッククエスト」の情報を求めてファミマガを調べていたところ、漫画家のおちよしひこ(現:越智善彦)氏によるミスクエ漫画を32p分も発見した。これらは単行本化されておらず、幻の書き下ろしだといっていいだろう。

それ以前にも、越智氏がミスクエに関わっていることはわかっていた。NTT出版から出ている攻略本の扉イラストが同氏によるものだからだ。それに加え、ファミマガ1993年7月23日号付録の「ファイナルファンタジーUSAミスティッククエスト スクープガイドブック&コミック」にも、同氏の漫画が掲載されている。

どうやら越智氏はミスクエの公式イラストレーターに近い扱いだったようで、ご本人のページにも、この漫画がファミマガではなくスクウェアからの依頼だったことが記されている。つまり、ファミマガ掲載のこの漫画もプロモーション用だったといえそうだ。(ただ、同じくファミマガに載っていた杉森健氏のジェリーボーイの漫画も同様だろうから、珍しいことではなさそうだが)

ともかく、付録32p、雑誌16+16pと、ミスクエはたっぷりと漫画化されていたことになる。この内容が埋もれるのは惜しいので、可能な限り以下に紹介してみたい。

スクープガイドブック版

ファミリーコンピュータMagazine 1993年7月23日号 No.15付録 pp.48-49, 62-66

第1号の漫画がこれであるが、内容としてはオープニング+ストーリーダイジェスト+仲間キャラ紹介となっている。主人公(名無し)のほか、カレン、ロック、フェイ、レッドとの出会いの場面が描かれる。その過程はゲーム内の展開を忠実になぞったものである。ついでに「カレンが毒を受けた後も強い」とか「他の仲間もやたら強い」とか、ゲームの内容も踏まえた構成にもなっている。

ファミマガ本誌版その1

ファミリーコンピュータMagazine 1993年8月20日号 No.17 pp.77-80, 83, 89

ゲーム発売少し前に掲載されたこちらの漫画は、なんと本編開始前のプレストーリーとなっている。展開としては、

ダークキングが勇者の出現を知る→ホワイトが勇者を探しに行く→ベヒーモスが何人かの勇者候補に襲いかかるも、相手にならず勇者でないことがわかる→勇者たる本編主人公、ついに発見

というものになっている。ダークキングに加え4つのクリスタルを封じるフレームサウルス、アイスゴーレム、ヒュドラ、パズズのイラストがあるほか、本編では最初に出てきてやられるだけのベヒーモスにキャラ付けがされていて面白い。というか結果的に、ホワイトとベヒーモスの目的が一致して、一緒に勇者を探し回っていたことになっている。

ファミマガ本誌版その2

ファミリーコンピュータMagazine 1993年9月3日号 No.18 pp81-82, 84, 89, 93, 96

その次の号に掲載された第3段は、引き続きプレストーリーになっている。ホワイトがフェイリア→アクエリア→フォレスタと回って、それぞれレッド、フェイ、カレンと出会うという内容(ちなみにベヒーモスは地中についてきている)。残念ながらロックはいないが、ストーリー開始以前に、ホワイトとこの3人は顔見知りだったというわけだ。想像が膨らむ展開である。

ちなみに最後のページの枠外に「『俺の村』というセリフはなくなったそうです…」と書いてあるが、確かに付録版と見比べてみるとセリフが変わっている。そしてこの違いは、ここに書いてあるように英語版と日本語版の違いなのである。つまりこれは、数ヶ月の間に冒頭の運命の丘で沈む村が主人公のものではないという明確な変更がなされたということを意味している。(英語版は依然としてそのままだが)

あと、ファミマガ側の仕業なのか、今回は欄外にスクウェア作品紹介が載っている。FFやロマサガ、聖剣伝説がある一方でスクウェアのトムソーヤや魔界塔士はない。せっかくなので、95ページにあるミスクエの紹介文を書き写してみよう。

このコミックのもとになったのが、スクウェアがアメリカ市場に向けて独自に開発、発表したRPG『ミスティック クエスト』だ。日本で人気の『F・F』シリーズの世界を受け継いだ、外伝とでも言うべき作品なのだ。日本版とアメリカ版の違いは、文字が日本語になっているだけで、それ以外に変更点はない。「誰でも遊べるRPG」を目指して作られたという『ミスティック クエスト』は9月10日に発売される予定だ。

となっている。以前の記事でも書いたが、当時は発売の経緯がしっかり説明されていたことがわかるだろう。


というわけで、ミスティッククエストにはボリュームたっぷりの公式漫画が存在した、というのが今回の発見である。ただでさえ資料が少なく、非常に地味な作品に留まっているミスクエだが、当時はこれだけのアピールもされていたわけで、この漫画と一緒にゲーム自体ももう少し記憶に留まってくれれば幸いである。

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