Schäfers Klagelied 羊飼いの嘆きの歌



Da droben auf jenem Berge,
Da steh' ich tausendmal,
An meinem Stabe hingebogen,
Und schaue hinab in das Tal.
あそこのあの山の上に、
私は何千回となく立ち、
杖にすがって
谷底を見下ろす。
Dann folg' ich der weidenden Herde,
Mein Hündchen bewahret mir sie.
Ich bin herunter gekommen
Und weiß doch selber nicht wie.
それから放牧の群れに随いて歩き、
私の犬がその群れを見張る。
私は山を降りて来たが、
どう降りたのか自分でもわからない。
Da steht von schönen Blumen
da steht die ganze Wiese so voll.
Ich breche sie ohne zu wissen,
Wem ich sie geben soll.
牧草地には一面に、
美しい花が咲いている、
私はその花を折り取るが、
誰に上げていいか分からない。
Und Regen, Sturm und Gewitter
Verpaß' ich unter dem Baum.
Die Türe dort bleibet verschlossen;
Doch Alles ist leider ein Traum.
雨や嵐や雷は
木陰に入ってやり過ごす。
あの家の扉は閉じたままだ、
すべて結局は夢なのだ。
Es stehet ein Regenbogen
Wohl über jenem Haus!
Sie aber ist fortgezogen,
Und weit das Land hinaus.
虹がきれいに
あの家の上にかかっている!
だが彼女は去ってしまった、
遠い遠い地方へと。
Hinaus in das Land und weiter,
Vielleicht gar über die See.
Vorüber, ihr Schafe, nur Vorüber!
Dem Schäfer ist gar so weh'.
Vorüber, ihr Schafe, nur Vorüber!
Dem Schäfer ist gar so weh'.
遠い、さらに遠い地方へと、
もしかしたら海まで越えて。
終わりだ、羊たちよ、もう終わりだ!
羊飼いは本当に悲しい。
終わりだ、羊たちよ、もう終わりだ!
羊飼いは本当に悲しい。

我流解説

詩はゲーテ。ただ、これはあまりいい訳じゃないので。シューベルト協会のほうのすばらしい日本語歌詞もご照覧ください。
初期の作品として、「糸を紡ぐグレートヒェン」と対照をなす曲。
ただしあちらの方が大分激情家で決死の想いに駆られているが、こちらの主人公は消極的というか、女々しい感じがする。
詩の解釈だが、単純に見えて大変難しいのでシューベルトの解釈を参考にして気づいたことを簡潔に言うと、
シューベルトのつけた音楽はA-B-C-D-B-Aという形式で、中央部をAとBがサンドイッチしており、
挟まれた部分が回想で、再び現実へと思案が戻ってきているのではないだろうか。
同じメロディのはずなのに、二回目のBはひときわ美しい。そしてAは楽しい回想が挟まれていることによってより一層悲しくなるのである。
グレートヒェンの徹底的な描写と並んで、この作品にも素晴らしい価値があるのではないだろうか。
もちろん、グレートヒェンは桁違いにすごい歌曲だから全体的なボリュームでは太刀打ちできないが。

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