英雄の条件~武器類~

英雄の条件~武器類~





~本項解説~


ここでクイズ、英雄達の持つ剣に必要なものとは何でしょう?
よく斬れること?いえいえ、最も重要なのは、いかに目立つかです。いろんな物語に出てくるヒーローたち、ただ「強い」「戦えば勝つ」では面白くありません。
そこで、人々はその英雄の個性の象徴として武器を持たせました。振りかざすと嵐が起きるポセイドンの槍、地を叩けば雷鳴が轟くトールの槌、さらに持つものの生命を吸い取る呪われた剣。そのようなもので、その人が英雄たるゆえんを表しているわけです。

では、無敵のコレクションを見ていきましょう。まず閲覧の仕方を紹介します。
上から、武器の名前、調べるのに苦労したスペル、その武器の持ち主、
武器の形状、武器の持つ能力
となっています。
基本的に斬れ味とかは最強みたいに言われているのがほとんどなので、そういう場合は持ち主のエピソードなんかを解説しました。

天叢雲剣
Ame no murakumo no tsurugi
ヤマトタケル
別名草薙の剣。よくわかっていないが、古代の剣の形状、まっすぐな両刃剣らしい。

スサノオの命が八岐大蛇を退治した際に、尾から発見された剣。
以後、三種の神器の一つとなり、代々天皇家が受け継いできた。
現在は、熱田神宮にあるらしい。


イージスの盾
Aegis
アテナ
表面が鏡のように磨かれた青銅でできている盾で、メデューサの首が埋め込んである。

元はペルセウスがメデューサを退治する際に、相手の姿を映して直接見ないように使ったものだが、その後アテナに首と一緒に献上されて、見た者を石化させる能力を持つようになった。


エクスカリバー
Excalibur
アーサー
十字の鍔、光り輝く両刃の刀身を持った典型的な剣。

「この剣を引き抜いたものこそ、まことのブリテンの支配者である」と刻まれた台座に嵌った剣、それがエクスカリバーであり、それを引き抜いたのが後のアーサー王であった。
この剣は、正義のためだけに使うことを許された剣であり、その威力は一人で五百人の相手をなぎ倒し、刃こぼれ一つしない。
鎧に身を固めた巨人を一刀の元に馬ごと真っ二つにしたこともある。


カラドボルグ
Kaladbolg
フェルグス・マクローイ
漆黒の刀身と十字架状のシルエットをもつ大剣。
エクスカリバーによく似ている。

妖精によって作られたものであり、エクスカリバーの元になったといわれている。
闇の帝王フェルグス・マクローイはこの剣でクーフーリンと対等に渡り合った。


グラム
Gram
シグムント、シグルド
刀身に氷のようなぎざぎざを持った大剣。「バルムンク」は別名である。
柄の両端に鍔がついている。

最初はヴォルスンガの息子シグムントが持っていたが、オーディンに砕かれ、その破片は小人レギンによって鍛え直され、息子シグルドへと受け継がれた。
その斬れ味は岩もバターのように斬れ、悪竜ファーブニルを退治するときに活躍した。


グングニル
Gungnir
オーディン
非常に長い柄を持った槍。

稲妻の力を象徴したもので、投げれば狙いを外すことなく、どんなものでも貫く。


ゲイボルグ
Gae Bolg
クーフーリン
魔女スカザーハが海の怪物の死骸から作り出した、太くて重い柄を持った槍で、切っ先にはぎざぎざの刃がついている。

振るうことによって相手に深い傷を与えることができるほか、投げれば穂先から無数の光が飛び出し、相手を貫く。
この槍で何人もの相手を倒したクーフーリンだったが、敗れた者たちの恨みは消えず、彼らの復讐にあって悲惨な最期をとげることになる。


小烏丸
Kogarasumaru
平家
刀身の先のほうだけ両刃で、それより下は日本刀のようになっている刀。

桓武天皇の下に現れた大鴉により賜った刀で、後に平貞盛に授けられ、平家の家宝となった。


小狐丸
Kogitsunemaru
九条家
一般的な鎌倉時代の武士が使うような片刃の日本刀。

相槌を打つ弟子がいなくて困っていた刀鍛冶宗近の下に、突如現れた稲荷明神の化身の協力によって完成した太刀。
稲妻を従え、静める力があるという。


七支刀
Shichishitou
天皇家
柄がついておらず、刀身からさらに六本の刃が突き出ている奇妙な刀。

元は、朝鮮の王から送られた儀式用の剣で、実用性はないらしい。
現在も石上神宮に安置されている。


ストームブリンガー
Stormbringer
エルリック
全体に怪しげな装飾が施された黒い大剣。

鞘から抜くと、まるで意思を持つかのように相手に襲い掛かり、倒した敵の魂を吸い取り剣の所有者に与える魔剣。
一度その魔力に取り付かれると、家族や恋人までその剣の犠牲になってしまう。


ティルヴィング
Tyrhung
アルングリムの一族
黄金に輝く刀身を持った、両刃の片手剣。

その剣には、作った小人による持ち主を不幸にする呪いが込められており、次々と所有者を変えていった。
この剣がひとたび抜かれれば、敵味方を問わず一人の人間が死ぬことになったという。


デュランダル
Durandal
ローラン
両刃の片手剣で、豪華に装飾された柄の中には、聖人の遺物が入っている。

イスラム軍の奇襲を受けたローランの軍は、10万の兵を相手に善戦し、ほとんどを撃破した。
しかし、さらに20万の増援が現れ、ローランと12騎士は追い詰められていく。
死を確信したローランはデュランダルを敵の手に渡すまいと、そばにあった大理石に叩きつけて割ってしまおうとするが、逆に大理石のほうが真っ二つに斬れてしまったという。
そのご、デュランダルはローランの君主シャルルマーニュの手に渡り、イスラム軍を退けたのだった。


十握剣
Totuka no turugi
イザナギ、スサノオ
剣を握る柄の部分が十握(約70cm)あり、刀身も非常に長い大剣。

大地を作ったイザナギ神が最初に持っていたほか息子のスサノオの手にも渡り八岐大蛇を退治する際に使って、天叢雲剣にあたり欠けてしまった。


トライデント
Trident
ポセイドン
先が三叉に分かれている、もとは漁師が魚を取るために使っていたもの。

ポセイドンの力がこめられており、この槍を振りかざせば、海は時化になり、
海面に突き立てれば地震が起こり、陸地を津波が襲うなど自然を操る力がある。


蜻蛉切
Tombokiri
本田忠勝
全長4メートルを超す大型の槍で、笹の葉状の穂先が取り付けられている。

止まったとんぼが真っ二つに斬れて落ちるほどの斬れ味からつけられた名を持つこの槍は、徳川家康の家臣、本田忠勝の得物である。
彼は幾度の合戦に出陣しながら、生涯一度も傷を負ったことがなかったという。


布都御魂
Futu no mitama
全体が三メートル近い超大剣。鉄製でとてつもなく重い。

建御雷(たけみかづち)が葦原中国(あしはらなかつくに)を平定する際に使った。
その後、再び起きた混乱を静めるために、天から降り、神武天皇の手に渡った。
今でも、石上神宮、もしくは鹿島神宮に現存するらしい。


フラガラック
Flagalac
ルー
かすかに輝く刀身を持った、両刃の片手剣。別名アンサラー。

どんな鎧をも切り裂く切れ味を持っており、
望めば鞘から勝手に抜けて手に収まり、敵陣に投げれば戻ってくる。


ブリューナク
Brionac
ルー
切っ先が五本ある漁師の銛のようなもの。

槍を投げると、切っ先が五つの光線となって別々の敵を攻撃できる。
さらに、望めば自動的に槍が敵を追う。


ミョルニル
Mjolnir
トール
非常に重く巨大なハンマーで、使わない時には小さくしてしまっておける。
とげなどが付いているわけではなく、一見攻撃には向かない。
さらに、これを補助するものとして、はめたものの力を倍増する鉄の手袋を持っている。

その槌を振り下ろせば、辺りに雷鳴がとどろき、どんな硬いものでも砕くことができる。
投げればもとの手に必ず戻ってくる。


正宗
Masamune
武士達
正宗の名を持つ刀工が作った日本刀で、その作者は複数いる。

主に鎌倉時代に作られた非常に高性能な刀というほかは目立った特長はないが、
戦国から江戸時代にかけてはとても高い人気を誇っていた。


ミストルティン
Mystletainn
ホズ
元はやどりぎの枝で、それをロキが魔力で剣に変えたもの。

あらゆる存在が彼を傷つけないと約束することによって不死を与えられたオーディンの子、バルドルを疎ましく思っていたロキはやどりぎだけはまだ若いためバルドルを傷つけない約束をしていないことを知る。
そこで、ロキは目の見えないバルドルの弟、ホズにやどりぎを投げさせ、バルドルを殺してしまった。
主神の息子の死により、神々の運命は大きく傾き、来るべき終末(ラグナロク)への第一歩となった。


村正
Muramasa
武士達
非常に斬れ味の良い日本刀。
特定の刀を指すのではなく、刀工村正が作ったものをこう呼ぶのである。

徳川家康の祖父が斬られた刀が村正で、息子の信康が切腹する際に使った刀も同様に村正だったことなどから、徳川家に祟りをなす妖刀というイメージが創り上げられた。


ロンギヌスの槍
Longinus
ロンギヌス(ガイウス・カシウス)
2メートルほどの柄と、鋭い穂先を持つ、一般的な槍。

キリストを処刑する際に、わき腹を指した兵卒ロンギヌスの槍で、その槍を滴った血を浴びると今まで見えなかった目が見えるようになったという。
それ以来、聖なる癒しの力を持つようになり、同時にその槍によって受けた傷は、匹敵する力を持つものがなければ治せなくなってしまった。


次のコーナーでは、その他のよく名前を聞く武器の所有者と、一口紹介を載せています。
有名人勢ぞろいで、カッコイイことこの上ないです。
武器名所有者備考
物干棹(ものほしざお) 佐々木小次郎 正式名称備前長船(びぜんおさふね)。
1メートルもの刀身を持つのでこの名で呼ばれる。
村雨(むらさめ) 犬塚信乃 「八犬伝」の主人公。抜いただけで水しぶきが飛び散るという。
陸奥の守(むつのかみ) 坂本竜馬 正確には陸奥の守吉行で、「むらのかみよしゆき」と読む。
虎徹(こてつ) 近藤勇 新撰組の一員。何人斬っても刃こぼれ一つなかったという。
菊一文字(きくいちもんじ) 沖田総司 正式名称は菊一文字則宗(きくいちもんじのりむね)。茎に菊の紋。
和泉守(いずみのかみ) 土方歳三 正式名称は和泉守兼定(いずみのもりかねさだ)。シンプルな長刀。
般若長光(はんにゃながみつ) 足利義輝 正式名称備前長船長光(びぜんおさふねながみつ)。大振りな刀。
関兼定(せきのかねさだ) 豊臣秀吉 確証なし。この時代には村正並みの人気を誇った刀。
乾雲丸・坤竜丸(けんうんまる、こんりゅうまる) 丹下左膳 実在の人物ではない。関の孫六作で、大小一対の刀。
天瓊矛(あめのぬぼこ) イザナギ、イザナミ 二人はこれで海をかき混ぜて日本列島を作ったという槍。
青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう) 関羽 字は雲長。大きく湾曲した巨大なサーベルのような刀。
蛇矛(じゃぼう) 張飛 字は翼徳。先がジグザグになった長槍。
方天画戟(ほうてんがげき) 呂布 字は奉先。槍の先に刃が複数取り付けられたもの。
七星剣(しちせいけん) 曹操 皇室に代々伝わる名剣だが、董卓に奪われた。
金箍棒(Kinkobou) 孫悟空 おなじみ如意棒のこと。実は竜宮城にあった。
降魔杖(Koumajou) 沙悟浄 一方が斧、もう一方が槍のようになった杖。
天蓬釘把(Tenhouteiha) 猪八戒 くわの先に歯がいくつもついたような武器。想像は容易なはず。
グラムドリンク(Glamdring) ガンダルフ 魔導師ガンダルフの持つ、オークが近づくと赤く輝く剣。
モーンブレード(?) イイルクーン ストームブリンガーと対を成す剣で、エルリックと激闘を繰り広げた。
ガンバンテイン(Ganbanteinn) オーディン 息子のヘルモードに与えられた、魔法を跳ね返す杖。
ブルトガング(Burtgang) ヘイムダル 裏切り者ロキと決闘を行った勇者ヘイムダルの剣。
レーヴァンティン(?) スルト 巨人スルトの持つ炎の剣。この剣で神の国を火の海にした。
カドケウス(Caduceus) ヘルメス 枝に蛇が巻きついた姿をした杖。ケーリュケイオンとも。
ジョワイユーズ(Joyeuse) シャルルマーニュ フランクの王、シャルルマーニュの剣。
オートクレール(Hauteclaire) オリヴィエ デュランダルを持つローランの親友、オリヴィエの剣。
アロンダイト(Alondite) ランスロット 円卓の騎士の中で一番の腕を持つ、ランスロット卿の剣。
ガラティン(Gallatin) ガウェイン 太陽が昇るとともに威力が増すという剣。
イスケンデルベイ(Iskenderbey) イスケンデルベイ アルバニアの英雄の剣。
持つ者によって名剣にもなまくらにも変わるという。
クラウソラス(Claimhsolais) ヌァザ 抜けば必ず相手が倒れることになるという光の剣。


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