ルドラ発売当時の
ゲーム雑誌調査

このコーナーでは、ルドラの秘宝が発売された1996年当時の状況を各種ゲーム雑誌の情報をもとにできるだけ把握しようとしてみました。
ここの内容で、どのような境遇の下でルドラは発売され、ユーザーに認識されたのかがわかるはずです。
ルドラに対してはスクウェアの広報活動がほとんどなされなかったのではないか、という噂も検証しております。
なお、販売システムの関係上、ゲーム雑誌は表記されている発売日よりも早く発売されます。ややこしいですが、()の中に実際の発売日を記しました。



雑誌別ルドラ記事情報

まずは、それぞれの調べた雑誌ごとにルドラに対していつ、どのような記事を載せているのかを詳細に調べてみた。
細かいことも多いので、全体の流れを知りたいなら次の時系列順を見るのが手っ取り早いだろう。
雑誌名のあとの(総合)(専門)はスーファミまたは64の専門誌かどうかを示している。当然ながら専門誌の方が記事は充実している。

ファミ通(総合)

ファミ通2月2日号(1/19)に最初にルドラの存在が確認できる。ここでは新作カレンダーに、ルドラ<スクウェア>の表記があり、発売日は未定。
次週の2月9日号(1/26)にルドラの秘宝の名前と、4月5日の発売が伝えられている。
これ以降、2月中は情報が一切ない状態が続く。
その沈黙を破ってルドラの情報がもたらされたのが3月15日号(3/1)であり、ここではそれぞれ3Pの記事が組まれ、今号にはおそらく唯一と思われる2Pの広告まで掲載されている。
ここに3月15日号の記事の一部があるが、「開発状況」のところを見てほしい。
重要な証拠
なんと3月1日の時点でルドラは100%完成していたのだ。つまりルドラは完成してからようやく情報が発表されたことがわかる。これが当時のルドラの境遇を示す何よりの証拠だろう。
それ以後3月22日号(3/8)に5P、3月29日号(3/15)に2P、4月5日号(3/22)に2Pの記事が掲載され、
また4月12日号(3/29)では2Pの記事の上にクロスレビューが載っている。レビュアーはサウディ・ノダ、水ピン、イザベラ永野、忍者増田でそれぞれ8、8、7、8点。
その後4月19日号(4/5)で4P載って以降、ファミ通上での記事は途絶える。

記事の傾向としては、スタッフやゲーム雑誌の名前を言霊として入れてみる企画「言霊ちゃん大研究」が続いていた。攻略はほとんどなし。

ファミリーコンピュータMagazine・ファミマガ64(専門)

ファミ通と同じく、3号(1/26)の新作カレンダーに正式タイトルと発売日が掲載。「これはいくつかの章に分かれたシナリオを順番にプレイしていく形式のものになるようだ」と、内容も多少なりとも明かされていたことがわかる。
2月中の4〜5号は情報がなく、6号(3/8)に8Pもの記事で初登場。その後の7号(3/22)でも同じく8Pで特集が組まれ、期待作ランキングでも早速の6位を記録している。
ルドラ発売当日の8号(4/5)では52Pの攻略付録をつけ、ランキングはドラクエ3に次ぐ2位にまで上昇。
続く9号(4/20)にも17Pの攻略記事が載り、それぞれ12日目まで攻略している。入手&購入アイテムリストがあったり、天空落下後のワールドマップが載っているなど感動ものだ。ランキングは発売後にもかかわらず3位。
以後10号(5/17)に言霊コンテストおよびオヤッサンメイオラシールド発見、11号(5/24)ではムテキなども含む言霊リストを掲載+マジックリーフ稼ぎ、12号(5/31)ではほうちょう発見と言霊しりとりのウソ技、そしてファミマガ最終号となる13号(6/14)ではついに方舟ワープがウル技として投稿されている。

下に載せた電撃のチャートを見てもわかるように、ファミマガのルドラに対する入れ込みようはすさまじい。読者人気の高さからもそれはうかがえる。
スーファミ専門誌という理由もあるだろうが、スタッフがルドラを相当にまで評価していなければここまでの紙数は割かれないだろう。
また、後列を有効に使っている攻略はファミマガだけだったり、スキャンを食らった次のターンは防御と書いてあるなど、攻略が巧みなのがファミマガの長所といえる。

電撃スーパーファミコン・電撃Nintendo64(専門)

こちらは月刊誌ということもあり、発売日確定は3月号(2/9)と少々遅い。
またルドラ記事も4月号(3/22)に4P、5月号(4/20)に4Pとかなりあっさりしている。
しかし両方の記事を合わせて12日目まで攻略している上に、以下に示すゲーム誌掲載ページ数チャートは今回の調査に実に貢献してくれた。
それぞれの雑誌のルドラ記事掲載ページ数
月/雑誌
電撃
ファミ通
ファミマガ
マル勝
Theスー
ロクヨン
Vジャン
寿限無
ゲームオン
3月
4
14
16
10
8
10
0
2

4月
4
4
69
13
20
12
0

0


マル勝スーパーファミコン(専門)・マル勝ゲーム少年(総合)

ファミ通、ファミマガと並ぶかつてのゲーム雑誌の雄マル勝では、3号(2/9)にルドラの発売日が確定しており、5号(3/8)で情報を掲載しているという点は他の雑誌と同じだ。この時は4P
以後ルドラ記事は継続的に続き、6号(3/22)に6Pで雑誌コーナー名などの言霊を入力、7号(4/12)では7Pで10日まで攻略している。プルスティとか、イスがポルターガイストになっている点はご愛嬌といったところか。
マル勝ゲーム少年へと変わり、PS作品を扱うようになってもまだ記事は載っており、8号(4/26)では6Pで三人を15日まで攻略しており、ここまで攻略したものは他にはTheスーだけである。
さらに10号(6/12)では言霊システム説明が掲載されているが、イグテースなどの間違いが下記のTheスーの情報と被っているために、こちらから取ったのではないかと思われる怪しい記事になっている。

Theスーパーファミコン・スーパー64(専門)

Theスーもまた、ルドラに対してはかなりのページを割いている。
3月15日号(3/1)にルドラ速報を掲載しファミ通と同時スクープとなっているほか、
3月29日号(3/15)では6P、4月12日号(3/29)では8P、4月26日号(4/12)では12Pと、発売前から発売後にかけて定期的にルドラを扱っている。
特筆すべきは4月26日号の記事で、10日目までの攻略に加えて、言霊システムの分析が行われている。ここではただ漫然とワードを入力するだけではなく、トームからグランナまでの基本言霊の階級と、いくつかの接頭語の存在が突き止められている。中にはこんなとんでもミスも見受けられるが。
いくらなんでもこりゃない
スーパー64に誌名が変わった5月10日号(4/26)では3人の章を15日目まで攻略しており、当時の記事としては最も詳しいものだといえる。
その後は記事が見られなくなるのが惜しいところだ。

月刊ファミ通Bros.(総合)

月刊誌であるブロスは3月号(2/3)にカレンダー掲載、4月号(3/2)は記事なしと、ルドラに関しては他に遅れをとっている。
しかし、それまで情報は一切なしだったにもかかわらず、5月号(4/3)では怒涛の25P攻略記事を掲載。
複数のイラストレーターによる各キャラのイラストつきかつマップも手描きという超豪華な体制で、しかもそれぞれの章攻略には主人公による解説がついている。
シオンが「オレ様と勝負だーっ」と言っているのは理解できるが、サーレントが「美しい私にふさわしい言霊だ」などとよくわからないナルシストキャラになっていて面白い。
主人公によって描いている人が違っていたり、手描きマップがやたらと丁寧だったりと、とにかく価値のある記事となっている。

Game Walker(総合)

思わぬ伏兵だったのがこのGame Walkerだ。4号(2/22)に発売日確定と、さほど真新しいことはないと思いきや、
6号(4/22)に4Pで載った言霊システム分析がこの時期としてはすごすぎる。
ペルスアーンクリティカルイリームプロテスといった補助言霊がのきなみ判明している上に、てっきりファミマガオリジナルだと思っていたビライグジンビラアクジン等々がここに載っているのだ。
極めつけはフラピースだろう。ゲーム中に登場しない接頭語を使いこなしているのはここだけである。
おそらく多くの発見の難しい、またはオリジナルな言霊はここから広まったのではないかと思われる。
3号と5号が入手不可能だったために、完全な形で情報が確認できないのが残念である。

ゲーム・オン!(総合)

電撃のリストでは記事はないと言われていたが、探してみたらやっぱりあったゲームオン。
他と同様3月号(2/3)に発売日が確定し、4月号には1Pのみの紹介。
だが驚くことに、5月号(4/3)では発売前にもかかわらず4Pを使ってかなり詳しい言霊分析を行なっている。
ゲームメーカーや有名人の名前を入力してみるという定番の企画もあるものの、そこから「キ」で終わると即死になるという法則を導いてみたり、
いろいろな言霊に接頭語を加えてどう変化するかを調査していたりとかなり手が込んでいる。
この段階ですでに言霊効果の固定や、接頭語+基本言霊という形式を理解しているという点で、非常に優れた分析を行なっているといえる。

時系列順ルドラ記事情報

ここでは、まとめとしてそれぞれの情報で最も早いものを、掲載された順に並べてある。
ここを見れば、ルドラ発売前の情報の広まりと、発売後の攻略の進み具合が一目で理解できるだろう。
日付出来事(雑誌名)
1/19
「ルドラ」新作タイトルとして掲載(ファミ通)
1/26
ルドラの秘宝のタイトル登場、発売日確定(ファミ通)
3/1
画面写真やシステムの情報掲載(ファミ通、Theスー)、広告掲載(ファミ通)
3/15
編集部に完成版ロム到着(ファミ通、Theスー)
3/29
5日まで攻略(Theスー)
4/5
ソフト発売、7日まで攻略(ファミマガ)
4/12
10日まで攻略&言霊分析(Theスー)
4/20
12日まで攻略&アイスソード発見(ファミマガ)
4/22
ペルスアーン、クリティカルなど言霊大量発見(Game Walker)
4/25
サントラ発売
4/26
15日まで攻略(マル勝、Theスー)
5/7
攻略本「破滅と創造の書」発行
5/17
言霊コンテスト結果発表&オヤッサン発見(ファミマガ)
6/28
方舟ワープ発見(ファミマガ)
7/26
ストラグル発見(ファミマガ)

3月15日の段階で編集部にロム到着というのは、記事の内容から判断してのことである。それ以前はどの雑誌も用いている写真が共通しているし、各雑誌が自分で言霊を入れだすのもこの週からで、自由に使えるソフトが入手できていることがわかる。
発売前の状況を総括するなら、ルドラは明らかに宣伝不足だといえるだろう。例としてバハラグは11月17日にファミマガに情報が初公開されているが、これは発売の三ヶ月前である。トレGに至ってはルドラと同じ1月26日の情報公開であり、この段階で画面写真も十分出ている。
一方ルドラは一ヶ月前というギリギリぶりで、ファミ通が「『えっ、4月5日に発売!?急なんだから』との非難が各編集部からどっと来て大弱りのスクウェアさん」などと言っていることからもいかにルドラの情報が出るのが遅かったかがわかる。
ファミ通に広告があるなど全く宣伝をしなかったわけではないものの、宣伝以前に情報公開が不足していたのであり、1月26日の段階でゲーム内容もある程度判明していたことを考えても、空白の2月の存在が悔やまれる。


当時のゲーム業界の動向

ルドラが置かれた状況を知るには、ルドラ以外のソフトも見なければならないだろう。以下ではルドラ発売前後半年程度の期間に発売されたソフトを載せてみた。
RPGを中心に集め、スクウェア作品はこの色で示している。
日付発売タイトル
95年
9/30
聖剣伝説3
10/6
タクティクスオウガ
11/11
ロマンシングサ・ガ3
12/1
不思議のダンジョン2 風来のシレン
12/9
ドラゴンクエスト6
12/15
テイルズオブファンタジア
幻想水滸伝
12/25
真・女神転生デビルサマナー
96年
2/9
バハムートラグーン
2/16
FF7、PSでの発売が決定(ファミ通)
2/23
フロントミッションシリーズ ガンハザード
2/27
ポケットモンスター赤&緑
3/9
スーパーマリオRPG
3/15
カオスシード 風水回廊記
3/21
星のカービィ スーパーデラックス
3/22
バイオハザード
魔装機神
パンツァードラグーン ツヴァイ
3/29
鉄拳2
4/5
ルドラの秘宝
5/14
ファイアーエムブレム聖戦の系譜
5/24
トレジャーハンターG
6/23
Nintendo64&スーパーマリオ64発売
7/12
ポポロクロイス物語
7/19
スターオーシャン
8/2
トバルNo.1

ここからわかることは、この時期は怒涛の名作、大作ラッシュだということである。現在でも高い評価のスーファミタイトルが目白押しな上に、プレステやサターンでも話題作がじわじわ増えてきている。
スーファミソフトはスクウェアだけで6本ある上にドラクエ、テイルズ、シレン、FE、さらにはまだ人気は爆発していないもののポケモンまで発売されている。
正直タクティクスオウガをやっているだけで半年くらい過ぎてしまいそうなものなのに、毎月2本はそうしたソフトが出ている。
加えて、次世代ハードへの転換期もまさにこの時期だった。FF7のためにプレステを買いに走った人や、ニンテンドウ64発売に向けて貯金をしている人も多かったことだろう。
4月の売り上げランキングを見ても、鉄拳2やバイオ、カービィSDXにマリオRPGの勢いがすさまじく、奇しくもかつてのスクウェア大阪のトップだった藤岡千尋氏のゲームと売り上げを奪い合うこととなってしまった。
もしルドラがあと二ヶ月早く発売できていれば、売り上げも倍くらい違ったのではないだろうか。


ルドラの売り上げ

最後に、ゲーム誌に記載されたルドラの売り上げランキングの順位を見てみよう。
背景がライトグリーンの雑誌は、スーファミのみのランキングを表しており、残りはPSとSSも含めたランキングとなっている。
また枠の範囲は集計期間を示している。ゲームオンのみ期間の区切りが他と違うため、それぞれ表記した。
期間/雑誌名
ファミマガ
Theスー
ファミ通
電撃
マル勝
Walker
ゲームオン
3/25〜31

12位


圏外(20↓)
圏外(20↓)
圏外(20↓)
3/6〜
4/5まで
4/1〜7
4位
4位
12位
4/8〜14
4位
4位
8位
圏外(20↓)
12位
4/6〜
5/5まで
4/15〜21
5位
16位

4/22〜28
圏外(10↓)
9位
圏外(30↓)
4/29〜5/4
圏外(10↓)
38位
5/5〜11

30位

圏外(20↓)
5/6〜
6/5まで

この中で期間が短いファミマガとファミ通を見ると、大まかに言って初週4位ということがわかる。ファミ通の方が他ハードも含むため順位は落ちるはずだが、その辺りは誤差の範囲内だろう。
二週目以降は、総合ランキングで10位前後をさまよっている。四週目から突然順位が落ちだす点も特徴といえる。
これらを考えると、ルドラの発売本数は13万本という話も現実味を帯びてくる。同時期のトップソフトは一様に100万本を達成しているレベルだが、ルドラは他に比べて失速が早いようであり、かなり残念な売り上げになってしまったのではないだろうか。
読者の人気ランキングではしばらく3〜5位をキープしていたり、各雑誌が大量にページを割いている(例えば4月の紙面数はルドラが1位)にもかかわらずこのような結果になってしまったということから、ルドラのユーザーがゲーム雑誌を愛読するようなディープな層ばかりだったということも読み取れる。


結論

多少のひいき目は入っている評価ではあるが、総じてルドラ受容の状況は非常に悪かったと言わざるをえない。
発表は遅れ、広告は少なく、ライバルは手強かった。それでも各雑誌がこぞって紹介、攻略をしたものの、一部の層にしか支持を得られず、売り上げは残念だったのである。
製作期間は明らかにされていないが、ルドラを作ったスクウェア大阪中心のメンバーは93年のミスクエ発売後から黙々と製作を行っていたかもしれず、そうまでして出した自信作がこのような結果となってさぞや無念だったに違いない。
だが、ゲームであれ何であれ、次の時代まで残るものは一時期に爆発的に話題になったものではなく、いつまでも根強い人気を誇るものなのだ。
忘れないでいる誰かがいる限り、ルドラの良さは伝えられ続けるだろう。
当サイトもその役割の一端を担えるなら、これ以上ない幸いである。

ルドラ風ボタン