ゲーム情報専門・火の鳥ブログ

2018年6月

田尻智氏インタビューと未発売ゲーム「マジックボール」

今回もサテラビュー通信から貴重な情報をお届け。

サテラビューで受信できるスーパーファミコンアワーで放送された番組の1つに、「ゲーム虎の大穴」がある。

放送時期や時間帯などは以下のページにまとめたが、放送開始直後の1995年の夏には「夏休みスペシャル」となり、これまで10分だったところが20分×2に拡大された。

サテラビューで放送された番組・マガジンの一覧。

SFC用の衛星放送ツール「サテラビュー」で放送されていた番組と、マガジンの一覧を掲載しています。記載されている情報は当時のゲーム雑誌から調べ上げました。今や誰も知る人のいない貴重な写真が盛りだくさん。

その夏休みスペシャルの後半部分については詳細不明だったが、サテラビュー通信がその内容を保存していてくれた。「ゲームフリークス」というゲストにインタビューするコーナーのうち、その名前にぴったりなゲームフリークの田尻智氏を呼んだ回の詳細が載っているのだ。

サテラビュー通信

サテラビュー通信 1995年10月号 通巻4号 p.19

 

当時も結構有名だったとはいえ、ポケモンでブレイクする直前の田尻氏の貴重なインタビューである。内容は見ての通り、ベストゲーム5本とサテラビューに関する意見が語られている。ベストゲームはマガジン形式の解説付きで配信されているが、任天堂ハード以外だったらどうなっていたのか少々気になる。サテラビューに関しては、「ライブラリーのような感じで自由にデータを受信できればもっといい」という、十数年後に実現することになるアイデアを提示している。

ゲームフリークの新作って?

この田尻氏の発言部分は短いので大して重要でないように思われるかもしれないが、最後の箇所に注目してほしい。ゲームフリークから近いうちにSFCとGBの新作が出ると言っているところだ。これは何のソフトだろうか。

GBの方は当然ながら、約半年後に発売のポケモン赤緑である。これは言うまでもなく化け物級のヒットとなりゲームの歴史を変えた作品であるが、この当時は前情報もあまりなく、特に期待もされていなかった(ついでに発売直後も任天堂ファンの多くが64に注目してたのでほとんど話題にならなかった)。

しかしSFCの方は?スーファミの歴史に精通した人なら、ここで2本のソフトが思い当たるだろう。1つは1997年に発売された「BUSHI青龍伝」だ。見た目はアクションなのにターン制で、少ないターンで敵の撃破を目指すという変わり種のゲームで、杉森建氏のグラフィックがたっぷり堪能できる作品となっている。

ゲームフリークがその後SFCで発売したソフトはこれだけである。ではもう1本は何なのか。実は、前回に続いてこちらも発売されなかったソフトがあるのだ。

 

「マジックボール」:幻のジェリーボーイ2

それがマジックボールというソフトである。これはジェリーボーイ2として開発されていたものの、何らかの事情があって発売元を変更しなければならず、POWというパブリッシャーから出すことになったが、結局発売中止となってしまった。ネット上の情報によると流出したサンプルロムがあるらしいが、そんなものに頼らなくてもファミマガに記事がある。

マジックボール

ファミマガ64 1997年No.4 p.105

 

タイトルも発売元もジェリーボーイと違うが、ゲームフリーク開発であることが語られている。そして何より、この画面は誰がなんと言おうとジェリーボーイである。

おまけに本作では追加要素としてキャラクター選択が可能で、能力の異なる仲間を使い分けながら進んでいくものだったらしい。前作のジェリーボーイ自体が絶妙な操作感と難易度、多彩なステージで実に楽しい作品だっただけに、それがさらにパワーアップしたとなれば傑作間違いなしのはずだが、残念なことに世に出ることなく埋もれてしまった。

実際、当時このページを見た時に一発でジェリーボーイだと気付きとても楽しみにしていたが、その後何の言及もなくいつの間にか忘れ去られてしまったのはだいぶショックだった。

そうなってしまった以上諦めるしかないが、こうして記録して少しでも記憶に残るようにしたい。

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ゲーム資料紹介   2018/06/28   へほくん

未発売ゲーム紹介:猛虎伝説'95 阪神タイガース

サテラビュー通信に載っていた未発売ゲーム「猛虎伝説'95 阪神タイガース」について。

猛虎伝説'95 阪神タイガースとは

サテラビュー、正確に言うとサテラビューという機器で受信できる放送「スーパーファミコンアワー」では、「秘伝ソフト」という名称で発売前のソフトを遊ぶことができた。それをまとめようと以前体験版ゲームの一覧を作った際に、結局未発売となったゲームが2本含まれていることがわかった。その1つが、以下に紹介する「猛虎伝説'95 阪神タイガース(エンジェル)」である。ちなみにもう一方のクーリースカンクは後にPSで同タイトルのものが発売されている。

サテラビュー通信にはその体験版の紹介が載っている。

hanshin.jpg

サテラビュー通信 1995年8月号 通巻2号 p.7

 

これを見ると、通常の野球ゲームでありながら、阪神のチームだけを年代別に10チームも追加した仕様だったようだ。次号にはさらに詳しい記事が見られる。

hanshin2

サテラビュー通信 1995年9月号 通巻3号 p.8

 

ここには詳しいゲームシステムの解説もあるので見てみよう。見た目は完全にファミスタ型で、真新しい点と言えば上述の歴代阪神10チーム収録というのと、選手紹介に実写取り込みが使用されているところくらいだろうか。

何より傑作なのは、ファミスタでおなじみの試合終了後のスポーツ誌画面に阪神ファン御用達の「デイリースポーツ」が使用されている点だ。見た目はそこまで特徴的ではないが(勝ってるのに「ー」が虎の尻尾になってないし)、果たして他チームでプレイして阪神を倒した場合はどうなったのだろうか。疑問は尽きない。

その他わかることとして、選手名の右に色のついた球体があるのはおそらく調子を表しており、選手のパラメータはパワー、ミート、チャンス、守備、走力、スタミナの6種。あとは一応他球団も収録されていて、「金村」が中日ドラゴンズにいるので95年次のデータのようだ。

なぜ発売中止に?

資料からはこれ以上の情報は得られないので、なぜ発売中止になったのかの真実を知ることはできない。しかし、いくつか思い当たることはある。

一見して言えるのは、このゲームはファミスタに似すぎてはいないかということである。投球画面ではほぼすべての情報配置がファミスタと同じ。打った時のスモール画面も同じ。試合終了後のスポーツ新聞のアイデアも同じ。加えて、選手の調子マークや「ミート」など前年にシリーズが開始したばかりのパワプロに似ているところもある。

断っておくが、この時期の野球ゲームは何でもかんでもこの画面形式だったわけではない。燃えプロにパワーリーグ、スーパーリアルベースボールに古田敦也のシミュレーションプロ野球など、大御所たるファミスタと差異化を計ろうとした野球ゲームは数多くあった。それらと比べても、本作はファミスタそのまんまである。従って、ナムコの側から何らかの苦情が来たというのが考えられる中止の理由の1つといえる(その他、デイリーから許可を取り損なったという可能性も無きにしもあらず)。

メーカーについてもチェックしてみよう。発売元のエンジェルはバンダイと関係があるらしく、これまでにガンダムを始めとするキャラゲーを多数出している。同時期にも「ノーマーク爆牌党」「美少女戦士セーラームーン~Another Story~」の体験版配信を行っており、その後もソフト発売があるなど、会社自体がどうにかなった様子はない。

ネット上の情報を見てみると、5月発売予定と書いてあり、この記事の7月末段階では発売日未定となっているので、何らかのトラブルが起きていたことは予想できる。

体験版は配信されたのか?

発売日の変遷を追っていく過程で、新たな疑惑が生まれた。このソフトの体験版の配信は本当になされたのかという疑問である。

7月の段階ではファミマガでもサテラビュー通信でも、配信がされるというアナウンスは確認できる。そして後者の2号によると7月24~30日配信だが、この週の番組表に阪神タイガースの名前はない。

3号の情報では配信は8月中となっているが、より情報が正確なファミ通の番組表にも名前が見当たらない。「新作(予定)」と書いてあるところにこれが入らなければ、であるが。

となると結局、このゲームは体験版も配信されなかった可能性が高く、当初想定していた「体験版のみ存在するゲーム」ではなかったのかもしれない。

内容が怪しいとはいえ、デイリーの件から言っても出ていればある種盛り上がったことだろうから、本作が闇に葬られたのはもったいないことである。

 

6/29追記

サテラーの方のコメントにより、「猛虎伝説'95 阪神タイガース」の体験版は配信されなかったことがわかった。その証拠に、サテラビュー通信11号 p.15の配信済みソフトの一覧にその名前がない(ついでにセーラームーンもない)。

これはつまり配信中止のケースもあるということであり、本当に配信が行われたのかどうか、番組表を見ながら細かくチェックしなければいけないようだ。

 

7/1さらに追記

徳間書店刊の書籍『幻の未発売ゲームを追え!』に、本作に関する情報が掲載されている。

ただし上で紹介した以上の情報はほぼなく、発売中止の経緯もわからない。新しいことといえば、ここに載っているファミマガ1995年2月24日号No.4の記事から、「VS COM」「VS 2P」「ペナントレース」「阪神オールスター」「トレーニング」「観戦」のゲームモードの存在くらい。

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ゲーム資料紹介   2018/06/26   へほくん

ファミマガのミスティッククエスト記事

とある理由でミスクエについて調べる必要が出てきたので、ファミマガの記事を探してみた。

ミスクエというのはご存知FFUSA ミスティッククエスト(SFC)のことで、開発はいわゆるスクウェア大阪。つまりサガ3とルドラの中間にある作品。

このソフトの最大の特徴はその「USA」の部分だが、その意味するものはよく誤解されがちで、ミスクエは「海外向けのFF」であり「海外産のFF」というわけではない。つまり米国市場に合わせて開発されたのが日本語にも訳されたということ。実際、北米では92年10月に発売されており、日本版はその約1年後。

ではそのファミマガの第一報を見てみよう。

ミスクエ1

ミスクエ2

ファミリーコンピュータMagazine 1993年7月9日 No.14 p.10-11

7月9日号なので発売は6月25日であり、すでに決定している発売日の3ヶ月前であることを考えると、情報が出るのは少々遅め。

画面写真も製品版と同じなので、開発がほぼ終了してから情報が出されたことがわかる。この辺はルドラと同じ。

内容を見てみると、アメリカで発売されていたもののローカライズ版であることが正しく伝えられているほか、「初めてRPGをプレイする人も迷わずにゲームを進めることができる」と、システム上の親切さが特にウリとして書かれている。

記事は6ページで、これ以降は主にゲームシステムの解説をしているわけだが、そこでも「RPG初心者もOK!」などとわかりやすさの面が大いに強調されている。つまりマップ上のポイント移動や動かないシンボルエンカウントにバトルポイント、あと書いてないけど全滅時のリトライシステムなどがそうだというわけ。

以前インタビューした際にストーリー担当の藤岡氏は海外で受け入れられやすいようにシンプルなものにしたとおっしゃっていたが、それは結果的にFF4イージータイプから続く「RPGの高難度化の風潮に対して、初心者にプレイしやすいゲーム」を生むことになったのではないかと思う。

実際、筆者が当時ミスクエをプレイした時は小学校低学年だったが、最後まで行けなかったFF5と違いこちらは見事クリアできたことからも、初心者の入門用RPGという役割は果たせていたことがわかる。(まあその1年前にドラクエ5はクリアしてたけど)


さて、もう一つ豆知識としてタイトルに関しての話。前年に発売された北米版は、この記事にある通り「Final Fantasy Mystic Quest」。そして日本語版は「ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト」。

では、ここに先日たまたま入手した海外版ミスクエのカセットがあるので載せてみよう。

ミスクエ3

見ての通り、「Mystic Quest Legend」とあってFFの名前がない。左にSNESのPALバージョンと書いてあるが、これはDVDのリージョンなんかと同じでヨーロッパの映像方式のことで、「ヨーロッパ版スーファミ」ということ。

その辺少し解説すると、海外のスーファミはSNESと言うが、北米とヨーロッパでハードが違って、北米は平べったいソフトでハードの形も違い、NTSCのSNES、ヨーロッパでは見た感じ日本のものと同じだけど映像方式がPALで違うSNESが販売されていた。ソフトも一方にしかないものもあるとか。

ミスクエは無事両方の地域で発売されたわけだが、その際にタイトルからファイナルファンタジーが取り除かれたようだ。この際の事情は詳しく知らないが(ヨーロッパでは長いことFF本編が発売されていなかったことが関係あるかも)、ともかく海外版ソフトも1種類とは限らないということ。

となるとユーザーの受容の仕方もそれぞれ違うわけで、ヨーロッパではFFもない頃に出たミスクエのインパクトは、さらに大きかったのかもしれない。

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ゲーム資料紹介   2018/06/24   へほくん

サテラビュー通信入手

サテラビューの実施状況を知るためにとんでもなく重要な資料である「サテラビュー通信」をいくつか入手したので報告。

スベアキ氏のご協力のおかげで、この貴重な雑誌を入手することができた。内訳は通巻1、2、3、4、5、7、11号となっている。

こんな感じ。

サテラビュー通信

これは他のどの雑誌よりもサテラビューの情報が載っていると思われるものの、国会図書館に入っていないためまるっきり入手する手段がなかった。

なので以前行ったサテラビュー調査はこの雑誌なしでやらざるを得なかったわけだが、今回いくつか手に入ったことで、研究の大きな進展が見込まれる。

一番気になるサウンドリンクやオリジナルゲームについてももっと詳しい情報が得られることだろう。

成果はサイトの方に載せるので、お楽しみに。

残るサテラビュー通信は増刊号、6、8~10号。残りおよそ半分だが果たして手に入るのか。


内容についてもちょっと見てみよう。

サテラビュー通信2

増刊号の次となる創刊号がこれ。当然載っているべき番組表に加え、配信ゲーム紹介、番組の案内、配信マガジン紹介などに加え、ファミ通っぽい新作CDなんかの情報や、ラジオのファンコミュニティっぽいパーソナリティのコメントなんかがある。

つまりゲームに関しての情報はそこそこなのだが、画面写真なんかは盛りだくさんなのでその点は資料になるだろう。

どこまで詳しく扱うか迷っているが、一度聴いたらそれきりの番組の資料としても非常に貴重。それはつまり、爆笑問題や伊集院光の活動記録みたいなのがわかるわけだが、果たしてどこまで知りたい人がいるやら。

ともかくそれも含めて一時期のゲーム業界の情報なので、なるべく発掘して保存できたらと考えている。

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ゲーム資料紹介   2018/06/24   へほくん

はじめました

ごあいさつ。

一介のゲーム好きのへほくんです。

ネット上での活動17年目にして、突如ブログを始めてみました。

サイトに書くほど大規模でもなく、ツイッターよりは長持ちしてほしい文章を書く場のためにここを用意しました。

入手した資料の紹介とかゲームに関する大雑把な話なんかがメインになると思います。

こちらに加えて、本家ゴッドバードツイッターでもそれぞれ情報発信しますので、今後ともごひいきに。

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その他   2018/06/23   へほくん